パイロットの選抜と訓練
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/29 09:24 UTC 版)
「イスラエル航空宇宙軍」の記事における「パイロットの選抜と訓練」の解説
これまで39人のイスラエル空軍パイロットが5機以上の敵機を撃墜してエースの称号を獲得した。そのうち10人が8機以上の敵ジェット機を撃墜した。過去最高のエースは17機の撃墜記録を持つギオラ・エプスタイン大佐である。エプスタイン大佐は朝鮮戦争以来のジェット機撃墜の世界記録を持っている。 イスラエル空軍のパイロット選抜プロセスは「パイロットに最適な人材だけを採用する」という近代イスラエル空軍の父と呼ばれるエゼル・ヴァイツマンの思想に始まる。彼の理論は、空から思うままに攻撃できる状況では地上部隊の技能と勇敢さが無駄になる、というものであった。結果として、パイロットはその訓練課程の前の生まれつきの能力によってまず選抜され、さらに軍の「世界で最も厳しい選抜コース」の中で最適とみなされた人だけを採用する事となった。 従ってイスラエルのパイロットになる可能性の有無は、まず18歳で兵役に就く以前の段階で「学校での高い成績」「規定のテストでのトップの得点」「優れた健康状態」と「高い技術的才能」といった要素に基づいて選抜される。これらの基準や他の条件に合致した人材が集められ、身体的・精神的・社会的課題を伴う6日間の選抜コースに参加する。新兵は割り当てられた任務をこなす能力だけではなく、例えば 彼らがどのように困難や予想外のトラブルに対応するか、彼らが集団内でどれほどうまく活動するか、彼らがどのように問題解決や管理不能状態に取り組むか、といったその姿勢も問われる。選抜コースの過程で参加者の9割が不合格となるという。 選抜コースに合格すると、士官学校ではなくイスラエル空軍学校に入校し、空を飛ぶ前に3年間の訓練課程がある。航空教育以外にも基礎教練や士官としての教育が施される。またネゲヴ・ベン=グリオン大学と提携しているため文系・理系の学士号を取得できる。素養は随時判定され、操縦訓練に入る前に多くが不合格となる。訓練課程をリタイアした者は航法員などパイロット以外の職種で空軍に残るか、陸海軍に移籍するかのどちらかである。機種の割り当ては適性により判定される。 このような18歳前後からパイロット要員として直接採用・教育するシステムは、第二次大戦中にパイロットが不足した際に多くの国で実施されたが、戦後は需要が落ち着いたため、士官学校で4年間の教育を受けた卒業生から適正者を振り分け、操縦訓練を実施するのが基本となった。イスラエル以外の早期教育制度としては日本の航空学生制度がある。 1994年に南アフリカからのユダヤ人移民アリス・ミラーによる高等裁判所への提訴という画期的な出来事によって、空軍は女性達に航空学校への入学資格を認めるよう指示された。ミラーは入学試験には合格したが、医療検査にパスしなかったためパイロット資格は取得できなかった。最初の女性戦闘機パイロットは2001年に資格を取得した。 アラブ系イスラエル人がイスラエル国防軍に志願した場合、彼らが空軍訓練に参加できるかどうかは不明である。2006年にアラブ系イスラエル人がパイロット選抜コースに志願したが、受け入れられなかった。
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