ペンシルバニア形軸ばね式台車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 06:17 UTC 版)
「国鉄オハ35系客車」の記事における「ペンシルバニア形軸ばね式台車」の解説
戦前製造グループはスハ32系の設計を踏襲し、2軸ボギー車はTR23、3軸ボギー車はTR73を装着する。 いずれも頭端部にコイルばねを内蔵する鋳鋼製軸箱部と、形鋼の加工品による側枠を組み合わせ、中央部に短リンク式の揺れ枕吊りを下げてここでボルスタからの荷重を重ね板ばねを介して受け止める構造の、いわゆるペンシルバニア形の軸ばね式台車である。 この系統の台車は軸箱間を連結する釣り合い梁(イコライザー)をもたないため、軌道条件の特に劣悪な線区での追従性や乗り心地では若干見劣りした。その一方で台車枠が一般的な形鋼と鋳鋼製部品で構成されており、材料の調達に制約がほとんどなく、ばね下重量の減少で軌道破壊を抑止でき、さらに邪魔なイコライザーがないため消耗品であるブレーキシューの交換時にピットに潜り込む必要もないという、製造保守などの面で極めて有利かつ重要な特徴があった。 もっとも、その反面この系統の台車は軸箱部と側枠の接合部分の設計や工作が難しく、例えばTR23の場合、1929年(昭和4年)のスハ32600形を筆頭とするスハ32系第一陣の製造時に設計された第1世代のもの(図面番号VA3058)では大荷重時などに接合部の強度不足から軸箱部が線路の外側に飛び出す方向に徐々に開いて行くという現象が多発することが就役後の検査で判明した。この問題を解決するため、1930年(昭和5年)以降に製造されたタイプ(図面番号VA3062)では接合部の設計変更で変形を防止するように改良されている。 このように初期にはマイナートラブルも発生したが、戦前には本系列をはじめとする客車だけでなく、電車や一部の電気式気動車にまで、細部仕様を変えつつこれと同種の構造を備える台車が幅広く採用された。戦後製造グループではTR23の基本構造を変えずに、軸受を従来の平軸受からコロ軸受に変更したTR34に移行した。
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