イスラム世界へのギリシア文化の移入とは? わかりやすく解説

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イスラム世界へのギリシア文化の移入(翻訳時代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 09:39 UTC 版)

イスラーム哲学」の記事における「イスラム世界へのギリシア文化の移入(翻訳時代)」の解説

7世紀イスラム世界成立すると(この辺りの歴史は、イスラム帝国ウマイヤ朝アッバース朝の項を参照)、ムハンマドの死後正統カリフ時代経てアラブ人至上主義取っていたウマイヤ朝750年滅んだアッバース朝成立したアッバース朝は非アラブ系であったペルシア人からの支持もあって、アラブ人以外のムスリムたちにも道を開いた世界帝国へと変わっていった。この支配下には、ペルシアエジプトといったギリシア文化の影響色濃く残っている地域含まれており、そこには哲学はじめとする医学数学天文学などの諸学問が、ギリシア時代のものからエジプトシリアなどの東地中海沿岸各地残っていた。アッバース朝は、バグダードシリア学者招いてシリア語ギリシア文献アラビア語翻訳させた。イスラーム哲学起源ひとつとしてアラビア語への翻訳活動があるというのは、見逃せない事である。 哲学に関していえば、キリスト教ギリシア哲学対峙において、反駁のため、あるいは哲学的方法によるキリスト教思想的展開を探るため、ギリシア哲学接受が行われた。シリアのキリスト教徒は神学正当性持たせるため哲学的な方法用いていたので、アッバース朝支配下にあって哲学文献残っており、イスラム教徒たちも利用することができた。 5世紀から10世紀にかけて、シリアのキリスト教徒は、アリストテレス文献、ポリュフュリオス、偽ディオニュシオス・ホ・アレオパギテース著作ギリシア語からシリア語翻訳した。これは主にエデッサネストリウス派、またレサイナとカルキス非カルケドン派担われた。 832年アッバース朝第7代カリフ・マアムーンはバグダード翻訳を行う官庁をおいた。これがいわゆる知恵の館バイト・アル=ヒクマ)であり、ギリシア語シリア語パフラヴィー語加えインドからもたらされサンスクリット語などさまざまな文献集められ、これらを相互に翻訳・研究が行われた。特に医学の他に天文学占星術関係の文献翻訳が盛んで、天文台図書館などの施設併設されていた。日常礼拝農事暦関わるなどに暦の制定にも天文学占星術知識欠かせない存在であったため、この時代翻訳業観測事蹟後世イスラム社会諸政にも多大な恩恵与えている。また、同時にアッバース朝クーデターによってウマイヤ朝打倒して誕生した政権であったため、自らの政権正統性立証するため論理学的な知識欲していた面もある。これによってアリストテレスをはじめギリシアの諸著作およびアリストテレス註解書がアラビア語圏紹介されたが、ただの知的欲求というよりも、『オルガノン』や『トピカ』などに代表されるアリストテレスによって確立され論理学方法論体制側が学ぶためという現実的な要求もあった。しかし、同時にこれによって古代後期新プラトン主義の影響が濃いアリストテレス解釈紹介されることになる。 またさらに、このシリア語中にはギリシア語からの翻訳もあったが)がキリスト教徒らによってアラビア語翻訳されていた。これにより、ムスリムたちにもギリシア哲学研究が可能であった。この翻訳は、現在みても高水準正確さのものもあった。これにより、ムスリムたちも、ネオプラトニズムアリストテレスプラトンプロティノスなどを翻訳することができるようになった。ただしムスリムたちがアリストテレス著作考えていた著作が、実際プロティノスのものだというように、若干誤伝があった。またムスリム哲学者たちは医者数学者でもあったので、アルキメデスガレノスなどの著作翻訳された。

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