カルト宗教的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:31 UTC 版)
専門家によると、Qアノンの魅力はカルト宗教に匹敵するものであるという。オンライン陰謀論の専門家であるレニー・ディレスタは、Qアノンの誘惑方法は「教団の奥深くに導かれ、友人や家族から孤立していく」という点において、インターネット登場以前のカルト教団によるそれと類似していると述べている。愛する人や親しい人がQアノンの虜になってしまった人々のための互助会的オンライングループは急速に発達しており、特にサブレディット(英語版)の「r/qanoncasualties」は、2020年6月には3,500人の参加者だったが、同年10月には2万8000人にまで増加した。このインターネットの時代では、Qアノンは「現実世界」での繋がりをほとんど持たずに、オンライン上のバーチャルコミュニティで数万人規模の信者を獲得できるという。カルト宗教専門家で復帰治療を専門とするレイチェル・バーンスタインは、「Qアノンのような運動が野火の如く広まる理由は、『他の人々がまだ知らない何か重要なものと繋がっている』と人々を錯覚させるからである。(中略)すべてのカルト宗教は、このような特別感を提供している」と述べている。自己強化的な狂信者は、集団思考によって生まれる修正・反論・ファクトチェックに対する免疫を持っているため、集団内に自己修正的プロセスは生まれない。Qアノンのカルト的性質は、新宗教運動の可能性があるという見方にも繋がっている。その魅力の一部は、信者が『Qdrops』で提示された謎をトランプの演説やツイート、およびその他の情報源と結びつけて真意を解明しようとしていることからも伺える「ゲーム性の高さ」にある。信者の中には、同心円状の文字盤で構成された「Qクロック」を使用して、『Qdrops』とトランプのツイートのタイミングを見計らって謎を解こうとしている人さえいる。 陰謀論研究者のトラビス・ビューは、Qアノンにはビデオゲームのような中毒性があり、「プレイヤー」には世界的・歴史的に重要な何かに関わることができるという魅力的な可能性が提供されていると述べている。ビューによると、「パソコンの前に座って情報を検索し、発見したものを投稿するというプロセスだけで、国家を根本的に変え、信じられないような無血革命を起こし、何世代にも渡って書き継がれる歴史的運動の一部になれることをQアノンは約束している」という。ビューはこれを、自分の努力が州議会議員候補を当選させるのに役立つかもしれないというありふれた政治的感情に例えている。また彼は、「Qアノンは『観念の市場』ではなく『現実性の市場』で勝負しているのだ」とも述べている。 陰謀論は、社会的に不安定な時代に発達する傾向にあり、人々が不安になるような情報に直面しても、統制下にあるように感じさせる。2020年末に行われた調査では、Qアノンの存在を知っている人の4分の1が、Qアノンには何らかの真実が含まれていると考えているという結果が出ている。陰謀論に取り巻かれている環境では、かつては信頼できる公平な権威として機能していた社会の主要機関が、陰謀論の信念に反する場合には容易に否定され、信者の思考に対抗することは非常に困難となる。
※この「カルト宗教的性質」の解説は、「Qアノン」の解説の一部です。
「カルト宗教的性質」を含む「Qアノン」の記事については、「Qアノン」の概要を参照ください。
- カルト宗教的性質のページへのリンク