マスコミ報道と自殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 06:52 UTC 版)
「en:Copycat suicide」、「en:Social media and suicide」、「ウェルテル効果」、および「パパゲーノ効果」も参照 WHO自殺報道ガイドラインすべきではないこと 写真や遺書を公開しない 具体的で詳細な自殺手段を報告しない 単純化した理由付けをしない 自殺を美化したり、扇情的に扱わない 宗教的な固定観念や文化的固定観点を用いない 悪人探しをしない インターネットを含むメディアは重要な役割を果たしている。自殺を描写するある種の描写は、自殺の発生を増加させる可能性があり、自殺を賛美したり美化したりする大量の・目立った・反復的な報道が最も影響を及ぼす。具体的な手段で自殺する方法を詳細に描写すると、この自殺方法は全体として人口を増加させる可能性がある。 センセーショナルな自殺報道がなされた場合に、他者の自殺に影響されて複数の自殺を誘発すること(群発自殺(clustered suicide、Copycat suicide))が統計的に知られており、この事実を実証した社会学者のDavid P. Phillipsによりウェルテル効果と名づけられている。逆に自殺を抑制する報道効果はパパゲーノ効果と呼ばれる。 日本では例えば、1986年(昭和61年)4月8日にアイドル歌手の岡田有希子が18歳で自殺すると30余名の青少年が自殺し、「そのほとんどが、岡田と同様に高所から飛び降りて自殺した」。「この影響はほぼ1年続き、1986年はその前後の年に比べて、青少年の自殺が3割増加」した。 また@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}X JapanのHideが自殺した(後に事故死の説も浮上する)月はその周辺の月に比べ、2倍程度自殺率が高い[誰によって?]。(1998年は自殺者が急増した年であり、その大半が中高年、男性であった) 別個の問題として、2000年ごろの日本での練炭騒動や2007年前後の日本での硫化水素騒動のように、報道番組が新たな自殺方法をセンセーショナルに取り上げることで、その自殺方法が喧伝(けんでん)されてしまう場合もある。 自殺報道にはこうした負の影響があるため、世界保健機関は2000年「自殺報道ガイドライン」において「写真や遺書を公表しないこと」「自殺の詳しい内容や方法を報道しないこと」「自殺に代わる手段(alternative)を強調すること」「ヘルプラインや各地域の支援機関を紹介すること」などを勧告した。2011年、内閣府参与の清水康之は、日本における「自殺報道ガイドライン」の策定を提案した。2020年代、報道各社はおおむねガイドラインに沿った報道を行うようになったが、一部には「死因は確定されていない」として、タレントが自殺した自宅前からテレビ中継を行う事例も見られた。 報道方法を変えることにより、自殺数を減らすことに成功した例として、1984年から1987年にかけてオーストリアのウィーンでジャーナリストが報道方法を変えたことで、地下鉄での自殺や類似の自殺が80%以上減少し、自殺率を減らす効果があったといわれる。 フィンランドでは、自殺の報道方法変更を含む諸対策により、自殺率の減少を達成している。 Twitterでは自主的な対応として「自殺」と検索すると最上位に東京自殺防止センターなど厚生労働省が委託する団体へ誘導するリンクが表示される。
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