会則問題と隠棲とは? わかりやすく解説

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会則問題と隠棲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 14:22 UTC 版)

アッシジのフランチェスコ」の記事における「会則問題と隠棲」の解説

フランチェスコ不在の間に、二つ大きな動き小さき兄弟団の中で顕わになっていた。まず、厳し規律緩和しようとする動きがあり、フランチェスコにとっては容認しがたい事態になっていた。イタリア帰って来たフランチェスコは、ボローニャ兄弟団寄進され建物定住して学問打ち込んでいることを知ると、呪いの言葉吐いて病人を含む全員建物から出ることを命じている。当時書物高価であり、学究生活清貧宣教には馴染まないとしてフランチェスコ常々戒めていたし、石造り建物定住するなど兄弟団理念反することであった。ポルツィウンクラに戻ってくると、そこにはアッシジ市が寄贈した建物建てられていたので、フランチェスコ屋根上って瓦を剥がし始めた。それを止めさせるためには、アッシジ市の役人が「その建物寄進したものではなく貸与したものであり、所有権アッシジ市にあるので壊さないでくれ」と説得するしか無かった。 国を越えて多くメンバー集めていた小さき兄弟団組織化を必要としていたし、その円滑な運営のためにはフランチェスコ求め規律厳しすぎると、多く感じていた。さらにそうしたメンバー多くは、例えハンセン氏病患者世話義務なども厳しすぎるとして、その緩和求めていた。 その一方で無原則放浪生活行っている例もあれば、男女混じった共同生活送りハンセン氏病病人と同じ皿から食事を摂るような過激なグループ現れており、これはこれで問題となっていた。フランチェスコ死後フランシスコ会では「穏健派」と「厳格派」とが対立することになるが、その萌芽現れていたのであるフランチェスコ兄弟団内部調整試み共同体への加入希望者には一年間修養期間が課せられることになったまた、在俗のままに悔悛の生活を送るための第3会も組織化された。しかし、フランチェスコ兄弟団規律緩和に関してはどうしても応じられず、事態行き詰ってしまう。雛が多すぎて翼の下に置ききれない雌鶏の夢をこの頃フランチェスコ見ており、自分能力越えたところまで兄弟団成長したことを悟ることになった。彼は、1220年兄弟団総長職を古くからの同志であるカッターニに譲り以降精神的指導者では有り続けるものの、隠遁生活に入る。(1221年にカッターニが死ぬと、エリア総長職を継いだ。) フランチェスコ23からなる会則起草し1221年総会でそれを提示したが、総意を得ることはできず、教皇ホノリウス3世認可も得ることが出来なかった。これは「認可されなかった会則」あるいは「第一会則」と呼ばれている。 フランチェスコはフォンテコロンボの隠所ひきこもり兄弟団後見人であるウゴリノ枢機卿助言も受けながら、大幅な妥協強いられ会則書き直した1223年総会において承認され教皇提出されたこの会則は「認可され会則」あるいは「第二会則」と呼ばれている。これ以降フランチェスコ初期同志数人と共に洞窟祈り観想日々過ごした。 この時期エピソードとして、1223年クリスマスが有名である。ジョバンニという貴族から提供されてグレッチオの山中滞在していたフランチェスコは、クリスマスを祝うにあたって聖書描かれベツレヘム再現しよう思い立ち厩舎飼葉桶設え上で雄牛ロバ連れてきてミサ行った。このミサは、フランチェスコ赤ん坊抱き上げる姿をはっきりと見た証言する者がいたほどに、参列者に強い印象与えた世界中カトリック教会では今日に至るまで、クリスマスになると聖堂内に厩舎模型設えている。 また、1224年にはラヴェルナ山中において六翼の天使から聖痕受けたとされている。聖痕とは、十字架刑処せられたキリストの5か所の傷(両手両足脇腹)と同じものが身体現れたものを言いキリスト模倣徹底させようとしたフランチェスコの高い精神的境地象徴する奇跡とされている。キリスト教世界では聖痕報告例少なからず有るが、フランチェスコのそれは、聖痕最初事例であり、数少ない男性事例でもある。

※この「会則問題と隠棲」の解説は、「アッシジのフランチェスコ」の解説の一部です。
「会則問題と隠棲」を含む「アッシジのフランチェスコ」の記事については、「アッシジのフランチェスコ」の概要を参照ください。

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