ノルウェーとバルト海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 14:05 UTC 版)
「プリンツ・オイゲン (重巡洋艦)」の記事における「ノルウェーとバルト海」の解説
1942年2月21日、プリンツ・オイゲンは戦艦部隊司令長官オットー・チリアクス中将の旗艦として重巡洋艦アドミラル・シェーア、駆逐艦リヒャルト・バイツェン、パウル・ヤコビ、ヘルマン・シェーマン、フリードリヒ・インとノルウェーへ向かった。Grimstadfjordに短時間立ち寄り、それからトロンハイムへ向かった。2日後、Trondheimsfjord沖を航行中にイギリス潜水艦トライデントがプリンツ・オイゲンを雷撃。艦尾に命中した魚雷により艦尾を大破。プリンツ・オイゲンはLofjordへと曳航され、そこで数ヶ月にわたって修理が行われた。艦尾はすべて切り取られ、板で覆われて手動の舵が備え付けられた。 5月16日、プリンツ・オイゲンは自力でドイツへ向け出発した。キールへの航海中、イギリスの爆撃機19機と雷撃機27機がプリンツ・オイゲンを攻撃したが命中弾は無かった。10月まで修理のため戦列をはなれ、10月27日に公試を開始した。それから2ヶ月間はバルト海での訓練に費やされた。1943年1月初め、ドイツ海軍はノルウェーに展開する部隊への増援としてプリンツ・オイゲンにノルウェーへ戻るよう命じた。1月中に2度プリンツ・オイゲンはシャルンホルストとともにノルウェーへ向かおうとしたが、イギリス軍機に発見されたため引き返した。ノルウェーへの移動が不可能であることがあきらかとなると、プリンツ・オイゲンは練習艦隊に配属された。9ヶ月間、プリンツ・オイゲンはバルト海で士官候補生の訓練に使用された。 東部戦線においてソ連軍がドイツ軍を押し戻し始めると、プリンツ・オイゲンを砲術支援艦とする必要が生じた。そのため、1943年10月1日にプリンツ・オイゲンは戦闘任務に復帰した。1944年6月、プリンツ・オイゲンと重巡洋艦リュッツオウ、第6駆逐隊は第2任務部隊を編成し、それは後にティーレ任務部隊(Thiele Task Force)と改称された。8月19・20日、プリンツ・オイゲンはリガ湾に入り、トゥクムスを砲撃した。4隻の駆逐艦がプリンツ・オイゲンの搭載機Ar 196とともにそれを援護した。プリンツ・オイゲンによる砲撃はソ連軍の撃退に効果があった。 9月初め、プリンツ・オイゲンは要塞島、ゴーグラント島攻略作戦を支援したが、作戦は失敗に終わった。それからプリンツ・オイゲンはゴーテンハーフェンに戻り、フィンランドから脱出するドイツ軍を運ぶ船団を護衛した。6隻の貨物船からなる船団は9月15日にボスニア湾から出発し、第2任務部隊の全戦力がそれを護衛した。スウェーデン軍の航空機と駆逐艦が船団を追跡したが、妨害はしなかった。翌月、プリンツ・オイゲンは砲撃支援任務に戻った。10月11・12日、クールラント橋頭堡・メーメルのドイツ軍に対する支援砲撃を実施。2日間にわたる砲撃で約700発の主砲弾を発射した。弾薬の補給後、再び砲撃に戻り、14日と15日にさらに主砲弾370発を発射した。 ゴーテンハーフェンへの帰投途中の10月15日にプリンツ・オイゲンはヘル北方で軽巡洋艦ライプツィヒに衝突し、ライプツィヒの乗員19人が死亡。この事故は濃霧により発生した。ライプツィヒは危うく分断されるところであり、2隻は14時間繋がったままであった。プリンツ・オイゲンはゴーテンハーフェンへ送られ、そこで1ヶ月にわたって修理が行われた。ライプツィヒも応急修理を受け、翌1945年には何とか自力航行が可能になるまで回復した。11月20・21日、プリンツ・オイゲンはソルベ半島のドイツ軍支援のため、主砲弾約800発を発射した。 1月中旬、プリンツ・オイゲンはザームラントのソ連軍砲撃に派遣された(ケーニヒスベルクの戦い)。プリンツ・オイゲンはケーニヒスベルクへ進撃するクランツのソ連軍に対して主砲弾870発以上を発射した。この時点でプリンツ・オイゲンは主砲の弾薬を使い果たしていたが、軍需品の欠乏のため3月まで港にとどまり、それからゴーテンハーフェンやダンツィヒ、ヘラ周辺のソ連軍に対して砲撃を行った。4月8日、プリンツ・オイゲンはリュッツオウとともにスヴィーネミュンデへ向かった。4月13日、34機のアブロ ランカスター爆撃機が港内の2隻を攻撃。だが、この日は厚い雲のため攻撃は失敗した。2日後に再び攻撃が行われ、リュッツオウが撃沈された。それから、プリンツ・オイゲンはコペンハーゲンへ向かい、4月20日に到着。5月7日に退役し、翌日イギリス海軍に引き渡された。
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