ヒト胎盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/27 08:52 UTC 版)
東洋では、ヒトの胎盤(英語:human placenta、ラテン語:Placenta Hominis)は生薬として紫河車(しかしゃ)と呼ばれ、他の呼称として人胞、包衣、胞衣、胎胞、胎衣、人胎、河事、胞屋、京河車、温河車、杜河革、白河率、草河率、仙人衣、混沌衣、混元母、沸架裟、鮮胞衣がある。中国では『中華人民共和国葯典一部』に収載され医薬品の扱いである。 ヒト胎盤として中国、香港、台湾で購入した10個を分析した調査では、うち5個が本物とされたが、残り5つはヒトDNAなどが検出されず偽物とされた。また本物とされた5つのうち1個はデンプンが混入されていたので要求水準を満たさない品質であった。動物のDNAは10個すべてから検出されなかった。 日本では、ヒトの胎盤は、産婦人科で出産時に排出されたものが冷凍保存され、定期的に業者が回収している。病院側もどういった用途に使用されるのか把握しておらず、妊婦にも使用の承諾を取っていないケースが多い。行政も病院で廃棄された胎盤の取り扱いについてあいまいな表現している。例えば厚生省は、胎盤は医療廃棄物として出されば廃棄物であるが、回収して有効利用する場合は廃棄物には該当しないしている。また、手術で摘出された臓器などと同様に人体の一部のため、その取扱いには人道上の配慮が必要と釘を刺している。妊産婦の了解のないまま胎盤を再利用し、商品を製造することに懸念を示す意見もある。1990年代にヒトプラセンタエキスを製造・卸販売していた目黒研究所によれば当時の製造工程で、500グラムのヒト胎盤から26mlの胎盤エキスが抽出された。 日本で1990年代には高級化粧品や育毛剤、滋養強壮ドリンク剤にヒト胎盤エキスも使われていた。日本では2003年の法改正により、ヒト組織由来の製品を使用した場合に記録保管の必要が生じ、診療を伴う医薬品以外では家畜の胎盤が使われるようになった。 経口医薬品のビタエックスでも過去にヒト胎盤抽出物を使用していたが、法改正を機に自主回収され、2019年にはビタエックスは豚胎盤を使っているとされる。 当初ヒト胎盤から発見されヒト胎盤からも抽出できるDNA断片であるポリデオキシリボヌクレオチド (PDRN) には組織修復作用があり、魚類から抽出したものがイタリアや韓国で創傷治療のための医薬品となっている。原料のヒト胎盤の抗酸化物質としてトリプトファンが確認できた。
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