免許制度導入の是非
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 00:35 UTC 版)
詳細は「自転車免許証」を参照 自転車の無秩序な通行とそれによる事故を解消するために、自転車にも免許制度を導入すべきだとの主張が時折見られる。しかし、先進国で自転車を免許制にしている国はなく、“国民総免許となり、処理と管理のための各種天下り・利権機関を増やすだけ”と合理性に疑問を唱える声も見られる。 警察庁は、2013年の道路交通法改正試案に対するパブリックコメント募集結果で、自転車免許導入論に対して「自転車が幼児や児童といった低年齢者や自動車等の運転免許を受けていない者、自動車等を保有していない者にとって不可欠な移動手段となっていることや、自転車の運転方法が相当に平易で一般的に走行速度も低いことなどを踏まえると、現時点で自転車に運転免許制度を導入することは適切ではない」との認識を示した。 事故防止を目的とした交通安全教育の一環として、おもに児童・生徒を対象として自転車免許証を与える自治体・学校の実施例がある。これらはあくまでも交通安全教育の教材のようなものであって、法的な根拠・拘束力はない。 諸外国を見ても義務教育などで交通安全教育を充実させる取り組みはあっても、免許制度などで自転車を取り締まろうという取り組みは見られない。これは自転車が“誰でも運転してよい”車両であり、自動車は“免許を受けた者以外は運転してはならない”車両であるためである。 自転車の運転自体には運転免許を必要としないが、自転車運転中に事故の原因となった危険行為(薬物使用)を理由として自動車の運転においても危険を引き起こす可能性があるとして、運転免許停止の処分となった例がある。2012年5月奈良市の市道で後方を確認せず道路を横断し、二輪車と衝突事故を起こし逃げたとして、奈良県警察は同年11月20日、この自転車を運転していた男性に150日間の自動車運転免許停止処分を科した。 また、自転車先進国と讃えられる先進諸国では、自転車免許制度は当然なされず、道交法のシンプル化や自転車が道交法通り走りやすいような道路環境整備、自転車専用レーン、自転車専用信号の他、自転車利用者が迷わないような路面表示や標識等の設置、自動車運転手らも含めた自転車教育指導に力を入れている。このように、諸外国が採用しない自転車免許制度に頼らず、自動車運転手らが車道の自転車を尊重するような教育が必要だという主張も見られる。
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