代替案の検討と福井豪雨の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 16:31 UTC 版)
「足羽川ダム」の記事における「代替案の検討と福井豪雨の影響」の解説
建設省は福井市を始めとする足羽川流域自治体に対し、ダムを含む足羽川治水案を提示。凍結中の足羽川ダム案、堤防引堤案、堤防嵩上げ案、河床掘削案、遊水地案、放水路案、地下ダム案、そして別地点でのダム案の8案を比較検討し、現行のダムと同等の治水効果を上げ、かつ流域住民の犠牲が最小限で済む案の検討を行った(詳細はダムの代替案を参照)。その結果、足羽川の支川である部子川にダム建設を行うことが最も効率的であるとの結論が為され、新「足羽川ダム建設計画」として建設予定地である池田町との調整に入った。この間の2001年12月、福井県と福井市は水需要が増えなかったことを理由に足羽川ダムの水利用をしないことを決定し、利水ダムの必要性は失われた。 2004年(平成16年)7月、福井県を集中豪雨が襲い、特に足羽川流域は福井市内で堤防が決壊して福井市を中心に14,172戸が床上・床下浸水の被害を受け、足羽川流域で死者5名の人的被害も生じた。足羽川の流量は基準地点の天神橋(福井市篠尾町付近)で毎秒2400m3となり、足羽川ダムによる治水の想定を上回る、第二次世界大戦後最大の洪水となった。この平成16年7月福井豪雨において、同じ九頭竜川流域の真名川は真名川ダムの洪水調節によって浸水被害ゼロという結果となった。このことからダムによる洪水調節の重要性が再認識され、足羽川ダム建設を求める声が流域自治体・住民より多く上がった。 ダムが建設される池田町では建設の賛否について水没予定住民の意向を調査した。この中で福井豪雨が影響してか「時代の流れであるから、止むを得ない」という住民の意見が大勢を占め、池田町議会も2006年7月に足羽川ダム建設に対し全会一致で賛成決議を行い、地元の了承を得たことから今後は具体的な補償交渉や実施計画調査に入った。 こうして、さらに治水能力を拡大したダムを建設する方針で2006年(平成18年)より事業が再開されることになった。一方、元来ダム建設に否定的な活動を全国で展開している日本共産党議員関係者等で組織されている「国土問題研究会」は、「集水面積が小さく、効果には疑問がある」としてダム建設には反対の姿勢を示し、代わりに堤防拡幅・法面補強といった堤防補強を対策として呈示している。
※この「代替案の検討と福井豪雨の影響」の解説は、「足羽川ダム」の解説の一部です。
「代替案の検討と福井豪雨の影響」を含む「足羽川ダム」の記事については、「足羽川ダム」の概要を参照ください。
- 代替案の検討と福井豪雨の影響のページへのリンク