予想行為についての制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 16:29 UTC 版)
「予想 (競馬)」の記事における「予想行為についての制限」の解説
日本においては、1960年代前半までは現役の騎手・調教師が新聞やテレビ・ラジオの競馬中継等で予想を公表することが一般的に行われていた。さらに遡れば、1950年には東京優駿で1番人気が確実であったクモノハナに騎乗予定の橋本輝雄が、競走の前夜に当時国民的メディアであったNHKラジオの人気番組にゲスト出演し、その際に馬場などの状況を挙げて「勝てるでしょう」と具体的に騎乗馬の勝利を予告して勝利したという出来事もあった。 詳細は「クモノハナ」を参照 だが、現在は現役の騎手や調教師、厩舎関係者・競馬主催者および統括団体の関係者については、競走の公正確保という観点から、公の場で結果予想や買い目を公表することは禁止されている。レース公正確保の観点から選手、主催者、統括団体の関係者による予想行為を禁止しているのはオートレース・競艇・競輪など他の公営競技いずれも同様である。 騎手や調教師が競走に勝利すべく作戦を練るため、事前にレース展開を予想する事は違反行為にはならない。しかし、これを具体的な買い目や「この有力馬は消える」などという結果予想の形で第三者に漏らせば違反行為となり、処罰の対象となる。また、レース枠順確定後にも時折見られるいわゆる“逃げ宣言”のコメントなどは、あくまで自身の騎乗場・管理馬を勝利させるための作戦の示唆・公表の範疇とされ違反ではないが、発言の場所・状況・内容次第によっては予想行為と受け取られる可能性がある。 そのため、テレビ・ラジオなどの競馬中継番組においても、ゲストやインタビューで出演した調教師・騎手や、統括団体の関係者の立場にある人物のコメントについて予想行為と取られ問題となることは、当該の人物の職業生命すら危うくしかねないものであるため、万一にもそのような事態を起こさないように、コメントを引き出す側であるアナウンサー・司会者・インタビュアーなどは自身の発言にも細心の注意を払っている。 自身が中央(地方)指定交流競走で出走する当日の開催レースに関連していない限りは、中央競馬の関係者が地方競馬の馬券を、また地方競馬の関係者が中央競馬の馬券を、それぞれ予想し購入したり、新聞などで予想行為を行ったりすることは可能である。地方競馬の著名騎手がスポーツ紙で中央競馬の予想コーナーを持つことが多く、木村健(騎手時代。現調教師)がスポーツニッポンで、森泰斗がスポーツ報知で毎週連載を担当している。また、スポーツ報知ではG1レースを中心に地方所属の女性騎手がコーナーを持つことが見られる。なお、テレビのバラエティ番組などでJRAの騎手がタレントと馬券勝負をする企画が一部で見られるが、この様な番組の収録は騎手自身が当日の競走に関連しない地方競馬場で行っている。 他方、騎手引退後に調教師や調教助手などの厩舎関係者に転身せず、一見した限りでは競馬サークルの内部から離れた部外者に見えても、実際には予想行為の制限対象に該当しているという人物もいる。知られる所では騎手として日本の最多勝記録を保持していた佐々木竹見がおり、引退後に地方競馬全国協会の管轄する地方競馬教養センターの参与に就任しており、現在でも地方競馬関係者の立場にあるという理由で、大井競馬場など地方競馬の競馬中継などにゲストとして出演する事はあっても、直接の買い目予想行為を行う事はない。 馬主は調教師や騎手などの競馬関係者と容易に接触することが可能であり、彼らの持つ秘密情報を知りうる立場であるにも関わらず、予想行為の公表は一切禁止されていないし、馬券の購入も禁じられていない。ただし、地方競馬においては、限定した会員に有料で競馬予想情報を提供する事業(会員制競馬予想業)の運営者・従事者および関係者は馬主登録を受けることができない。したがって、既に馬主登録を受けている者がその地位を利用して厩舎などから入手した秘密情報を会員制競馬予想会社に提供した場合、馬主登録取り消しの対象となる。中央競馬にはこの種の規定はない。
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