《大丈夫です》の敬語
「大丈夫です」の敬語表現
「大丈夫」は様々な意味を持つ言葉です。「心配のない様子」「さしつかえない、かまわない」「間違いがなくて確かなさま」などを表すほか、近年では相手への問いかけあるいは返答において、必要または不要、可または不可といった意味で使われることがあります。そのため「大丈夫です」だけでは肯定か否定かが伝わりづらく、曖昧な表現として忌避されることがあります。さらに人によっては上から目線に聞こえてしまうこともあり、目上の相手に対して使用するのも不適切です。肯定的な意味で「大丈夫です」と言いたい場合には、「構いません」「差し支えありません」「問題ありません」などの敬語表現を用います。ただし「構いません」には相手に許可を与える意味があるため、上司や取引先の相手に使う表現としてはふさわしくありません。より丁寧に返答をする場合は「差し支えありません」などを使いましょう。
否定的な意味で「大丈夫です」と伝えるには、曖昧な表現を避け、丁寧でありながらもはっきりとした断り方をしましょう。「結構です」「ご遠慮いたします」「辞退させていただきます」など、場面によって最適な敬語表現を心がけましょう。
「大丈夫です」の敬語の最上級の表現
「大丈夫です」の敬語の最上級の表現としては、「結構でございます」「問題ございません」「必要ございません」などが挙げられます。「(~で)ございます」や「~ございません」は、それぞれ「(~で)ある」「~がない」を丁寧語にしたものです。「大丈夫です」のように語尾を「~です」とするよりも、さらに相手への敬意を示すことができます。こういった表現と合わせてさらに付け加える一言があれば、より丁寧でわかりやすい返答となります。上司から物事の可否を問われた際には「はい、問題ございません。よろしくお願いいたします」のように完結に答えましょう。訪問先でお茶のお代わりを勧められた場合などは、「もう十分いただきましたので結構でございます。お気遣いいただきありがとうございます」のような具体的で柔らかい表現を使うといいでしょう。
「大丈夫です」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「大丈夫です」の敬語表現を取り入れた、ビジネスメールや手紙で使用できる例文を紹介します。肯定の意味での使用
・同僚や部下に「○○してもいいでしょうか」と聞かれた場合
「はい、構いませんよ」
・「○○の件の進捗はこのようになっております。問題ございませんでしょうか」と尋ねられた場合
「はい、差し支えありません。引き続きどうぞよろしくお願いします」
・「会議の時間を○時に変更しても大丈夫?」と上司に聞かれた場合
「はい、問題ございません」
否定の意味での使用
・飲み会や食事会に誘われたが、用事があって断る場合
「あいにく予定が入っておりまして、今回についてはご辞退させていただきます」
「せっかくのお誘いではございますが、外せない用事がありましてご遠慮いたします」
・贈り物を断る場合
「せっかくのお心遣いですが、ご辞退させていただきます」
ほかにも以下のような使い方ができます。
・相手がミスをして謝罪・お詫びをされた場合
「いいえ、構いませんよ。お気になさらないでください」
・送料を負担すべきかどうか顧客に尋ねられた場合
「お客様に負担していただく必要はございません。当社が負担いたします」
「大丈夫です」を上司に伝える際の敬語表現
「大丈夫です」を上司に伝える際にも、肯定の場合は「問題ありません」や「問題ございません」、否定の場合は「遠慮させていただきます」などが使えます。相手との関係性や場面によっては砕けた表現が好まれることもありますが、丁寧な敬語表現を使うことで上司への敬意を示すことができます。上司に対して「構いません」や「結構です」を使うのは失礼にあたる場合もありますので、避けたほうがいいでしょう。「大丈夫です」の敬語での誤用表現・注意事項
「大丈夫です」を表す敬語の誤用表現や注意事項についても知っておく必要があります。「問題ございません」を「問題ございませんでしょうか」という形で使うのは誤用にあたります。丁寧語の「ございません」に「でしょうか」という丁寧語を重ねた二重敬語となるからです。疑問形として使う場合は「問題ございませんか」で大丈夫です。
「結構です」を「結構でしょうか」として使うのも誤りです。「こちらの品物で結構でしょうか」といった誤用表現が見受けられることがありますが、その場合「こちらの品物でよろしいでしょうか」とするのがいいでしょう。
「大丈夫です」の敬語での言い換え表現
「大丈夫です」を敬語で表現する場合、ほかにも「承知いたしました」や「かしこまりました」などの言葉で言い換えることができます。また物事がうまくいっている様子を「申し分ありません」「申し分ございません」のように表現することもありますが、上から目線に聞こえてしまう可能性もあるので気を付けて使いましょう。断りを入れる際にも、「まだまだ力不足ですので」や「自分には不相応ですので」といった表現を代わりに使うことができます。場面によっては可否をそのまま伝えるのではなく、このような表現をしたほうが好まれることもあります。
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