今後発生が予想されている太陽嵐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 06:27 UTC 版)
「太陽嵐」の記事における「今後発生が予想されている太陽嵐」の解説
地球上の海水が熱塩循環という大循環をしているように、太陽内部でも、磁気を帯びたガスがベルトコンベアーのように循環をしていると考えられている。この循環は40年程度で太陽内部を一巡するが、この長さが約30年-50年程度と前後する場合がある。速くなっている場合は、多くの磁力線が閉じてエネルギーが蓄積されていることを意味し、近い将来磁力線が開いてエネルギーを解放する可能性が高いと考えられている。この解放の周期は約50年周期とされ、かつ、太陽磁場が反転して磁力線が大きく動く極大期(11年周期)に合わせて発生する。 近年循環が早かったのは1986年-1996年であり、その直後の2000年の極大期には解放されなかったため、次の極大期に太陽嵐が発生する可能性があるとされていた。前述のように、2012年7月23日に発生していた太陽嵐は1859年の太陽嵐に匹敵する威力であり、地球の傍をかすめていたことが明らかとなっている。もし太陽嵐が発生すれば、これまでに被害が現れた1859年や1958年などと比べても、人工衛星が格段に増え、電気製品や電子機器があらゆるところに利用され電力システムが生活を支えている現代社会において、生活の末端から社会全般までの様々な場所に影響が及ぶ可能性がある。被害については未知数な点が多いが、仮に1859年と同レベルの太陽嵐が発生し地球に直撃すれば、広範囲で停電が発生し、現代社会における電力やGPSに依存する機能、水道などのライフラインが破壊され、全世界で2兆ドル規模の被害が発生するとの試算がある(全米研究評議会 (NRC) 、2008年)。 2013年後半に予想される極大期と太陽活動の動向 2010年6月、NASAは「次の太陽嵐が太陽活動の極大期を迎える2013年5月頃に発生する可能性がある」という見解を発表した。また、2013年に入ると極大期のピークは同年秋から冬頃という予想がされており、その前後には大規模な太陽フレアが発生する可能性がある。実際、同年5月中旬にはXクラス(最大X線強度が通常の100倍以上、最大クラス)の太陽フレアが2日間で4回発生しており、活発な黒点群が地球の正面側を向いていなかったことが幸いして特に被害などは出なかったが、今後の更なる発生が警戒されている。ただ、2008年から始まった第24周期の黒点数の推移は、2009年のNASAの予想によれば1928年に近いものになり80年ぶりの少なさになると考えられている。なお、さらに遡って2006年の時点では、第24周期は第23周期と同等の活動レベルであり、第25周期で大きく活動が低下すると考えられていた。 いずれにせよ、近年は約11年周期である太陽活動周期が長期化してきている。第23周期終盤の黒点数極小期は2007年末から始まったが、その後の2008年1月に黒点磁極分布が反転して第24周期に突入してもしばらく活動は低迷し、極小期が当初の予想より大幅に長引いた。一時期は黒点数がほとんどゼロとなり、太陽風や放射照度も精密観測が始まった過去約1世紀で最低のレベルを記録した。2009年7月初旬には活動が活発化し始めたが、今回の谷と谷の間の周期は約13年と大幅に伸びていて、過去同様に周期が伸びた時期には寒冷化する傾向にあることから、小氷期の到来を懸念する声も出ている。
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