ワールドシリーズの成り立ち
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「ワールドシリーズとワールド・ベースボール・クラシックの両方で優勝を経験した選手一覧」の記事における「ワールドシリーズの成り立ち」の解説
ワールドシリーズは1903年に創設された。19世紀のアメリカ合衆国北東部・中西部では、ナショナルリーグが同国最大のプロ野球リーグとして君臨していた。それに対抗する形で1901年にアメリカンリーグが創設されると、この2リーグは選手の引き抜きや観客の奪い合いなどで激しく競合した。しかし両者は1903年1月、一転して協調路線をとることで合意した。これがきっかけとなり、同年10月に両リーグ王者による初の直接対決が行われた。これが現在まで続くワールドシリーズの第1回である。この2リーグからなるMLBは、かつては最西端の球団本拠地都市が中西部ミズーリ州にあったが、1958年に2球団が西海岸のカリフォルニア州へ移転し、本土全域にまたがるリーグとなった。さらに1969年には北の隣国カナダに球団が創設され、1990年代以降はアメリカ合衆国やカナダ以外の国で公式戦を開催するなど、市場を世界に広げている。 MLBの拡大・国際化は試合の開催地だけではなく、選手の顔ぶれにも当てはまる。第1回シリーズ開催当時のアメリカ合衆国では人種差別が日常的に行われており、MLBも選手は白人に限定されていた。アフリカ系アメリカ人などの有色人種は排除され、彼らは独自のリーグ "ニグロリーグ" を運営していた。しかし1947年にジャッキー・ロビンソンがデビューしてからは、技量に優れた有色人種の選手が次々とMLB入りを果たした。1965年にドラフト制度が導入され、アメリカ合衆国内のアマチュア選手獲得に1球団への独占交渉権付与という制限がかかるようになると、各球団は海外、特に野球の盛んなラテンアメリカの選手を青田買いするようになった。1995年には野茂英雄がデビューし、これをきっかけに日本や大韓民国など東アジアのプロ野球リーグのトップ選手が、FAやポスティングシステムなどを利用してMLB入りするようになった。 2017年シーズン開幕時点で、全30球団の25人ロースターや故障者リストなどに入っているメジャーリーガー868人のうち、29.8%にあたる259人がアメリカ合衆国以外の国・地域生まれであり、その国・地域の数は18にのぼる。野球のMLBだけでなく、バスケットボールのNBAやアイスホッケーのNHLなど北米4大プロスポーツリーグに共通する特徴として、優秀な選手が世界中から北米リーグに集まる流れが確立されているということがあるため、その競技においては北米リーグでの優勝――野球ではこのワールドシリーズの制覇――が実質的な世界一ということができる。その一方で、MLB球団しか参加できない大会が "ワールド" シリーズを名乗ることに対する違和感の表明や批判もある。例えば、2015年10月には孫正義が、自身がオーナーを務める福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズ2連覇を受け「なんでアメリカで優勝したら世界一といわれるのか、それを決めるシリーズがワールドシリーズと呼ばれるのかわからない。日本の優勝チームとアメリカの優勝チームで真のワールドシリーズをするべきだ」と発言している。 ワールドシリーズは、世界最大の野球大会でもある。経済誌『フォーブス』の2017年10月の発表によれば、ワールドシリーズのブランド価値は金額にして1億2400万ドルになるといい、これは全世界のスポーツイベントの中で10番目、野球大会としては最高である。
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