原爆にともなう放射性降下物との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/26 17:26 UTC 版)
「チェルノブイリ事故との比較」の記事における「原爆にともなう放射性降下物との比較」の解説
IAEAの試算によると、チェルノブイリ原発事故によって放出された放射性降下物の量は、広島に投下された原爆によって放出された放射性降下物の量と比較して、およそ400倍と見積られている。国際科学会議によって設立された環境問題科学委員会(SCOPE:Scientific Committee On Problems of the Environment)によれば、比較的に長寿命な核種の放出量を比較すると、チェルノブイリ原発事故では、広島原爆に比べて、セシウム137が890倍、ストロンチウム90が87倍とそれぞれ報告されており、土壌汚染に関してはチェルノブイリ事故の方が広島原爆より大規模であったと考えられる。 核爆発、原子炉事故による放射性降下物の放出量の比較(出典:SCOPE 50)各放射性核種の放出量(1015Bq)セシウム137セシウム134ストロンチウム90キセノン133ヨウ素131広島原爆 0.1 - 0.085 140 52 チェルノブイリ事故 89 48 7.4 4400 1300 ウィンズケール事故 0.044 0.0011 0.00022 14 0.59 核爆発および原子炉事故によって放出される放射性降下物は、それぞれ、寿命の異なる様々な核種によって構成されており、原子炉の燃料や運転時間、事故当時の原子炉の温度、核種ごとの沸点の違いなどから、放出される放射性物質の構成の比率は事故ごとに異なり、拡散の分布も気象条件などに依存し、核分裂の度合いなど各種の条件が異なるため単純な比較はできない。核爆発による放射線がもたらした短期的な影響は、ガンマ線や中性子線からなる初期放射線に比べると、黒い雨などと称された放射性降下物等からなる残留放射能の方が大幅に少ないものの、それでも、残留放射能による内部被曝などによる人体への影響も無視することはできないのではないかとの報告もあり、非被曝者集団と見なされていた極低線量被曝者に対する被曝影響に対する再検討が行われている。 広島原爆から大気中へ放出された放射性降下物の放出量の試算(出典:NISA)各放射性核種の放出量(1015Bq)H-3C-14Mn-54Fe-55Sr-89Sr-90Y-91Zr-95Ru-103Ru-106Sb-125I-131Ba-140Ce-141Ce-144Cs-137広島原爆 11 0.013 0.24 0.092 11 0.058 11 14 23 1.1 0.069 63 71 25 2.9 0.089
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