グリンカと五人組からの影響とは? わかりやすく解説

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グリンカと五人組からの影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 06:04 UTC 版)

交響曲第2番 (チャイコフスキー)」の記事における「グリンカと五人組からの影響」の解説

ロシア五人組」にとって『小ロシア』が好もしく映ったのは、チャイコフスキーロシア民謡使ったからではなくて、特に両端楽章において、ロシア民俗音楽独特な特徴交響曲の形を決めさせるというチャイコフスキーの手であったこの手法こそが、「五人組」が辿り着こう苦闘していた目標一つだったのであるチャイコフスキーであれば音楽院受けたアカデミックな基礎を以てすれば、そのような展開をより長く、より集約的に続けることが出来たであろうだがしかしこのような傾向書法にもまた思いがけない落し穴はあったのである伝記作家ジョン・ウォーロックはこのように述べる。「(民謡が)チャイコフスキー作曲様式持ち込まれ、ほとんど儀式めいたしつこさ同じよう音程フレーズを使うことで、躍動感意図にかなうような効果よりも、むしろ静的印象産み出しているという特別な問題は、民謡そのもの性質に結びついている事実旋律は、それ自体一連の変奏いたものになりがちで、展開や対比よりもむしろ転調によって進行してゆく。つまり、これは明らかに交響的な展開にはなじまないということである。」 1872年チャイコフスキーはこれを問題視してはいなかった。ブラウン指摘しているように、「何回もの繰り返し乗って進行していくような楽曲構成には避けられない欠点は、チャイコフスキーにとっては何ら問題ではなかった。なぜならチャイコフスキーは、それまですべての最も重要な交響楽楽章において、第1主題閉じようとして、それが始まったときとそっくりそのままの姿で使うことを習慣としていたからである。」1879年改作比べて1872年版の第1楽章は、規模においてはひたすらに巨大で、構成においては入り組んでおり、テクスチュアは複雑である。1872年版の開始楽章重厚感は、わりあい軽快第2楽章好対照為しており、終楽章とは程よく釣り合いがとれている。 『小ロシア』で最も印象深いのはスケルツォである。この楽章独特な性格は、チャイコフスキー五人組との近しい関係にあるのかもしれない1869年アレクサンドル・ボロディン交響曲第1番初演された。チャイコフスキー初めて「五人組」の面識を得る。幻想序曲ロメオとジュリエット』に五人組狂喜したということは、おそらく今度チャイコフスキー五人組作品注意寄せる番となったであろう1872年チャイコフスキー五人組交流は盛んであったように見える。だからこそ、『小ロシア』のスケルツォ楽章は、万一ボロディン交響曲第1番存在していなかったとすれば現存音楽同じになっただろうかという点が問題となるのである両方スケルツォ楽章顕著なのは、和声大胆さ基礎的なリズム静かなパルスである。いずれも冬の日の幻想』のスケルツォには大い足りなかった点である。 しかしながら、『小ロシア』で真の力作」は終楽章である。ここでチャイコフスキーが、五人組がよしとしたグリンカ伝統忠誠示そうとしているのが最も如実に現れている。チャイコフスキー壮麗な序奏民謡』を披露しているが、この手法は、後年ムソルグスキーが『展覧会の絵』の「キエフの大門」を作曲したときの手法に似ている。それからチャイコフスキーは、「アレグロ・ヴィーヴォ」の主部取り掛りつつ、茶目っ気たっぷりの意図明らかにする民謡』に続く2小節独り占めさせ、変化に富んだ一連の伴奏対置する。これほど長々とした展開は、より穏やかな第2主題への推移余裕与えない。そこでチャイコフスキーは、予告なし第2主題引き入れるのである楽章は、これまで煌びやかだったのに対して、続く部分華やかさにおいて影が薄い。チャイコフスキーは、通り抜けようとする巨人のような一連の大跨ぎする音符によって、展開部導入する。これらの小節を跨る音符伴奏されて、2つ主題再登場し、奇妙な旅に出向く第2主題歪められ不完全に呈示され長大クライマックス築き上げつつも、『』のくすんだ表情帯びるようにすらなる。1872年版においてクライマックスは、よりいっそう派手やか一連の伴奏とともに』に至る。1879年においてはチャイコフスキーがこの部分150小節ほど削除したので、クライマックス第2主題導入される静かな間奏へと突入するのである

※この「グリンカと五人組からの影響」の解説は、「交響曲第2番 (チャイコフスキー)」の解説の一部です。
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