ローブナー賞とは? わかりやすく解説

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ローブナー賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/16 03:11 UTC 版)

ローブナー賞: Loebner prize)は、人工知能として最も人間に近いと判定された会話ボットに対して毎年授与される賞である。競技の形式は標準的なチューリングテストである。ローブナー賞では、人間の審判員が2つのコンピュータ画面の前に座る。一方の画面はコンピュータが表示を行い、もう一方は人間が表示を行う。審判員は両方の画面に対して質問を入力し、応答を得る。応答に基づき、審判員はどちらが人間でどちらがコンピュータかを判定する。

この大会はヒュー・ローブナーがマサチューセッツ州にある Cambridge Center for Behavioral Studies と共同で 1990年に開催したのが最初である。その後、フリンダース大学ダートマス大学イギリスロンドンにあるサイエンス・ミュージアムなどが共催している。

人工知能の分野では、ローブナー賞は物議を醸している。批判の急先鋒であるマービン・ミンスキーは、ローブナー賞が単なる売名行為であって研究には何の寄与もしていないとした。

各賞

  • 毎年、最も人間に近いと判定された会話ボットに 2000ドルが授与される。2005年には 3000 ドルとなったが、2006年には2250ドルだった。
  • テキストによるチューリングテストで人間と区別が付かないと判定された最初の会話ボットに 25,000ドルが授与される予定。
  • 音声によるチューリングテストで人間と区別が付かないと判定された最初の会話ボットに 100,000ドルが授与される予定。

100,000ドルの賞が授与された時点で、ローブナー賞は役目を終える予定である。

2008年の予定

2008年の競技会は2008年10月12日、イギリスのレディング大学で開催される予定。共催者の一人にケビン・ワーウィックが名を連ねており、アラン・チューリングが提案したオリジナルの形式のチューリングテストへの挑戦も行われる。優勝者には3000ドルと銅メダルが授与される。

2010年の予定

2009年9月6日にイギリスのブライトンでInterSpeech 2009と共に開催された、
2010年10月23日にアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで開催予定。

歴代受賞者

優勝者 プログラム
1991 Joseph Weintraub[1] PC Therapist
1992 Joseph Weintraub PC Therapist
1993 Joseph Weintraub PC Therapist
1994 Thomas Whalen TIPS
1995 Joseph Weintraub PC Therapist
1996 Jason Hutchens HeX
1997 David Levy Converse
1998 Robby Garner Albert One
1999 Robby Garner Albert One
2000 Richard Wallace Artificial Linguistic Internet Computer Entity (A.L.I.C.E.)
2001 Richard Wallace A.L.I.C.E.
2002 Kevin Copple Ella
2003 Juergen Pirner Jabberwock
2004 Richard Wallace A.L.I.C.E.
2005 ロロ・カーペンター George (Jabberwacky)
2006 ロロ・カーペンター Joan (Jabberwacky)
2007 Robert Medeksza Ultra Hal
2008 Fred Roberts and Artificial Solutions Elbot
2009 David Levy Do-Much More
2010 Bruce Wilcox Suzette
2011 Bruce Wilcox Rosette
2012 Mohan Embar Chip Vivant
2013 Steve Worswick Mitsuku
2014 Bruce Wilcox Rose
2015 Bruce Wilcox Rose
2016 Steve Worswick Mitsuku
2017 Steve Worswick Mitsuku
2018 Steve Worswick Mitsuku
2019 Steve Worswick Mitsuku

脚注

  1. ^ ローブナー賞, on season 4, episode 3” (英語). Scientific American Frontiers(英語: Scientific American Frontiers. PBS (1993-1994). 2006年時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月閲覧。

関連項目

外部リンク


ローブナー賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 01:17 UTC 版)

チューリング・テスト」の記事における「ローブナー賞」の解説

詳細は「ローブナー賞」を参照 ローブナー賞では、チューリングテスト実際に行う場を毎年提供している。最初大会は、1991年11月開かれた。ローブナー賞はヒュー・ローブナーによって開催され、アメリカマサチューセッツ州のケンブリッジ行動研究センター(the Cambridge Center for Behavioral Studies)が2003年まで運営していた。ローブナーが語ったように、大会の目的AI研究発展させることであり、また「それ(チューリングテスト)を実際にやろうとする人が誰もいなかった」ことも開催理由一部である。 銀賞(聴覚)と金賞(聴覚視覚)の受賞はまだない。だが、エントリーした中で、審判意見による、「最も人間らしい(most human)」会話上のふるまい見せたコンピュータシステム毎年銅賞贈られている。Artificial Linguistic Internet Computer Entity (A.L.I.C.E. 人工言語インターネットコンピュータ体)は近年3回(200020012004)銅賞受賞している。学習AIJabberwacky2005年2006年受賞している。Jabberwacky制作者たちは、テスト通過のため、テスト前に人間プレイヤー長く会話しておき、テストの際はこのプレイヤー真似専念する、という個人バリエーション機能導入した。 ローブナー賞で試験されるのは会話上の知性である。受賞プログラム典型的な会話ボットであり、人工話者英語版)である。初期のローブナー賞では会話制限ルールとなっていた。エントリーされたプログラム隠れた人間が話すのは一つ話題のみで、同様に質問者も一回につき一行のみに制限され質問行っていた。この会話制限ルール1995年のローブナー賞では取り払われ様々な長さ会話なされるようになったサリー大学行われた2003年のローブナー賞では、質問者はプログラムもしくは人間相手と5分間話すことができた。2004年から2007年は、20分以上会話時間とってもよいことになった2008年には質問制限時間1組あたり5分になった。これは主催者のケビン・ウォーリック(Kevin Warwick )とまとめ役のヒューマ・シャー(Huma Shah )が、長い会話をしたからといって人工話者ほんとうに進歩したとはいえないと考えたためであった皮肉にも2008年受賞プログラムのエルボットは人間真似るものではなかった。個性ロボット自身のものだったにもかかわらず人間並行比較して、3人の質問者を騙し人間だと思わせた。 ローブナー賞により、チューリングテスト現実性や、テスト実行する意義について新たに議論巻き起こったエコノミスト誌は、「artificial stupidity」(人工馬鹿)というタイトル記事中で、最初のローブナー賞受賞プログラム受賞理由(少なくとも理由一部)が、「人間らしいタイプミス真似」できたからだと書いている(チューリングは、出力ミス加えればプログラムゲームより良い「プレイヤー」になると勧めている)。チューリングテスト通過挑戦するのは他の実のある研究の邪魔になるだけと言うものもいる。ローブナー賞の初期第二の問題起こった。「単純な(unsophisticated)」質問者を使ったため、知性思われる何らかの要素よりも、器用に作られごまかし通過できたということである。ローブナー賞は2004年から質問者の中に哲学者計算機科学者ジャーナリスト配している。

※この「ローブナー賞」の解説は、「チューリング・テスト」の解説の一部です。
「ローブナー賞」を含む「チューリング・テスト」の記事については、「チューリング・テスト」の概要を参照ください。

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