ちゅうおうこうぞうせん‐だんそうたい〔チユウアウコウザウセン‐〕【中央構造線断層帯】
中央構造線断層帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 13:49 UTC 版)
前述のとおり、近畿南部(金剛山地東縁)から四国の伊予灘にかけては、中央構造線に沿って、上下方向のずれを伴った右横ずれ運動を特徴とする約360kmの長大な断層帯が延びている。また、政府の地震調査研究推進本部は九州東部・大分県の別府湾や由布市周辺における活断層についても2017年にこの断層帯の一部と認定している。 地質境界としての中央構造線と、地表にその活動の痕跡を残している活断層たる中央構造線とは、必ずしも位置が一致しない。これらの断層は中央構造線活断層系や活断層としての中央構造線と呼ばれている。中央構造線活断層系の地震評価のみを行なっている地震調査研究推進本部はこれを中央構造線断層帯と呼んでいる。中央構造線と中央構造線活断層系とは、松山平野で約7kmと最も離れている。 なお、「中央構造線」という呼称は地質学的な境界を指すが、前述の中央構造線に沿う活断層を指して「中央構造線」と呼ぶこともあり、注意を要する。 活断層としての中央構造線について、以後、地震調査研究推進本部に倣って「中央構造線断層帯」(ちゅうおうこうぞうせんだんそうたい)と呼称する。 中央構造線に沿った断層帯の存在は、1967年頃には空中写真の分析によって発見されていた。その後の調査により、活断層の存在を示唆する地形に沿って断層に由来する露頭や破砕帯が見つかり、活動の規模や時期も確認され、1970年代の末頃には中央構造線断層帯の位置や活動を概ね確認することができた。1980年代以降も大学や地質研究所などによって様々な場所での調査が続けられている。 地震調査研究推進本部も全国的な地震動予想のために1999年から各地での調査を開始しており、中央構造線断層帯については2003年に長期評価を公表した。 その後、2011年2月18日に長期評価の改訂版を発表している。中央構造線断層帯は活動していた時期などによって6区間に分けることができる。2011年の改訂版においては、断層帯の過去の活動状況と今後発生が予想される地震の規模は以下のとおりとされた。 金剛山地東縁(奈良県香芝市から五條市付近まで)では、約2,000年前から4世紀の間に直近の活動があった。平均して約2,000 - 14,000年おきに活動しているとみられ、将来的にM 6.9程度の地震が予想される。1回のずれの量は1m程度(上下成分)と見込まれる。 和泉山脈南縁(奈良県五條市から和歌山市付近まで)では、7世紀から9世紀の間に直近の活動があった。平均して約1,100 - 2,300年おきに活動しているとみられ、将来的にM 7.6 - 7.7程度の地震が予想される。1回のずれの量は4m程度(右横ずれ成分)と見込まれる。 紀淡海峡-鳴門海峡(和歌山市付近またはその西の紀淡海峡から鳴門海峡まで)では約3,100年前から約2,600年前の間に直近の活動があった。平均して約4,000 - 6,000年おきに活動しているとみられ、将来的にM 7.6 - 7.7程度の地震が予想される。ずれの量・成分とも不明。 讃岐山脈南縁-石鎚山脈北縁東部(石鎚断層とその東の部分)では16世紀に直近の活動があった。平均して約1,000 - 1,600年おきに活動しているとみられ、将来的にM8.0程度またはそれ以上の規模の地震が予想される。1回のずれの量は6 - 7 m程度(右横ずれ成分)と見込まれる。 石鎚山脈北縁(岡村断層)でも16世紀に直近の活動があった。将来的にM 7.3 - 8.0程度の地震が予想される。平均して約1,000 - 2,500年おきに活動しているとみられる。将来的にM7.3 - 8.0程度の地震が予想される。1回のずれの量は6 m程度(右横ずれ成分)と見込まれる。 石鎚山脈北縁西部-伊予灘(川上断層から伊予灘・佐田岬北西沖まで)でも16世紀に直近の活動があった。平均で約1,000 - 2,900年ごとに活動しているとみられる。将来的にM 8.0程度またはそれ以上の規模の地震が予想される。1回のずれの量は2 - 3 m程度(右横ずれ成分)と見込まれる。
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