コミュニケーションの問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 01:21 UTC 版)
「テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故」の記事における「コミュニケーションの問題」の解説
KLM4805便の機長はブレーキを解除し離陸滑走を始めようとしたが、副操縦士が管制承認が出ていないことを指摘した。 17時6分6秒、KLM4805便の副操縦士は管制官に管制承認の確認を行う。 17時6分18秒、管制官はKLM4805便の飛行計画を承認した。これはあくまで「離陸の準備」であり、「離陸してよい」という承認ではないが、管制官は承認の際に「離陸」という言葉を用いたためKLM4805便側はこれを「離陸してよい」という許可として受け取ったとみられる。 17時6分23秒、KLM4805便の副操縦士はオランダ訛りの英語で "We are at take off"(これから離陸する)または "We are taking off"(離陸している)とどちらとも聞こえる回答をした。 管制塔は聞き取れないメッセージに混乱し、KLM4805便に「OK、(約2秒無言)離陸を待機せよ、あとで呼ぶ(OK, … Stand by for take off. I will call you)」とその場で待機するよう伝えた。この「OK」とそれに続く2秒間の無言状態が後に問題とされる。 PAA1736便はこの両者のやりとりを聞いて即座に不安を感じ"No, we are still taxiing down the runway"(だめだ、こちらはまだ滑走路上をタキシング中だ)と警告した。しかしこのPAA1736便の無線送信は上記2秒間の無言状態の直後に行なわれたため、KLM4805便のコックピットボイスレコーダーでは「OK」の一言だけが聞き取れ、その後はヘテロダイン現象による混信を示すスキール音しか記録されていない。2秒間の無言状態により管制官の送信は終わったと判断してPAA1736便は送信を行ったものの、管制官はまだ送信ボタンを押したままだったので混信が生じ、管制官とPAA1736便の両者はこの混信に気付かなかった。 17時6分26秒、管制官は改めてPAA1736便に対し"Report the runway clear"(滑走路を空けたら報告せよ)と伝え、PAA1736便も「"OK, we'll report when we're clear"(OK、滑走路を空けたら報告する)と回答した。このやりとりはKLM4805便にも明瞭に聞こえており、これを聴いたKLM4805便の機関士はパンナム機が滑走路にいるのではないかと懸念を示した。事故後に回収されたKLM4805便のCVRには以下の会話の録音が残っている(オランダ語)。 KLM機関士:「Is hij er niet af dan?(まだ滑走路上にいるのでは?)」 KLM機長:「Wat zeg je?(何だって?)」 KLM機関士:「Is hij er niet af, die Pan-American?(まだパンナム機が滑走路上にいるのでは?)」 KLM機長/KLM副操縦士:(強い調子で)「Jawel!(大丈夫さ!)」 機長は機関士の上司でありKLMで最も経験と権威があるパイロットだったためか、機関士は重ねて口を挟むのをためらった様子だった。 この一連の状況下で、 PAA1736便『警告がKLM4805便と管制官の双方に届いた』 KLM4805便『管制官に離陸を承認された』 管制官『KLM4805便は離陸位置で待機している』 とそれぞれが安全な状況であると確信しており、さらに霧のためPAA1736便、KLM4805便、管制官からはお互いが見えていなかった。 そしてKLM4805便はスロットルを離陸推力へ開いた。
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コミュニケーションの問題
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「アビアンカ航空52便墜落事故」の記事における「コミュニケーションの問題」の解説
コックピットから ATC に対して自機の着陸を優先してほしい旨伝えた際に、残りの燃料に関する遣り取りがあり、ATC の「どれほどの燃料が残っているのか?(フライトプラン上の)代替着陸地はどこか?」との問い合わせに対して、52便の副操縦士は「あとおよそ5分間待機できるが、それができることのすべてだ」、「代替着陸地はボストンだ。だが、もはやそこまでたどり着く燃料はない」と答えている。 副操縦士は上記の無線通信により自機が「緊急事態」であることを伝えたと考えた。だが、ATC は「緊急事態」とはとらえていなかった。事実、その後の ATC による指示は、着陸の順番を繰り上げただけであって、緊急着陸の手順ではなかった。このことはコックピットクルーにも十分に理解できることであったのに、そのまま指示に従って着陸しようとした。 また、ATC との無線通信はCVR に記録されている限りすべて副操縦士ひとりが行っており、「緊急 (emergency)」という用語は最後まで一度も使われなかった。このようなミスをした理由として、スペイン語「優先 (prioridad)」には英語の「緊急 (emergency)」という意味合いも含まれるため、直訳の英語「優先 (priority)」で伝えたことによる意思疎通不足が原因と、この事故を取り上げたテレビ番組『メーデー!2:航空機事故の真実と真相』で語られている。
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