デジタル式投影機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 02:36 UTC 版)
デジタル式では、ドームの全面または一部を1台または複数のビデオプロジェクターを使って映像を投影する。1台のプロジェクターを使用する場合は魚眼レンズを使うことが多いが、解像度および輝度の点で満足できないことが多い。最初のデジタル式プラネタリウムと言えるのはアメリカのエバンズ&サザーランド(Evans & Sutherland)が開発したDigistar(デジスター)である。これは魚眼レンズを用いる方式であった。なお、Digistarは白黒でベクトル式描画である。その後、五藤光学研究所により複数のビデオプロジェクターを組み合わせてドームに投影する方式を採用したVirtuarium(バーチャリウム)が開発・商品化される。Virtuariumはカラーでラスター式の描画である。Virtuariumに続いて同様の方式に基づいた、エバンズ&サザーランドのStarRider(その後Digistar 3に続く)、アメリカ・スカイスキャン(Sky-Skan Inc.)のSkyVision(その後DigitalSky2 に続く)、スピッツのDigiDome、カール・ツァイスのADLIPなどが開発された。また、小規模ドーム用に魚眼レンズを用いて投影するMEDIAGLOBEがコニカミノルタプラネタリウムによって販売されている。 デジタル式プラネタリウムはコンピュータグラフィックスなどを使って自由に映像を展開できる点で、プラネタリウム番組の表現力が大幅にアップするメリットがある。その反面、プロジェクターの進歩こそあるものの、恒星の輝き方や宇宙の暗黒部の再現といった部分は現在でも光学式には遠く及ばない。アメリカではデジタル式が流行しているが、光学式に対する根強い支持もある。 2019年、エバンス&サザーランドが全く新しい映像システム「DomeX」を発表。これは従来投影スクリーンとして利用していたドーム全体にLEDを取りつけてドーム全面をLEDディスプレイ化したもので、「投影」という従来の常識を根底から覆す画期的な映像システムとして注目されている。コニカミノルタプラネタリウムは、日本初のLEDドームシステム「DYNAVISION-LED」によるプラネタリウムシアター「コニカミノルタプラネタリウム満天NAGOYA」を2021年10月27日に開設した。
※この「デジタル式投影機」の解説は、「プラネタリウム」の解説の一部です。
「デジタル式投影機」を含む「プラネタリウム」の記事については、「プラネタリウム」の概要を参照ください。
- デジタル式投影機のページへのリンク