初代 T10型(1957年 - 1960年)
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「トヨタ・コロナ」の記事における「初代 T10型(1957年 - 1960年)」の解説
1950年代半ば以降、日本の乗用車市場ではトヨタ自動車が1500cc車のクラウンで中型タクシー市場を、日産自動車が860-1000cc車のダットサン・110/210で小型タクシー市場をそれぞれ押さえるという構図ができ上がっていたが、日本の二大メーカーである両社は、それぞれ相手の領域に食い込もうと新型車開発を続けていた。 コロナはこうした状況で誕生したトヨタの対ダットサン対抗馬である。しかし、本格的な商品として企画されていた車種は 2代目のT20系であり、初代T10系はそれまでのつなぎとしての企画であった。この背景には、当時 乗用車の設計に強い発言力を有していたタクシー業界が20系の完成を待てず、そのニーズにこたえる必要のあったトヨタ自動車販売の意向で、開発・発売を急がせたという事情があったという。すなわち、T10系は クラウンの信頼性の高さが立証されて存在価値が薄まり1956年に生産を中止されていたクラウンのタクシー用姉妹車 トヨペット・マスター(前輪固定懸架)の車体中心部ボディプレス、クラウンの足回り、そして1940年代後期から使用され、乗用車用としてはすでに時代遅れになっていたSV式のトヨタ・S型エンジン(最高出力33PS/4500回転、最大トルク6.5kgm/2800回転(グロス値))などといった 既存のコンポーネンツを寄せ集めて、マスターの開発・製造を担当した関東自動車工業(現・トヨタ自動車東日本)で急遽開発された車であった。ただし唯一画期的であったのは、関東自動車工業がトヨタ本体とは独立して独自に1950年代前半から研究を続けていたモノコック構造が、トヨタの量産乗用車として初採用されたことであった。このため、車両重量はようやく1000kgの大台を割っている。 1957年7月 - 発売。ボディは4ドアセダン(ST10型)と、トヨペット・コロナラインとして別モデル扱いされた2ドアバン(ST16V型)があった。その丸みを帯びたスタイルから、「ダルマコロナ」の愛称で親しまれたが、前輪独立懸架で乗り心地が良い点を除くと、ライセンス生産していたオースチンのノウハウでOHV1,000ccエンジンを既に開発・搭載していたダットサン1000セダン(210系)と比較し、開発費がかけられなかったこともあって、ハード面の評価は低かった。 1958年4月 - マイナーチェンジを受け、車体の側面にモールが追加された。フロントフード先端のエンブレム、ドアハンドルの意匠を変更した。 1959年10月 - 再びマイナーチェンジを受け、型式がST10型からPT10型(コロナラインはPT16V型)に変更される。懸案であったエンジンをより強力なOHV式水冷直列4気筒997ccのP型に変更し、最高出力45PS/5000rpm、最大トルク7.0kgm/3200rpm(グロス値)とした。最高速度も105km/hと、ようやく100km/hが可能となった。フロントグリルもメッシュタイプに変更され、後席寸法を拡大し、乗車定員は4名から5名に増加した。
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