事故・主な事例(死亡を含む)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 19:56 UTC 版)
「組体操」の記事における「事故・主な事例(死亡を含む)」の解説
体育的行事が開催される凡そ2週間前から課外での練習が始められ練習毎に習熟の段階を上げていき、その期間に同演目の事故が集中する。 組み立て体操は危険が伴うため、安全配慮義務が開催者に課される。演目上の性質として段数の高低に関係無く落下、及びその衝撃で上肢切断、歯牙障害、せき柱障害などの事故事例が多発していることが判っている。1969年から2014年度の46年間に延べ9人の死亡事故(内2名が約1メートルからの落下死)と92人の後遺障害が確認されている、1983-2013年度の31年間に学校の組み立て体操において障害の残った事故は88件発生。内、2012年度までの10年間で後遺症が残る事故は20件発生(約2.8件/年)。 2012年度に小学校で起きた組み立て体操による事故は6533件、2013年度での事故事例は8500件超となっている。静岡県の中学では下敷きになった生徒が頚椎骨折し、両親が学校を相手に訴訟を起こした。ピラミッド以外の事故でも、福岡の県立高校の男子生徒が肩車された際に後頭部から落下して首の骨を折り障害を負ったケースや、頭部強打による中途難聴や頭痛・目眩など後遺症が残った事例、人間タワー崩落時の胸部圧迫による心臓破裂での死亡、演目指導に当たっていた名古屋市の市立小学校側が事実と異なる報告書を作成し裁判所から「被害児童に嘘の証言を強いた」など(後述)、各地で学校側の安全対策をめぐる裁判が行われた。 日本では国家賠償法に基づき、教員が国又は地方公共団体の公務員で、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に児童や生徒に損害を加えたときは、国又は公共団体が損害賠償責任を負う(国家賠償法第1条第1項)。なお、学校が日本スポーツ振興センターと災害共済給付契約を締結し免責の特約をしているときは、日本スポーツ振興センターが災害を受けた者に災害共済給付を行った価額の限度で学校の設置者は損害賠償責任を免れる(独立行政法人日本スポーツ振興センター法参照)。 2013年度に組み立て体操中の事故で災害共済給付制度で医療費が支給された件数は、全国の小学校で6349件、中学校で1869件、高校で343件となっている。2014年度、小中高における組み立て体操事故確認事例は約8500件。2014年度の組み立て体操事故において医療費を給付した内訳事例はサボテン、肩車、倒立などの二人で組む演技で計2294件、タワー1241件、ピラミッド1133件。2015年度では計8071件、前年比で骨折事故700件増。2016年での事故事例は計5271件となっている。(独立行政法人日本スポーツ振興センター調べ)。2017年度では4418人。2018年では4000件超。 労働安全衛生法や労働安全衛生規則では2m以上の高所作業を行う場合、事業者は適切な墜落防止措置を行う必要があり、同時に18歳未満の者には5m以上の高所作業を行わせてはならないと定められているが、これらは労働ではなく教育の一貫で行われている学校での組体操では適用されず、対策も特に行われていないことも多い。一方で、教育専門家や労働安全衛生の専門家からはこういった視点からの危険性も指摘されている。
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