イジング‐もけい【イジング模型】
イジング模型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/09 01:37 UTC 版)

統計力学 | ||||||||||||
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統計力学においてイジング模型(イジングもけい、英: Ising model、イジングモデルとも言う)とは、二つの配位状態をとる格子点から構成され、最隣接する格子点のみの相互作用を考慮する格子模型である[1]。二つの配位状態をスピンとする磁性体のモデルだが、二元合金、格子気体のモデルにも等価である[1]。
スピン系のモデルとしては非常に単純化されたモデルであるが、相転移現象を記述可能なモデルであり、多くの物理学者によって研究されてきた[2][3][4][5]。単純なモデルであるため厳密な解析が可能であり、特に外部磁場の無い二次元イジング模型は厳密解が得られる可解格子模型の一種である。
イジング模型は1920年にドイツの物理学者ヴィルヘルム・レンツによって提案された[6][2]。イジング模型という名前はレンツの博士課程の指導学生でありこの模型の研究を行っていたエルンスト・イジングに因んでいる[7][2]。1944年にラルス・オンサーガーによって与えられた二次元イジング模型の厳密解は統計力学における金字塔の一つとされる[8]。
概要
磁性体のモデルとして、d -次元空間の格子点に上向きと下向きの2状態をとるスピンが配置された格子模型を考える。 σi=±1を i 番目の格子点におけるスピンの状態を示す変数とし、+1が上向きのスピン、−1が下向きのスピンに対応するものとする。格子点の総数は N 個とし、一つの格子点に最近接する格子点の数を z 個とする。例えば、1次元格子ではz =2、2次元正方格子では z =4、3次元立方格子では z =6である。
Jijを2つの格子点i, j間における交換相互作用、hiは格子点 i における外部磁場とする。このとき、イジング模型のハミルトニアンは次式で与えられる[注 1]。