フードファディズムとは? わかりやすく解説

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フードファディズム

英語:food faddism

食が健康に及ぼす影響過大誇大に捉え関連情報偏執的なほどに気にすること、および、そのために却って通常の健康的な食生活からかけ離れること。

フードファディズムの「ファディズム」は、英語で「(一時的な流行に)のめり込む」といった意味合いの語である。

フードファディズムは、医学的に効果立証されているわけではないような、あるいは部分的に妥当性があるとしかいえないような「食品健康との関係に関する情報を、食生活極端に反映させる。たとえば、健康によい・病気に効くとされる食品しか食べなかったり、健康を損ねる可能性があるとされる食品徹底的に避けたりする。こうした傾向偏食招き、それ自体が健康を害する恐れもある。

フードファディズムの「のめり込み」の対象となる食品には流行があり、書籍マスコミ大い取り上げられ大い購入されるという例が少なくない納豆のように常に流通している食品がフードファディズム的な流行乗る場合もあるが。「紅茶きのこ」や「カスピ海ヨーグルト」のように市場からほぼ姿を消す場合少なくない

フード‐ファディズム【food faddism】


フードファディズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/04 02:37 UTC 版)

フードファディズム: food faddism)とは、食べものや栄養健康と病気に与える影響を、熱狂的、あるいは過大に信じること、科学が立証したことに関係なく食べものや栄養が与える影響を過大に評価することである[1]。例えば、マスコミで流されたり書籍・雑誌に書かれている「この食品を摂取すると健康になる」「この食品を口にすると病気になる」「あの種の食品は体に悪い」などというような情報を信じて、バランスを欠いた偏執的で異常な食行動をとること[2]

ファディズムとは流行へののめりこみであり、すなわちフードファディズムとは食べ物に関するのめりこみである。この言葉は早くも1952年マーティン・ガードナーの著書に見られ、事例と科学的根拠の詳しい検討は1990年代の著書『栄養と行動』に見られる。『栄養と行動』は、食べ物の影響を検証する唯一の方法は科学的研究による立証であるとし、偏見的な見方を排除するための二重盲検法のような研究を重視している[1]

言葉と起源

フード(food)とは食品のことである。ファディズム(faddism)とは、一時的な流行を熱心に追いかけること[3]、流行かぶれ[3]、あるいは流行傾れ、一時的流行・「のめり込み」という意味である[4]

米国では、早くも1952年のマーティン・ガードナーの著書In the Name of Scienceにおいてfood faddismという概念は紹介されている。1980年にその日本語訳『奇妙な論理』が出版された[5]。そこでは市場泰男は「食物のあぶく流行」という翻訳表現をあてている。

日本にフードファディズムの概念を紹介した人は、食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会専門委員である群馬大学教授の高橋久仁子で、1998年頃のことだといわれている[注 1]。1991年、高橋はその年に出版された Nutrition and Behavior を読み、フードファディズムという概念を認識し、この本を翻訳し1994年に『栄養と行動』[1]として出版した[6]

フードファディズムの対象と問題点

フードファディズムの対象として取り上げられるものは、いわゆる健康食品、ダイエット食品から砂糖化学調味料水道水と幅広く、身体に良いとされるもの、逆に害になるとされるものなど様々である[7]。また、食品業界によるロビー活動を告発したマリオン・ネスルによれば、健康への貢献に対して優れた食品とそうでない食品があるが、食品会社は良い食べもの、悪い食べものはない、自社の商品は悪くないと思わせようとしているということもある[8]

フードファディズムに対して見て見ぬふりをするわけにはいかないのは、健康被害や詐欺という実害があるからだと指摘されている[9]。実例として、ベル・ギブソン英語版という、有機農業で生産された食品のみを摂取することによって末期がんを克服したと称していたオーストラリア人女性が発信していた情報を真に受けた世界中のがん患者が病院での治療を中止して症状が悪化するという騒動が発生したことがある[要出典]

フードファディズムの解決策:エビデンスの重視

健康な食事ピラミッド

フードファディズムに陥らないようにする方法、解決策は、食と健康に対するしっかりとした知識を身に着けることである[2]

『栄養と行動』によると、食事や栄養の影響を検証する唯一の方法は科学的研究による立証であるため、研究にも再現性客観性が求められ、また結果の偏りを最小にする被験者が多い研究や、偏見的な見方を排除するための二重盲検法のような方法をとっているかということも重要である[1]

1990年代より、医学領域において普及し始めた「根拠に基づく医療」(EBM、 evidence-based medicine) の態度はこのような客観性を目的としている。こうした動きを受けて栄養学の領域でも、EBMが提唱されている[10]

ハーバード大学公衆衛生学部の栄養学部の教授が最新の科学を反映させ企業や団体の影響を受けずにつくった「健康な食事ピラミッド(healthy eating pyramid)」[11]は、健康に悪い影響を与える精白された穀物、赤肉・バター、砂糖がたくさん入った飲食品を控えるということが分かりやすく図示されている。

事例

このリストにあるのはフードファディズムとして判断されるものであって、実際に科学的な根拠に基づいた効果・害があるかどうかとは無関係である。

良いとされる食品・調味料・食品添加物

悪いとされる食品・調味料・食品添加物

脚注

注釈

  1. ^ 「砂糖を科学する会」のメンバーとして、砂糖を主とした解説を行った。今月の視点0008a/砂糖への疑惑の払拭 Archived 2007年10月30日, at the Wayback Machine.、事業団から9908b/砂糖類生産流通合理化等助成対象事業について(その1) Archived 2008年6月28日, at the Wayback Machine. (独立行政法人ALIC-農畜産業振興機構 砂糖類情報)より。

出典

  1. ^ a b c d Robin B. Kanarek、Robin Marks-Kaufman 『栄養と行動』 高橋久仁子(訳)、高橋勇二(訳)、アイピーシー、1994年、2–7頁。全国書誌番号 94057732。
  2. ^ a b 『知恵蔵 2014』「フードファディズム」的場輝佳 執筆担当
  3. ^ a b デジタル大辞泉
  4. ^ 「がんばらない」の医師 鎌田實VS群馬大学教授・食の専門家 高橋久仁子さん”. がんサポート情報センター. 2011年12月24日閲覧。
  5. ^ 『奇妙な論理』市場泰男(訳)、社会思想社、1980年。早川書房、2003年1月。ISBN 978-4150502720
  6. ^ 高橋久仁子 『フードファディズム-メディアに惑わされない食生活』 中央法規出版、シリーズCura、2007年9月、14頁。ISBN 978-4-8058-3004-8
  7. ^ 『「食べもの情報」ウソ・ホント-氾濫する情報を正しく読み取る』高橋久仁子講談社ブルーバックス、1998年10月、ISBN 4062572311)では、健康雑誌の目次や新聞広告は繰り返し同じ様な食品を特集していると統計している。
  8. ^ マリオン・ネスル 『フード・ポリティクス-肥満社会と食品産業』 三宅真季子(訳)、鈴木眞理子(訳)、新曜社、2005年、24頁。ISBN 978-4788509313
  9. ^ 高橋久仁子 「フードファディズムにみるマスメディアと食」『食と教育』 ドメス出版、2001年10月、187頁。ISBN 978-4810705508
  10. ^ 佐々木敏「栄養学におけるエビデンスとはなにか」『セラピューティック・リサーチ』第26巻第7号、2005年、1343–1348頁、2011年12月24日閲覧 
  11. ^ Healthy Eating Plate and Healthy Eating Pyramid”. What sould I eat?. Harvard School of Public Health. 2008年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月24日閲覧。

参考文献

  • マリオン・ネスル 著、三宅真季子・鈴木眞理子 訳『フード・ポリティクス-肥満社会と食品産業』新曜社、2005年。ISBN 978-4788509313 
  • 高橋久仁子 『フードファディズム-メディアに惑わされない食生活』 中央法規出版、シリーズCura、2007年9月。ISBN 978-4-8058-3004-8
  • 高橋久仁子 『食べもの神話」の落とし穴-巷にはびこるフードファディズム』 講談社《ブルーバックス》 2003年9月。ISBN 4062574187
  • 高橋久仁子 『「食べもの情報」ウソ・ホント-氾濫する情報を正しく読み取る』 講談社《ブルーバックス》、1998年10月。ISBN 4062572311
  • 高橋久仁子 『食と健康Q&A-チョットおかしな情報の見分け方・接し方』フットワーク出版、2002年10月。ISBN 4-87689-447-7
  • 松永和紀 『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』光文社新書、2007年。ISBN 978-4-334-03398-9

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