デジタル庁の機能および位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 06:16 UTC 版)
「デジタル庁」の記事における「デジタル庁の機能および位置づけ」の解説
これまでの政府におけるデジタル戦略は、内閣官房IT総合戦略室が所管してきたが、デジタル庁は、その発展的な新組織体と位置づけられる。デジタル化の速やかな推進を目的に、その障害となっている府省間の縦割りを打破すべく、各府省に対する司令塔として、予算を含めた企画立案と統括・監理の強い権限、さらに、勧告等を含めた総合調整の役割を与える計画である。 また、国のデジタル化について、「単に情報システムを整備する、手続をオンライン化する、手続に係る費用を削減する、オンライン利用率を上げるということを意味するものではない」とし、「サービス設計12か条」に基づく行政サービス改革・業務改革(BPR) の徹底を基本方針としている。 このことは、「デジタル・ガバメント実行計画」(2020年(令和2年)12月25日に閣議決定で改定)の冒頭で強調されている「デジタル技術やデータを活用して、利用者目線に立って新たな価値を創出するデジタルトランスフォーメーション(DX)」そのものであり、「これまでのデジタル化のように、紙や対面で行っていた手続を単にオンラインでできるようにするなど、従来のやり方をデジタルに置き換えるだけの、いわゆるdigitization(デジタイゼーション)ではなく、デジタルを前提とした次の時代の新たな社会基盤を構築するというdigitalization(デジタライゼーション)の観点の重要性」を具現化するものでもある。また、「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日閣議決定)では、デジタルトランスフォーメーション・デジタライゼーションを実現していく上での手法・思想として、「オープン・透明」(標準化や情報公開による官民の連携など)、「迅速・柔軟」(「小さく産んで大きく育てる」という考え方、変化に柔軟に対応できるシステムの形成、アジャイル発想など)などといった基本原則も明示された。 このような抜本的なデジタル改革・業務改革を担う「デジタル人材」については、「優秀な人材が民間、自治体、政府を行き来しながらキャリアを積める環境を整備する」という流動性の高い人材像・キャリアパス(いわゆる「回転ドア方式」)を描くとともに、2021年(令和3年)度前半には、「政府機関におけるセキュリティ・IT人材育成総合強化方針」を改定するとしている。ITをバックグランドとしない一般職員についても、これまで総務省が行ってきた府省共通の「情報システム統一研修」を改善・強化し、「橋渡し人材」(ITに関する「高度専門人材」と「一般行政部門」との橋渡しができる人材)の質・量を一層充実させる方針(特に課長補佐級)が打ち出されている。 ただし、このような改革の試みは、「情報」の属人性や偏在を排し、その透明性・流通性を高めるものでもあるため、これまで「情報」を権力の源泉としてきた組織や層の抵抗が不可避との悲観的観測もある。 内閣情報通信政策監は廃止され、デジタル監が設置される。デジタル庁の事務次官に相当するが、他省庁の事務次官と異なり、特別職である。初代デジタル監については、一橋大学名誉教授の石倉洋子が起用された。 また、次官級審議官に該当するデジタル審議官も置かれる。
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