インタラクションデザインとユーザーエクスペリエンス
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「アラン・クーパー」の記事における「インタラクションデザインとユーザーエクスペリエンス」の解説
キャリアの初期に、クーパーは、ソフトウェア構築において当時受け入れられていたアプローチを批判的に検討し始めた。彼が最初の本で報告しているように、彼は重要なことが欠けていると考えていた。ソフトウェアの作者は「ユーザーはこれをどう使うのか?」ということを考えていなかった。クーパーは、この洞察により、何がコード化できるかではなく、ユーザのニーズを満たすために何を設計できるかに焦点を当てた設計プロセスを作成することを模索した。 1992年、ソフトウェア業界の急速な統合化に対応して、クーパーは他の企業へのコンサルティングを開始し、よりユーザフレンドリーなアプリケーションの設計を支援した。それから数年以内に、クーパーは基本的な設計原則のいくつかを明確にし始めていた。彼はクライアントと共に、ユーザのニーズを第一に考えたデザイン方法論を提唱した。クーパーはクライアントの製品のユーザにインタビューをして、これらの人々を幸せにするための共通の筋道を発見した。この実践から生まれたのが、設計ツールとしての「ペルソナ」の使用だった。クーパーは2冊の本で自分のビジョンを説いた。彼のアイデアは、ユーザーエクスペリエンスの運動を推進し、後に「インタラクションデザイン」と呼ばれる技術を定義するのに役立った。 クーパーの1冊目の著書About Face: The Essentials of User Interface Designは1995年に出版された。その中でクーパーは、実用的なデザイン原則の包括的なセットを紹介しており、本質的にはソフトウェアデザインの分類法である。第2版では、業界や専門家の進化に伴い、「インターフェイスデザイン」はより正確な「インタラクションデザイン」になった。本書の基本的なメッセージは、プログラマに向けられた"Do the right thing. Think about your users."(正しいことをしなさい。ユーザのことを考えなさい)である。この本は現在、About Face: The Essentials of Interaction Designというタイトルで第4版が刊行されており、プロのインタラクションデザイナーのための基礎テキストと考えられている。クーパーは、アプリケーションの姿勢(英語版)(application posture)の考え方を紹介している。アプリケーションが空間の大部分を使用してユーザの入力を待つ「主権的な姿勢」(sovereign posture)や、ソフトウェアが常には動作したりユーザと関わったりしない「過渡的な姿勢」(transient posture)などである。彼は"About Face"の中で、ウェブサイトについての「情報的な姿勢」(informational posture)と「取引的な姿勢」(transactional posture)について論じている。 クーパーは、1998年の著書The Inmates Are Running the Asylum: Why High-Tech Products Drive Us Crazy and How to Restore the Sanityの中で、「目標指向設計」(Goal-Directed design)という彼の方法論を概説した。これは、ソフトウェアは、コンピュータの些細なことにユーザを誘惑するのではなく、ユーザの最終的な目標に向かってスピードを上げさせるべきだというコンセプトに基づいている。この本の中でクーパーは、実用的なインタラクションデザインのツールとして「ペルソナ」という新しい概念を紹介している。この本の中での簡潔な説明により、ペルソナはその異常な力と有効性のために、ソフトウェア業界で急速に人気を博した。今日では、インタラクションデザイン戦略の概念とペルソナの利用は、業界全体に広く浸透している。クーパーは、彼の2冊目の本のメッセージを、ビジネスマンに対する"know your users' goals and how to satisfy them. You need interaction design to do the thing right."(あなたのユーザの目標と、どうすれば彼らを満足させられるかを知りなさい。それを正しく行うためにはインタラクションデザインが必要である。)としている。クーパーは、顧客のニーズを満たすために、また、最初に正しく行うことでより良い製品をより早く構築するために、デザインをビジネスの実践に統合することを提唱している。 クーパーは現在、インタラクションデザインの進歩とアジャイルソフトウェア開発の有効性を効果的に統合する方法に焦点を当てている。クーパーは定期的に講演を行っており、彼の会社のウェブサイトでこのことについてブログを書いている。
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