公開とフィルムの消息とは? わかりやすく解説

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公開とフィルムの消息

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:06 UTC 版)

裁かるるジャンヌ」の記事における「公開とフィルムの消息」の解説

裁かるるジャンヌ』は、1928年4月、まず最初にデンマーク上映された。同年10月フランスで公開されたが、カトリック教会思惑改変された形でしか上映できなかった。教会異端審問官告発するのようなこの作品受け入れることは彼らには到底出来るはずも無かったフランスにおいてオリジナル版観ることができたのは一部映画評論家映画関係者のみで、改変が行なわれる以前観ることができた彼らはこの映画高く評価している。オリジナル版観ることができた映画理論家のレオン・ムーシナックは検閲後の一般公開版を次のように評している。「カール・ドライヤーの全く関与していない妥協に続くカット修正あまりにひどく、(中略)退屈で動揺した映画観客はここに認め得るだけであった」。 そんな中同年12月編集済みのオリジナルネガを保管していたドイツウーファ社の倉庫火災があった。その火事によってオリジナルネガは消失した外国フィルムを売るために、没になった未使用ネガをかき集めドライヤー自身の手により再編集が行なわれた(第二版ネガ)。そこからポジプリントが起こされ、それがデンマークフランスを除く諸外国送られ各地上映された(日本では1929年公開)。1929年にはパリ保管していた第二版ネガが再び火災により失われたその後、ソシエテ・ジェネラール・ドゥ・フィルム社が負債抱えて倒産(その一因は、多額資金投入しながらそれを回収できなかった『裁かるるジャンヌ』の興行的失敗にある)、それに伴い残され未使用ネガ散逸デンマーク上映されたポジプリントは2本あったといわれるが、これも散逸した。この時点存在わかっているのは、世界各地送られ第二版ポジと、フランスで検閲の末に改変され第一版フランス語版ポジとなったその後ドライヤー関知しないところで散逸した未使用ネガ使い再編集が行なわれたり、デンマーク映画博物館主導世界各地プリント使い最良バージョン作ることが試みられたりした。さらに、さまざまな版プリントさまざまな形改変コピー重ねられ世界各地流布していった。特にアメリカにおいて違法コピー広く流通した。コピープリントからさらにコピー繰り替えされ、それらは後にビデオテープレーザーディスクにもなって世界各地へと広がっていった。 しかし、1981年にポジプリント一本ノルウェーオスロにある精神病院発見され1984年になってデンマーク上映され無修正第一版であることが判明したデンマーク語字幕つけられているそのオリジナルプリントきれいに保存されていた。そのプリント同年11月企画されていたイタリアヴェローナでのドライヤー国際シンポジウム上映された。 日本では1929年初公開された。試写段階では『ジャンヌ・ダルク』や『ジャン・ダーク』という作品名紹介されたが、この作品は「新感覚なる演出」が用いられており、「史劇題名変更」する必要があるとして、この作品輸入したヤマニ洋行社により一般公開前に邦題付けられた。『裁かるるジャンヌ』『セント・ジョン』『ジャンヌ・ダルクのパシヨン』『ジャンヌ受難篇』『ジャン最後』という5つ候補名の中から賞金付き一般公募為された1994年には有楽町朝日ホールノルウェー発見されオリジナル版初め上映されその後各地上映されたが、それはいずれシネマテーク・フランセーズにより中間字幕フランス語書き換えバージョンである。それと同版が1999年に米クライテリオン社から世界で初めソフト化されている。2005年デンマーク語字幕版DVD日本において紀伊国屋書店から発売された。2021年12月より「奇跡映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション」として「怒りの日」「奇跡」「ゲアトルーズ」とともに裁かるゝジャンヌ」のタイトルで、デジタルリマスター版上映された。

※この「公開とフィルムの消息」の解説は、「裁かるるジャンヌ」の解説の一部です。
「公開とフィルムの消息」を含む「裁かるるジャンヌ」の記事については、「裁かるるジャンヌ」の概要を参照ください。

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