哲学作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 18:30 UTC 版)
ドイツ人哲学者フレーゲの研究によって名を挙げた。最初の著作『フレーゲ 言語の哲学』(1973年)は出版までに数年をかけた力作であり、今日ではフレーゲ研究の必須文献とされている。この著作はフレーゲの再評価を促すとともに、ガレス・エヴァンスを始めとする当時のイギリスの哲学者たちに影響を与えた。 1963年に発表した「実在論」についての論文で、観念論、唯名論等の諸学派と実在論の立場に立つ論者との間に起こった論争史を総括し、大きな話題を呼んだ。ダメットによれば、前者の2論の立場は一言で言って反実在論であり、両者の間には真理とは何かをめぐって根本的な不一致がある。実在論の場合真理は明証性と超越性という二面的性質を備えている。これに対して反実在論は、この二つの性質を退け、可知的な真理という概念を導入するのである。 歴史的には両者の論争はある種の実体が客観的に存在しているか否かをめぐって行われた。したがって、他人の心、過去、未来、一般概念、数学的実体(例えば自然数)、道徳的カテゴリー、物質世界、さらに思考といったものについて論じる時にも実在論的な立場を取ることも反実在論的な立場を取ることもできる。ダメットの総括方法の新しさは、こうした論争が基本的に、数学の哲学の分野で直観主義かそれともプラトン的観念実在論かをめぐって行われた論争と同種のものだと考える点にあった。 今日ではダメットの影響を受けたイギリスの哲学者たちの間にある種「ダメット以後」の世代とでも呼ぶべきものが生まれている。こうした哲学者としては、ジョン・マクダウェル、クリストファー・ピーコック、クリスピン・ライトらがいる。ただし哲学内部で専門を同じくするのはライトだけである。
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