現在のプレート境界の地形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 06:01 UTC 版)
「フィリピン海プレート」の記事における「現在のプレート境界の地形」の解説
東縁は伊豆・小笠原海溝やマリアナ海溝・ヤップ海溝などの沈み込み帯であり、北ほど相対速度が大きく、南東方向から年間5 - 1cmの速度で太平洋プレートが沈み込んでいる。この沈み込み運動により火山帯である伊豆・小笠原・マリアナ弧が形成され、現在も火山活動が継続している。背弧リフトとしてマリアナトラフ(英語版)やスミスリフトなどが形成されており、大陸地殻は薄い。ヤップ海溝の南側では発散型境界であるアユトラフ(英語版)が形成されている。このアユトラフは西パプア州北岸のマノクワリトラフ(英語版)でオーストラリアプレート下に沈み込み、フィリピン海プレートの南縁を成している。 北縁や西縁は南海トラフや琉球海溝、フィリピン変動帯(英語版)であり、南ほど相対速度が大きく、南東方向から年間3 - 11cmで沈み込み帯が形成されている。 北縁付近から台湾付近にかけて、相模トラフ・伊豆半島・南海トラフ・琉球海溝を介してフィリピン海プレートが南東から陸側プレート(北アメリカプレート及びユーラシアプレート)下に沈み込んでいる。相模トラフの東端は太平洋プレートと重なり、世界的にも数少ないT-T-T型トリプルジャンクションとなっている。伊豆弧の北端はフォッサマグナに激しく衝突付加し、御坂山地や丹沢山地を形成した。現在は、伊豆半島付近が変形前線となっている。南海トラフの島弧である西南日本弧では、新潟-神戸歪集中帯や右横ずれ断層の中央構造線断層帯が発達する。琉球海溝では背弧海盆運動として沖縄トラフが形成されている。 琉球海溝の西端である台湾付近からフィリピンを介してモルッカ海付近までは、島弧の東西両側に沈み込み帯が南北に伸び、その中軸に横ずれ断層帯が形成する幅広い変動帯(en:Philippine Mobile Belt)となっている。メイン(より相対速度が大きい)の収束境界は、台湾では花東縦谷断層、ルソン島より北側ではマニラ海溝、南側ではフィリピン海溝、及びモルッカ海衝突帯(英語版)となっている。 この変動帯の北端である台湾では、台湾西部からユーラシアプレートが西から衝突・沈み込み、台湾山脈を形成している。一方、台湾東部では左横ずれ成分含む逆断層である花東縦谷断層(英語版)が発達する。台湾の南では、マニラ海溝を介してユーラシアプレートが西から沈み込み、ルソン島弧(英語版)を形成している。このルソン島弧のバタネス付近では、マニラ海溝の斜め沈み込みに伴い、北東-南西走向の雁行山脈群が発達している。マニラ島北東沖付近では、東ルソン海溝(英語版)を介してフィリピン海プレートが東から沈み込み、マドレ山脈を形成している。ルソン島中部付近で、メインの沈み込み帯が南シナ海側のマニラ海溝からフィリピン海側のフィリピン海溝に偏移する。この偏移で、ルソン島側は西へ、ビサヤ諸島は東へ相対的に移動する運動が生じるため、ルバン断層(英語版)、レガスピ断層(英語版)などの左横ずれ断層が形成されている。また、フィリピン海溝が南南東に伸びるのに対し、相対運動は北西-南東方向で、斜めに沈み込んでいる。そのため、横ずれ成分を解消するためにフィリピン海溝の島弧である東フィリピン弧では、海溝に並行して左横ずれ断層であるフィリピン断層(英語版)が発達し、ブロック運動をしている。その一方で、マニラ海溝の南方延長上にも、ネグロス海溝(英語版)・スールー海溝(英語版)・コタバト海溝(英語版)など介してユーラシアプレートが西から衝突・沈み込んでいる。フィリピンの南では、タラウド諸島からモルッカ海中軸にかけて、モルッカ海衝突帯が南北に伸びている。このモルッカ衝突帯は、モルッカ海プレートが西のユーラシアプレートと、東のフィリピン海プレートの両側に沈み込み、海溝同士が衝突して形成された。そのため、地表には既にモルッカ海プレートは存在しておらず、スラブとして地下に存在している。 モルッカ海南部から東西走向の左横ずれ断層であるソロン断層(英語版)が西パプア州へ伸び、マノクワリトラフに並行する形で合流する。インドネシア西部では、フィリピン海プレート・ユーラシアプレート・オーストラリアプレートの3つのプレートが衝突しあっており、複数のマイクロプレートが形成されている。
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