北斗七星
*関連項目→〔星〕
『星女房』(昔話) 北斗七星は、天女の7人姉妹だった。七つ星の一番上の長女が地上へ降り、親孝行な青年の妻になって、男の子が1人できた。ところが、北斗七星の一番上の星が消えたので、王様が「地上に降りた天女を捜して捕らえよ」と命ずる。長女は男の子を連れて天へ帰り、「私は結婚して身体がけがれたから、一番上にいる資格はない」と言って、妹と位置を交替した。長女のそばには、その子供である小さな星が見える〔*北斗七星のひしゃくの柄の真ん中の星ミザールと、傍らの小さな星アルコルのことである〕(沖縄県石垣市登野城)。
★2a.北斗七星がすべて消える。
『星の神話・伝説』(野尻抱影)Ⅰ「春の星座」大ぐま座 明の時代に、7人の大和尚がどこからともなく都へやって来て、2石もの酒を飲み歩いた。それと同時に空の北斗七星が光を消したので、「さてこそ北斗の精に違いない」と、太宗皇帝が、和尚たちを宮中に召して酒を賜ろうとする。すると和尚たちは姿を隠してしまい、その夜からふたたび北斗七星が、こうこうと輝きだした。
*南極老人星の化身の老人が、大酒を飲む→〔酒〕5bの『星の神話・伝説』(野尻抱影)Ⅳ「冬の星座」アルゴ座。
『酉陽雑俎』巻1-34 「一行」という僧が下僕に命じて、日暮れに廃園にやって来る豚7匹を捕らえさせ、甕に入れて封印した。すると、空の北斗七星が消えた。玄宗帝の下問に、「一行」は、「天の警告であるゆえ、大赦を行い囚人を釈放すべし」と進言した。これは、「一行」が恩人の息子を獄から救うために、したことであった。
『七話集』(稲垣足穂)3「李白と七星」 ある晩、李白が北斗七星を数えると、1箇足りなかった。その1箇が自分の筆入れに入っている気がしたので、竹筒を振ってみたが、星は出てこない。そこで、もういっぺん北斗七星を数えたら、きっちり7箇あった。李白は「自分と星の間を、雁がさえぎったせいだろう」と、人々に語った。
★3.北斗七星が落ちて来る夢。
『水滸伝』第14回 晁蓋は、北斗七星が家の屋根に向かってまっすぐ落ちて来る夢を見た。その時、柄に当たる部分の1つの星が、一条の白い光となって飛んで行った。彼は「星が家を照らすのは吉兆に違いない」と思った〔*この夢に力を得て、晁蓋と仲間たちは、蔡太師のもとへ贈られる不義の財宝を奪った〕。
『三国志演義』第34回 劉備玄徳の子劉禅は、幼名を阿斗といった。母の甘夫人が、北斗星を呑んだ夢を見て身ごもったからである。
『捜神記』巻3-6(通巻54話) 「若死の相だ」と言われた少年が、観相家に教えられて、桑の木蔭で碁を打つ2人の男の所へ行く。北側の男は死をつかさどる北斗星、南側の男は生をつかさどる南斗星だった。少年の差し出す酒食を、碁に夢中の2人は口にしてしまい、その返礼として、閻魔帳に記された寿命「十九歳」に上下転倒の印をつけ、「九十歳」に直してくれた。
北斗七星の追いかけ伝説(フランス西部、バスク地方の伝説) 北斗七星のひしゃくの口を形作る4つの星は、2頭の牛を盗んだ2人の泥棒だ。それを見つけて下男が追いかける。続いて奥さんが犬を連れて走り出す。最後に、でぶの主人がよたよたついて行く〔*奥さんが犬を連れているというのは、ひしゃくの柄の真ん中の星ミザールの傍らに、小さな星アルコルがくっついているから〕。
北斗七星の追いかけ伝説(韓国の伝説) 金持ちの旦那が、大工に頼んで家を建ててもらった。大工はあまり腕が良くなくて、四角い家をいびつに作ってしまった。大工は逃げる。旦那は鉈(なた)をふりかざして追いかける。息子が父をなだめて後を追う〔*ひしゃくの4つの星がいびつな家、柄の最初の星が大工、真ん中の星ミザールが旦那、鉈がアルコル、最後の星が息子〕。
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