コマ割りと演出とは? わかりやすく解説

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コマ割りと演出

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 05:48 UTC 版)

フロム・ヘル」の記事における「コマ割りと演出」の解説

ムーア過去作『ウォッチメン』同じく全編通じてページ9分割基本とした均質なコマ割りが行われており、そのフォーマット枠内様々な演出が行われている。連続するコマ交互に二つ異な出来事描写するカットバック技法は『Vフォー・ヴェンデッタ』などでも見られる特徴的なものである。第8章32ページ3×3マス目カットバックによってチェス盤状に分けられ縦横斜めどの方向読んで違和感ないよう構成されている。またいくつかの章の第1ページは、一見すると互いに脈絡のないコマ並んでいるだけに見える。しかし読み進んでいくと、それらのコマは後のページから無作為に切り取られたのだとわかる。この語りの手法には、主人公ガル魔術的時間飛び越えるストーリー並んで読者単線的な時間感覚攪乱する意図があると分析されている。 作者らの間には、近代コミック特有の映画的語り技法題材そぐわないという認識があった。特にエディ・キャンベルはかねてから映画から無批判取り入れられた」コミック技法違和感持っていた。その最たるものは、仮想的なカメラあちこち動かしながら短いショットつないでいくコマ割り文法である。そのようなウィル・アイズナー的なカット多用は絵のロジック寸断してしまうというのがキャンベル持論だった。キャンベル描きたいのは人体細やかなボディーランゲージを交わす様子であり、そのためにはすべての動き連続的に画面収める必要がある考えていた。またキャンベル映画的奇抜な視点からの構図避けようとした。たとえばあるシーンでは、無人部屋覗き込む警官窓越しに見返す構図指示されたのにもかかわらず屋外警官をすぐ横から観察する位置カメラ置いたそのほか登場人物内心画面外での会話などを伝えキャプション映画でいうボイスオーバーも本作では排除されている。 日本語版元みすず書房本作を「日本の漫画はまった異な方向進化形」と紹介した差異コマ割り文法において顕著であり、日本書評家多く特徴的な9等分レイアウト触れている。日本語版の出版企画した編集者は、日本漫画ダイナミックなコマ割り用いた映画的ストーリーテリング特徴とするのに対し、『フロム・ヘル』の画面均質静的見えるという。読者はそれにより、文章行間まで読み込んだり、物語全体の構造思いをはせるような「文芸作品に近い読み方」を促される翻訳者下もアクション描写違い指摘して日本マンガこういうコマ割りってありえない」と述べている。日本の漫画ならば一枚絵中に動き取り入れて表現するところを、『フロム・ヘル』では何気ない動き複数コマ割って中間想像させるそのようにして時間をかけて読んでいくことで、初めコマ込められ情報量多さ味わえるのだという。評論家上野昻志は「コマ割りされた静止画もたらす緊迫感」「「グラフィック・ノベル」のダイナミズムは … 流動的な動き主体マンガからは失われたものかもしれない」と述べた

※この「コマ割りと演出」の解説は、「フロム・ヘル」の解説の一部です。
「コマ割りと演出」を含む「フロム・ヘル」の記事については、「フロム・ヘル」の概要を参照ください。

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