バルカン室内管弦楽団との活動
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「柳澤寿男」の記事における「バルカン室内管弦楽団との活動」の解説
旧ユーゴスラヴィア崩壊後、紛争によりばらばらになった各民族間の交流の架け橋として、また、バルカン半島(特に旧ユーゴスラヴィア)の民族共栄を願って2007年、コソボ北部のミトロヴィッツァにバルカン室内管弦楽団を設立。同年、ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100」に選出。実際は2006年にマケドニアにて設立されたが参加者が思うように集まらず、マケドニア人のみの編成でスコピエ夏音楽祭に参加している。しかしバルカン室内管弦楽団の名前は音楽祭主催者によってインターナショナル・オーケストラと変えられてプログラムに記載されている。 2009年5月、ミトロヴィッツァにて、セルビア人、アルバニア人、マケドニア人を楽団員にコンサートを開催。UNDPのコソボにおける開発計画を中心に行われたコンサートは、セキュリティー維持のため数日前までコンサート告知ができなかったり、プログラムへ記載するいくつかの言語に優劣がつかないよう配慮したり、リハーサルおよびコンサートに警察の警備が必要であったりと開催自体が困難を極めたが、UNDPのミトロヴィツァを対象とした特定地域対象プログラム、UNKT(国連コソボチーム)、KFOR(国際安全保障部隊)、コソボ警察などの協力を得て、約20年ぶりとなる民族間交流のハーモニーを実現した。このコンサートの様子はBSジャパン(テレビ東京系)「戦場に音楽の架け橋を〜指揮者柳澤寿男コソボの挑戦」(第6回日本放送文化大賞グランプリ受賞)で放送され、日本国内でも話題となった。このことは日本の高等学校検定教科書「世界史A」(実教出版)に小コラムとしてとりあげられた。 2010年9月には、ニューヨークでの国連総会に付随するイベント「バルカン・リーダーズ・サミット」に招かれ、バルカン各国の大統領、首相を前に演奏を披露した。 2011年11月、アルバニア共和国ティラナにて、UNDP(国連開発計画)アルバニアとともに教育を受けないロマ民族とのコンサートを開催。楽譜を読めないロマ民族とのコンサートは、アドリブで演奏するロマ民族にバルカン室内管弦楽団がほぼ即興で伴奏をつけながら演奏するというものだった。ロマ以外の社会と接点が少ないロマが音楽を介して外の社会との新しい交流を生み、また演奏前には「夢はありません」と語っていたロマの奏者がコンサート後には「できることならもっと音楽を学び、バルカン室内管弦楽団で一緒に演奏することが夢になった」とコメントするコンサートとなった。 2009年、2012年には来日コンサートを果たし、2009年には女優の星野知子が、2012年には俳優の辰巳琢郎が司会を務めている。 柳澤寿男とバルカン室内管弦楽団は、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件から100年のイベントとして、2014年にサラエボでの開催を目指した「世界平和コンサートへの道」プロジェクトを立ち上げた。
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