作品の位置付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 14:27 UTC 版)
「「魔王子」シリーズ」の記事における「作品の位置付け」の解説
シリーズ前期の三作は1964年から1967年に世に出た。ハードカバー版と大衆市場向けのペーパーバック版、バークレー・メダリオン社からの出版という形であった。12年のブランクの後、後期二作は1979年と1981年に出版され、また Underwood-Miller 社からは1981年に700部限定の個人愛蔵版が出版されている。全巻セットは1997年、The Demon Princes というタイトルで限定出版された。 「魔王子」シリーズでは、補足や対比を脚注を用いて行うというヴァンス流のやり方が広範囲にわたって使用されており、とりわけ、架空の文学作品、歴史作品、哲学作品、新聞記事、テレビインタビュー、判決文などを引用した冗長なあるいは風変わりな注釈文が加えられている。 それらの引用文の中には、実際に筋書きと密接に関わっているものもある。例えば、カリル・カーフェン著『魔王子たち』(エルシダリアン・プレス社、ニューウェックス・フォード、アロイシャス、ヴェガ刊)からの引用などがそうである。この架空書籍は、五人の大犯罪者についての権威ある学術的研究書である。 筋書きとは無関係のものも混ざっており、例えば「気ちがい詩人」ナヴァースの作品がそれに該当する。そのほかの引用文は論理的なつながりは持っていない。マーマデューク著『第九次元からの生還』から引用された『アバター見習い』で展開される修業過程などがそうである(ただし、これらはガーセンの行動に対して比喩的なあるいは抽象的な笑いを誘うヒントになっている)。しかしながら、こういった引用文は、ガーセンが活躍する広大な未来世界の歴史や文化に肉付けをするという役割を果たしている。 このシリーズにおけるこれらの引用の中でヴァンスが生み出した最も忘れがたい人物は、貴族階級の哲学者、アンスピーク・ボディッシー男爵である。その存在は、全六巻からなるという大著『生命』を引用した文の中でのみ語られる(彼とその著作は「魔王子」シリーズとは関係のないヴァンスの小説の中でも言及されている。そのとらえどころのない人物像において、ボディッシーはいわばヴァンスの世界におけるソクラテスとアクィナスとモンテーニュとヒュームとニーチェの統合物である)。 そして、ヴァンスのこの技法の好例が『殺戮機械』の第十章の引用である。『生命』の第四巻の引用文と、それに続けて同書に対する独特な文体の書評が六篇抜粋されているものである。 惑星の生態系に関する半引用文の一つはハーブ・フランクバートという人物の著作となっているが、この名はフランク・ハーバートのオマージュである。
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