哲学史におけるドイツ観念論の位置
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「ドイツ観念論」の記事における「哲学史におけるドイツ観念論の位置」の解説
ドイツ観念論の成立にあたって重要な思想としては、カントのほか、プラトン、古代教父思想、ドイツ神秘主義、バールーフ・デ・スピノザ、ゴットフリート・ライプニッツ、自然哲学、また哲学思想とは云いがたいがヤーコプ・ベーメ、ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンおよびヨハン・ゴットフリート・ヘルダー、ヨハン・ゲオルク・ハーマン、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテなどの思想がある。また、同時期に文学界ではシュレーゲル兄弟を中心としてロマン主義(ドイツロマン主義)が台頭し、ドイツ観念論と呼ばれる哲学者とたちと密に交流し互いに影響しあったことも重要である。彼らが集った小都市イェーナやベルリンは当時の精神文化の中心地となった。 ドイツ観念論はヘーゲルの死後直系の弟子たちの世代が終わった1870年代には、マルクス主義を除けばほぼ影響力を失った。しかし20世紀初頭に興った新ヘーゲル学派以降ドイツ観念論の研究は再び見直され、現在では近代哲学の最も重要な一時期であるという評価が定着している。ドイツ観念論を批判的に接受して自身の哲学を展開している思想家は多く、なかでもしばしば注目されるものに、ハイデガーやデリダの論考が挙げられる。またドイツ観念論は、同時代のみならず近現代のキリスト教神学などにも影響を与えている。 また、一般的にはカントに端を発し、フィヒテ、シェリングという過渡期を経て、ヘーゲルでもってドイツ観念論は完成するという見地(これは新ヘーゲル主義の哲学研究者による見方が示し、定着したものでもある)であるが、これはフィヒテやシェリングの哲学の欠点を補ってヘーゲルが哲学を展開したということではない。上記に見たように、彼らの思索は激しい論争の元で展開されており、互いに自身の哲学こそ、真なるものと思っていた。従って、他者の批判には相応に応えており、一筋縄ではいかない。上記にあげた一般的な見方が絶対的なのか、また新しい視点からドイツ観念論の哲学の特徴を論ずることは出来ないか、現在の世界各国のドイツ観念論に関心のある哲学研究者の課題であろう。 ドイツ観念論の研究はドイツを中心に国際的な活動として営まれており、とくにヘーゲル研究に国際化の傾向が著しい。フィヒテやシェリングについても国際的な規模の学会があり、ドイツを中心に活発な研究がなされている。
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