マス・コミュニケーションとコミュニケーション技術の進歩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 15:09 UTC 版)
「コミュニケーション」の記事における「マス・コミュニケーションとコミュニケーション技術の進歩」の解説
新聞やテレビ、ラジオ、インターネットなどのマスメディアを通じ大衆に大量の情報を伝達するマスコミュニケーションも、コミュニケーションという語が含まれていることからもわかるとおりコミュニケーションの一種である。ただし他のコミュニケーションが多かれ少なかれ双方向性を持つのに対し、情報の受け手である一般大衆から情報の送り手であるマスメディアへの反応が非常に微弱なものであり、ほぼ送り手であるマスメディアから受け手である一般大衆への一方的な伝達の傾向を強く持つのが特徴である。インターネットの普及によって、インターネットメディアにおいてはこの一方向性はやや薄まったものの、在来のマスメディアにおいてはこの傾向に変化はない。 こうしたマスコミュニケーションは、はるか古代に筆記がはじまり、文字のしるされた文書が残されるようになった時にはじまった。筆記によってそれまで会話によるしかなかったコミュニケーションの保存が可能となり、遠隔地やはるか後世の人々にも情報の伝達ができるようになったためである。当初粘土板やパピルスによっていた記録は、2世紀初頭に後漢の蔡倫が紙を開発したことでより容易なものとなった。紙や羊皮紙などの記録媒体と墨やインクといった筆記材料をもとに印刷と出版がはじまり、これらは15世紀にヨハネス・グーテンベルクが活版印刷術を発明してから急速に拡大し、社会・文化など各方面において大きな影響を及ぼした。 活版印刷術は新聞や雑誌といった出版文化の隆盛をもたらしたが、いまだ即時性を獲得してはいなかった。19世紀に入ると電気学の進歩によって電信や電話といった即時性のある遠隔コミュニケーション手段が開発されたが、これはマスコミュニケーションではなく一対一の連絡手段として発達していった。1894年にはこの技術を基盤として無線通信が誕生し、線によってつながっていない船舶や極度の遠隔地においても即時のコミュニケーションが可能となったものの、これもまた一対一の連絡手段を志向する発展を遂げていった。ふたたびマスコミュニケーションが大きく発展するのは、無線通信技術を基礎として1920年代にラジオ放送が開始されたときのことである。このラジオの開発によってマスコミュニケーションは即時性を獲得し、さらに出版メディアとは異なり国境をやすやすと越えることができ、音声メディアであるために文字の読めない人々にも情報を届けることが可能となった。20世紀後半にはテレビの開発によってマスコミュニケーションは音声のみならず映像をも人々に伝達することが可能になり、さらに大きな役割を果たすようになった。いっぽうラジオは1950年代中盤のトランジスタラジオの開発によって小型化が進み、電池の改良と相まってどこにでも携帯することが可能になった。1990年代後半にはインターネットが普及することにより、マスメディア以外の一般市民の多くも不特定多数への情報発信を行うことが可能となり、また携帯電話の登場によって個人間のコミュニケーションもまた線から解き放たれ、どこにいても連絡を取り合うことが可能となった。
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