エントロピーぞうだい‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【エントロピー増大の法則】
読み方:えんとろぴーぞうだいのほうそく
エントロピー
(エントロピー増大の法則 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 19:44 UTC 版)
エントロピー(英: entropy)は、熱力学および統計力学において定義される示量性の状態量である。熱力学において断熱条件下での不可逆性を表す指標として導入され、統計力学において系の微視的な「乱雑さ」[注 1]を表す物理量という意味付けがなされた。統計力学での結果から、系から得られる情報に関係があることが指摘され、情報理論にも応用されるようになった。物理学者のエドウィン・ジェインズのようにむしろ物理学におけるエントロピーを情報理論の一応用とみなすべきだと主張する者[誰?]もいる。
出典
- ^ 田崎 & 田崎 2010, 『RikaTan』10-12月号.
- ^ IUPAC Gold Book
- ^ 出典は情報量#歴史を参照
- ^ フェルミ 1973.
- ^ 佐々 2000.
- ^ 田崎 2000.
- ^ 清水 2007.
- ^ Clausius 1865.
- ^ 田崎 2000, pp. 16, 107–110, 1-3 本書の内容について; 6-4 エントロピーと熱.
- ^ 田崎 2000, p. 16, 1-3 本書の内容について.
- ^ Lieb & Yngvason1999.
- ^ リーブ & イングヴァソン 2001, pp. 4–12, 『パリティ』Vol. 16, No. 08.
- ^ 佐々 2000、田崎 2000、清水 2007などを参照。
注釈
- ^ 「でたらめさ」と表現されることもある。ここでいう「でたらめ」とは、矛盾や誤りを含んでいたり、的外れであるという意味ではなく、相関がなくランダムであるという意味である。
- ^ ここでいう「微視的状態が確定する」ということは、あらゆる物理量の値が確定するという意味ではなく、なんらかの固有状態に定まるという意味である。従って量子力学的な不確定性は残る。
- ^ カルノーの定理においては一般には熱効率の上限は ηmax = f(T1, T2) の形で証明されている。この表式が成り立つように、熱力学温度(絶対温度)T を定義する。たとえば、セルシウス度やファーレンハイト度を使った場合には、熱効率の式はやや複雑な形になる。
- ^ a b d'は状態量でない量の微小量ないし微小変化量を表す。文献によってしばしば同様の意味でδが用いられる。
- ^ 古典系の場合は状態を可算個として扱えない。したがって、例えば自由度fの古典系であれば、位相空間上の一点をΓ = (Q1, Q2, …, Qf, P1, P2, …, Pf)と表し、ここに一様な確率測度dΓ/hfを導入する(ここでP•, Q•は正準変数、hはプランク定数)。こうすることにより、積分
でエントロピーを定義できる。
- ^ ボルツマン定数を1とする単位系を取れば、エントロピーは情報理論におけるエントロピー(自然対数を用いたもの)と完全に一致し、無次元量となる。簡便なので、理論計算などではこの単位系が用いられることも多い。なお、この単位系では温度は独立な次元を持たず、エネルギーと同じ次元となる。
- ^ 量子系では厳密には、エネルギーが量子化されているため、ほとんど至るところのEにおいてE = Eiは満たされない。そのため、その間に十分多くのエネルギー固有状態が入るエネルギー間隔ΔEを定義し、条件を|E − Ei|< ΔEと緩めることにする。
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