代替機種導入要望に関し行われた議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 02:21 UTC 版)
「全日空機高知空港胴体着陸事故」の記事における「代替機種導入要望に関し行われた議論」の解説
事故の直後に国土交通省はメーカーおよびカナダ政府に対し異例の改善要請を行った。また南国市の市長が代替機の導入などを全日空に対して早急に申し入れる考えを市議会で示した。 しかしながら、購入してから時間が経っておらず、ターボプロップが主流だった地方路線用の小型旅客機においても燃費が良く騒音が少ないターボファンエンジンを搭載したリージョナルジェットが登場し、DHC-8-400と競合していたターボプロップ機を生産していたスウェーデンのサーブはこのサイズのターボプロップ機の製造を中止、ドイツのフェアチャイルド・ドルニエやオランダのフォッカーなどは経営破綻で消滅し、メーカーではリージョナルジェットへ注力するなど業界の再編が進みつつあった。このため新規開発の計画はなく、大阪(伊丹)・高知線に就航できるターボプロップ機は、巡航性能や燃費の劣るやや旧式のターボプロップ機(Il-114、An-140、Y-7など)を除外すると、ATR社のATR 72のみとなる。 なお、日本でDHC-8-400のようなターボプロップ機が多数運航されている理由としては経済性だけでなく、大阪国際空港では1970年代を中心に激しく行われていた大阪国際空港付近住民の騒音反対運動を受けて、1977年に「ジェット機は一日200便以下」などの条件が定められており、2000年代以降に登場した低騒音のターボファンエンジンを搭載したリージョナルジェットの多くがターボプロップ機より騒音が低いにもかかわらず、法規制の改訂が行われていないこと、これ以外にも2本ある滑走路のうち1本は、長さの関係で小型機しか使用できないことから、規制に当てはまらないターボプロップ機が増えたという背景もある。そのあおりを受ける形で大阪と高知を結ぶ路線にDHC-8-400が数多く運航されている。 以前DHC-8-400が機体トラブル続出で運航休止になった際には、全日空は高知線をエアバスA320(座席数166席)に置き換えたが、この時には関西国際空港発着(大阪国際空港の発着枠が使えないため)になったうえ、提供客席数を同じにするため、便数が大幅に減らされた。また全日空はDHC-8-400より少し乗客数の多いMitsubishi SpaceJet(SpaceJet M90、座席数90)を発注しており、これは大阪国際空港への乗入れを狙った低騒音機になる予定である。しかし大阪国際空港のジェット枠自体が削減される動きがあるほか、早くても就航は2012年(後に開発の遅れから延期)であり、DHC-8-400に代わる適切な機体の発注は行われていない。また日本航空もSpaceJetにスペックが近いエンブラエル170を発注しているが、騒音が低いとはいえジェット機であり、DHC-8-400に代わるターボプロップ機の発注は行っていない。 この他にもボンバルディア機には日本の航空産業も部品を提供しており、部品のサポートに有利な面があることがある。
※この「代替機種導入要望に関し行われた議論」の解説は、「全日空機高知空港胴体着陸事故」の解説の一部です。
「代替機種導入要望に関し行われた議論」を含む「全日空機高知空港胴体着陸事故」の記事については、「全日空機高知空港胴体着陸事故」の概要を参照ください。
- 代替機種導入要望に関し行われた議論のページへのリンク