《全然大丈夫です》の敬語
「全然大丈夫です」の敬語表現
「全然大丈夫です」を敬語表現にする場合は「全く問題ございません」などとします。もともと「全然大丈夫です」は、副詞の「全然」と形容動詞の「大丈夫だ」に丁寧の助動詞「です」が組み合わさった言葉ですので、これ自体で敬語表現であるともいえます。しかし「全然」は本来、打消しを伴う呼応の副詞として「全然~ない」と用いられる言葉ですので、敬語として正式な言い回しをする場合は打消し表現に沿ったかたちで「全く問題はございません」と改めます。「全然大丈夫です」の敬語の最上級の表現
「全然大丈夫です」を敬語表現に改める場合は、「全く問題はございません」などのようにしますが、文法的にはこれ自体で最も敬意のこもった表現になっています。そのため、これ以上さらに敬意を込めて表そうとすれば、言葉が使われている状況に沿って前後に他の言葉を付け加えることで内容を補強するかたちを取ります。たとえば「仕事上、何か問題はないか?」と問われた際、「全く問題はございません」だけではなく「お気遣いありがとうございます」などの言葉を添えれば、それが相手に対して最上級の敬意を込めた表現となるでしょう。「全然大丈夫です」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「全然大丈夫です」の敬語をビジネスメールや手紙で使う場合は、シチュエーションごとに前後に言葉を補って、相手に正しく敬意が伝わるように配慮して次のように用います。「お問い合わせいただきました日程の件、ご都合がつかないようであればスケジュールを変更していただいても全く問題はございません」。「ご提案いただきました内容で全く問題はございませんので、企画書の作成をよろしくお願いいたします」。「ご来社いただくお時間の変更を気にかけていらっしゃるそうですが、進行上、全く問題ありませんので、お気遣いなきようお願いいたします」。「駐車場の使用予定に関しては、前日までにお申し付けいただくスケジュールで全く問題ございませんが、ご参加いただきます人数の方を、できましたら先にお知らせ願えれば幸いでございます」。
「全然大丈夫です」を上司に伝える際の敬語表現
上司に対して「全然大丈夫です」という内容を敬語表現に改めて伝える場合、前提として「大丈夫か?」といった内容で、上司から何らかの問い掛けがあると考えるのが自然です。問い掛けの内容も、自分の体調を気遣ってくれたり、仕事内容についての確認であったりと、ケースバイケースとなりますので、それぞれのシチュエーションに沿った伝え方をする必要があるでしょう。たとえば、上司が体調を気遣って「風邪で何日か休んでいたようだが、もう治ったのか?」と聞いてくれた場合は、「おかげさまですっかりよくなりました。今は全く問題はございません。お気遣いいただいてありがとうございます」というように、ただ一言の敬語表現だけでなく、感謝の言葉を丁寧に添えて返すことで敬意がいっそう深まって伝わります。また、仕事上の確認などで「この内容で稟議に諮るが大丈夫か?」と尋ねられた場合には「この内容で、全く問題はないかと存じます」などのように、「存じます」などの謙譲語を用いた敬語表現で答えるようにします。「全然大丈夫です」の敬語での誤用表現・注意事項
「全然大丈夫です」の「全然」には、「全くその通りである」と肯定的に使う辞書的な意味もあります。そのため「全く間違いなく確かです。少しも不都合な点はありません」といった意味を伴うかたちで、「大丈夫」の程度を強調して用いる使用方法も誤りではありません。ただし、この用い方は文法上「俗な用法」として正式なものとは認められていません。本来は、「全然~ない」と打ち消し表現で使用すべき言葉であり、肯定の表現は本来誤りなので、「全然大丈夫でございます」などといくら丁寧に言ったところで、敬語表現としては誤用となりますので注意が必要です。また最近では、「大丈夫」を「断る」意味で用いるようなケースも見られます。たとえば、もっと食べればと勧められて「もういらない」ことを「大丈夫です」という場合などがそれにあたります。しかしこれは本来誤用であり、「大丈夫」には「断る」という意味はありませんので、「お腹いっぱいなので、もう大丈夫です」という表現は成立しません。そのため、何かを勧められて断る場合、「もう大丈夫でございます」などといくら丁寧な表現にしても、そもそもが「大丈夫」の本来の意味になっていないという点に注意しなくてはなりません。
「全然大丈夫です」の敬語での言い換え表現
「全然大丈夫です」の敬語での言い換え表現としては、「一向に支障ございません」「一向に差し支えございません」などがあります。「一向に~ない」は、「少しも~ない」の意味で、文語的な言い回しで硬いイメージがある言葉ですが、丁寧な言葉遣いをする際によく用いられることが多く、敬語と親和性のある表現です。「支障」とは、物事に取り組む上で妨げとなる何かが生じることの意味を表し、「差し支え」も同様の意味を示す文語的表現として用いられます。また、何か頼まれ事をされて了解する際に「全然大丈夫です」と使うような場合では、「委細承知いたしました」というような敬語の言い換え表現にすることも可能です。「すべて承りました」という意味で、こまごまとした事情や説明を聞かなくても全て把握しているので、わざわざご説明いただくには及びませんという気持ちを込めて、目上の人に使用する敬語表現として用います。
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