エントロピーぞうだい‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【エントロピー増大の法則】
読み方:えんとろぴーぞうだいのほうそく
エントロピー
エントロピー entropy | |
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量記号 | S |
次元 | T−2 L2 M Θ−1 |
種類 | スカラー |
SI単位 | ジュール毎ケルビン (J/K) |
CGS単位 | エルグ毎ケルビン (erg/K) |
プランク単位 | ボルツマン定数 (k) |
熱力学 | |
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氷のような結晶性の固体は、結晶構造に従って分子が配列される。
一方、水のような液体や水蒸気のような気体は、自由な分子配置をとれる。 このため、液体や気体が取り得る状態の数が固体に比べて大きく、エントロピーも大きい。 |
エントロピーに関する法則としてもう一つよく知られるものに、統計力学におけるボルツマンの原理がある。ボルツマンの原理は、ある巨視的な系のエントロピーを、その系が取り得る微視的な状態の数と関係づける。微視的な状態数が W のときのエントロピーは
エントロピーは、ドイツの物理学者ルドルフ・クラウジウスが、カルノーサイクルの研究をする中で、移動する熱を温度で割ったQ/Tという形で導入され、当初は熱力学における可逆性と不可逆性を研究するための概念であった。後に原子の実在性を強く確信したオーストリアの物理学者ルートヴィッヒ・ボルツマンによって、エントロピーが原子や分子の「乱雑さの尺度」であることが論証された。
クラウジウスは1854年にクラウジウスの不等式として熱力学第二法則を表現していたが、彼自身によって「エントロピー」の概念が明確化されるまでにはそれから11年を要した。不可逆サイクルでゼロとならないこの量をクラウジウスは仕事と熱の間の「変換」で補償されない量として、1865年の論文においてエントロピーと名付けた。エントロピーという言葉は「変換」を意味するギリシア語: τροπή(トロペー)に由来している。
その後ボルツマンやギブスによって統計力学的な取り扱いが始まった。情報理論(直接的には通信の理論)における情報量の定式化が行われたのは、クロード・シャノンの1948年『通信の数学的理論』である。シャノンは熱統計力学とは独立に定式化にたどり着き、エントロピーという命名はフォン・ノイマンの勧めによる、と言われることがあるが、シャノンはフォン・ノイマンの関与を否定している[8]。
エントロピーは、熱力学における断熱過程の不可逆性を特徴付ける量として位置付けられる。
エントロピーは平衡状態に対して定義される状態量(=物理的な系の熱力学的な状態に実数を対応させる関数として定式化される物理量)であり、2つの状態A、Bに対し、AからBに断熱的に遷移[注 3]する事ができれば、これら2つの状態のエントロピー熱力学におけるエントロピー
エントロピーの導出
上ではリーブとイングヴァソンによる数学的な導出を見たが、より物理的な考察によりエントロピーを導出する手法として以下のものがある:
なお教科書によっては、
というスタイルで記述されているものもある。
以下のエントロピーの説明は、クラウジウスが1865年の論文[22]の中で行ったものを基にしている[23]。クラウジウスは熱を用いてエントロピーを定義した。この方法による説明は多くの文献で採用されている[24]。
簡単な状況下での説明

