チェルノブイリ原子力発電所事故
別名:チェルノブイリ発電所事故、チェルノブイリ原発事故、チェルノブイリ事故
英語:Chernobyl disaster
1986年にソビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所(2011年現在のウクライナに位置する)で発生した深刻な原発事故。原子炉(4号炉)が炉心溶融(メルトダウン)ののち再臨界によって爆発、火災とともに大量の放射性物質が飛散した。現場にいた作業員などの多くが急性放射線障害によって死亡。周辺地域の住人にも放射線被ばくによる甲状腺がんに罹患するなど、深刻な健康被害をもたらしている。
チェルノブイリ原子力発電所事故は、「国際原子力事象評価尺度レベル7」に位置づけられ、世界最悪の原子力事故として世界的に知られるようになった。なお、4号炉はコンクリートポンプ車などによって「石棺」(サルコファーク)と通称されるコンクリート塊の中に炉ごと封じられた。
2011年3月11日に東京電力福島第一原子力発電所で起きた原発事故では、当初「国際原子力事象評価尺度レベル5」と発表されたが、原子炉から大気中に放出されたと見られる放射性物質の検出量が数十万テラベクレルの水準に上ったことから、4月12日に「国際原子力事象評価尺度レベル7」へと暫定的に引き上げられた。これによって福島の原発事故が「チェルノブイリ並み」の深刻さであることが印象づけられることとなった。
他方、福島原発ではチェルノブイリ事故に比較すれば作業員や周辺地域への深刻な放射線被害も見られず、実害から言うとレベル4程度かそれ以下の水準だ、とする見解もある。
ちなみに、福島原発では炉内を冷却する装置が停止し、放水作業による炉心の冷却を続けているが、4月17日に発表された計画案では、原子炉格納容器ごと水で満たして常時冷却する案が検討されている。この処置が、通称「水棺」と呼ばれている。
チェルノブイリ事故
ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所4号機(旧ソ連キエフ市北方約130キロのチェルノブイリ)で昭和61年(1986年)4月26日に起きた原子炉事故。
この事故は、蒸気爆発で炉心が破損、建物の一部が吹き飛び、また減速材の黒鉛による火災が起こり、大量の放射性物質が放出され、地球規模での放射能汚染をもたらした史上最悪のものであった。原因は、原子炉設計上の問題点と操作員の規則違反操作によるものであった。
放射線被ばくによる影響は、特に消火活動を行った消防士などが31名死亡し、急性放射線障害による入院者が数百人、また幼児・小児などが放射性ヨウ素の吸入により、後に甲状腺ガンを発生し、現在でも社会問題となっている。
この発電所では、現在半径30km以内を放射能汚染管理区域として一般人立入禁止区域としている。
放射能の影響は、国境を越えて隣接するヨーロッパ諸国にもおよび、広範囲な放射能汚染を引き起こした。このため各国で食品の輸入制限が行われた。
日本でも輸入食品は厳しいチェック体制を行った。その結果、多くの輸入食品から放射能が検出され、特に葉類(紅茶、香辛料等)、ナッツ等が輸入制限を受けた。
また、一般環境では、放射性ヨウ素、Cs-137、Cs-134などの放射性核種が降下し、様々な試料から検出されたが人体に影響あたえる濃度ではなかった。
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