統計集団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/14 23:44 UTC 版)
統計力学 | ||||||||||||
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熱力学 · 気体分子運動論 | ||||||||||||
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統計集団(とうけいしゅうだん、英: statistical ensemble)とは、統計力学における基本的な概念の一つで、巨視的に同じ条件下にある力学的に同じ系を無数に集めた仮想的な集団である[1][2]。統計的(とうけいてき)アンサンブル、確率集団(かくりつしゅうだん)、ギブズ集団、あるいは単にアンサンブルとも呼ばれる。 アンサンブルの考え方はウィラード・ギブズによって初めて導入された[1]。
巨視的には同じ条件下にあっても、力学系が取り得る力学的な状態は一つに定まらない。統計力学の立場では各々の力学状態が確率的に表れるものと考える。アンサンブルの考え方では、無数に集めた系の内である状態を取っている系の割合を、系がその状態を取る確率であると考える[1]。この確率で重み付けした[何の?]加重平均をアンサンブル平均と呼ぶ。系に課される条件の違いに応じたアンサンブルを考えることができて、状態の出現確率はアンサンブルによって異なる。
概要
ボルツマンらによる気体分子運動論の立場では、理想気体を多数の分子の集まりであると考える[2]。多数の分子が衝突を繰り返して、個々の分子の力学状態が確率的に現れるものと見なされる(分子的混沌)。当時はまだ分子の存在が確証されていなかったため批判を受けた。 これに対して統計集団の立場では、力学系全体の力学状態が確率的に現れるものと見なされる[2]。この立場では必ずしも分子の存在を仮定する必要がない。今日では統計集団の考え方が統計力学の主流となった。
気体分子運動論の立場では N-粒子系の状態は μ-空間に分布する N 個の点の集まりとして表され[2]、μ-空間上の分布関数から気体の性質が導かれる[2]。 一方、統計集団の立場では同じ N-粒子系の状態がΓ-空間の一つの点として表される[2][3]。系の無数のコピーであるアンサンブルは Γ-空間に分布する点の集まりとして表される[3]。
主要なアンサンブル

巨視的な制約条件が異なれば、アンサンブルも異なり、それに特定の統計的性質がある。次のようなものが代表的である:[4]
- 小正準集団
- (ミクロカノニカルアンサンブル、microcanonical ensemble、NVE ensemble)
- 全エネルギーが一定である系のアンサンブル。熱的に孤立しており、熱力学的には孤立系に当たる。系が許す全ての微視的状態は同じ確率で現れる(等確率の原理)。つまり、微視的状態ωが出現する確率p(ω)は
統計集団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 00:00 UTC 版)
詳細は「統計集団」および「等重率の原理」を参照 ある巨視的(マクロ)な状態について考えたとき、それに対応する微視的(ミクロ)な状態は数多く存在すると考えられ、それらを全て集めたものを統計集団(アンサンブル)と呼ぶ。対応する全ての微視的状態を1つ1つ考えることは不可能であるため、実際の計算ではそれぞれの微視的状態は確率的に出現するものと考える。このように確率モデルで考えれば、系がある微視的状態をとるときの微視的な物理量は確率変数として与えられ、対応する熱力学的な状態量はその期待値(平均値)として再現されるものと考える。 系が微視的状態をとる確率分布は等重率の原理に基づいて決められるが、系を熱力学的に特徴付けるパラメータ(系のエネルギーや温度、化学ポテンシャルなどの状態変数)によって幾つかのアンサンブルがある。 アンサンブルは、系に応じて ミクロカノニカルアンサンブル(小正準集合) カノニカルアンサンブル(正準集合) グランドカノニカルアンサンブル(大正準集合) などがある。
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