カールの戴冠とは? わかりやすく解説

カールの戴冠

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:09 UTC 版)

カール大帝」の記事における「カールの戴冠」の解説

797年東ローマ帝国エイレーネー皇帝コンスタンティノス6世追放しローマ皇帝史上初めての女帝を名乗ったこの女即位帝国西部では僭称として認められず、ローマ皇帝位は空位の状態であるとみなされた。 800年11月カールバチカンサン・ピエトロ大聖堂でのクリスマス・ミサに列席するため、長男カール少年王)、高位聖職者、伯、兵士達からなる随行団をしたがえイタリアへ向かって5度目アルプス越えおこなったローマから約15kmのところでカールローマ教皇レオ3世より直々出迎えをうけた。そして、サン・ピエトロ大聖堂まで旗のひるがえる行列真ん中馬上にあって群衆歓呼浴びつつ進むと、レオ3世カール大聖堂の中へ導いた800年12月25日午前中ミサで、ペトロの墓にぬかずき身を起こしたカールレオ3世は「ローマ皇帝としての帝冠授けた。この時、周囲の者は皆「気高カール、神によって加冠され、偉大で平和的なローマ人皇帝歳」と叫んだという。これ以後カールは自らの公文書において、それまで用いていた「ローマ人パトリキウス」の称号改め、「ローマ帝国統べる皇帝」と署名するようになった。 この戴冠については当時カール仕えていたアインハルトが、レオ3世カールとの間には認識の差があったとして「もし、前もって戴冠があることを知っていたら、サン・ピエトロ大聖堂ミサには出席しなかっただろう」というカール言葉伝えているが、現在の歴史学においてこれは事実とは考えられていない少なくともカール自身戴冠については事前に知っており、また皇帝への就任にも意欲的であったろうこといくつも研究によって示されている。レオ3世前年799年反対派襲われカールの下に逃げ込んだことがあった。カールの戴冠はレオ3世助けたことへの報酬でもあり、教皇権優位確認でもあり、東ローマ帝国への対抗措置でもあったのであるカールローマ皇帝戴冠されると、コンスタンティノポリス皇帝はカールの戴冠を皇帝称号僭称であると見なし西ローマ皇帝称号名乗るためには東ローマ皇帝承認が必要であると強硬に主張した。それは西欧世界においても伝統的な認識であったのだが、そもそも当時東ローマ皇帝女帝であるが故に帝国西部では正当なローマ皇帝であるとみなされていなかった。 カールは自らの皇帝称号帝国東方でも承認させるために東ローマ帝国宮廷へ使者送った東ローマ帝国女帝エイレーネーからはエイレーネーカールによるローマ帝国統一するための結婚提案され、この申し出カール乗り気であったが、まもなくエイレーネークーデターによって失脚したため、この縁談実現することがなかった。東ローマ帝国当初カール皇帝容易に承認しようとはしなかったが、エイレーネー死後の812年にようやく両者の間で妥協成立し東ローマ皇帝ミカエル1世カール帝位認め代わりにカール南イタリア一部商業盛んなヴェネツィア東ローマ領として譲り渡すことを承認した。ただ、この時に東ローマ側としては「ローマ人皇帝」はコンスタンティノポリス東ローマ皇帝のみであるとしており、カールには「ローマ人皇帝ではなくフランク皇帝としての地位しか認めていない。これは後の第一次ブルガリア帝国皇帝シメオン1世などに対しても同様である。 西欧立場から見るならば、これまで地中海世界唯一の皇帝であった東ローマ皇帝対し西ヨーロッパゲルマン社会からも皇帝誕生したことは大きな意味を持っており、ローマ教会西欧東ローマ皇帝宗主権下からの政治的精神的独立果たした評価されている。このことは西欧政治統合とともにローマゲルマンキリスト教の三要素からなる一つ文化圏成立象徴することでもあり、また世俗権力教権二つ中心並立する独自の世界成立でもあった。

※この「カールの戴冠」の解説は、「カール大帝」の解説の一部です。
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