《よろしくお伝えください》の敬語
「よろしくお伝えください」の敬語表現
「よろしくお伝えください」を分解すると、形容詞「よろし」の連体形「よろしく」に、「お」という尊敬を表す接頭辞を付け加えた「伝え(る)」、「くれ」の尊敬語「ください」、以上の3つに分けられます。見てのとおり尊敬語を含んでいる表現のため、その一言だけで成り立つ敬語表現です。なお、「宜し(い)」は「よし(良し)」のような、優れたもの価値を高く評価する表現です。しかし、「素晴らしい」というニュアンスではなく「程よく」「ちょうどいい」といった意味合いを持っています。そのため、「よろしくお伝えください」という言葉は、相手の言葉によって自分の気持ちや様子をほどよく伝えほしい、といった意味になります。
「よろしくお伝えください」の敬語の最上級の表現
敬語としての最上級の表現は、「よろしくお伝えいただけますか」です。「ください」にあたる部分を尊敬語から謙譲語の「いただけますか」に変えることで、より丁寧で敬意を表すに相応しい言葉になります。「よろしくお伝えください」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールや手紙での「よろしくお伝えください」は、文末に使うあいさつ言葉としてよく用いられています。「〇〇様によろしくお伝えください」のように、その場の話題の相手ではない者に向けて使うのが一般的な用法です。このほかにも「またお会いできる機会を楽しみにしています。奥さまによろしくお伝えください」「本日は式典を急遽欠席することになり、申し訳ございませんでした。ほかの参列者の皆様によろしくお伝えください」「社員のみなさまに、なにとぞよろしくお伝えください」が例文として挙げられます。また、「くれぐれも」「ぜひ」「どうぞ」「どうか」といった、気持ちを念押ししたいときに使う副詞を付け加えるのもよいでしょう。これらの副詞は敬語表現ではないため、言葉自体が丁寧な表現であるとはいえません。しかし、これらの副詞の前後に、丁寧な気持ちを言い表す文章を置けば、その気持ちを念押しして伝えることができます。例文としては「近いうちにまたご連絡いたしますので、くれぐれもよろしくお伝えください」「会社のみなさまにも、どうかよろしくお伝えください」「お手数ですが、ぜひよろしくお伝えください」などです。
「よろしくお伝えください」を上司に伝える際の敬語表現
丁寧な表現ともいえる言葉ですが、上司に伝える際には工夫が必要です。なぜなら、「よろしくお伝えください」は謙譲表現とはいえ、相手の行動を促す言葉であるからです。上司に使う場合は、行動を促すことに丁寧さや申し訳なさを感じさせる一文を、「よろしくお伝えください」の前後に付け加えるとよいでしょう。「○○様には平素より大変お世話になっております。〇〇様によろしくお伝えください」「先日はA様に大変お世話になりました。なにとぞよろしくお伝えくださいますようお願いいたします」と使えば、上司に、よろしく伝えることを促したとしても、失礼な表現にはなりません。クッション言葉で柔らかい印象を与えるのもよいでしょう。「恐れ入りますが、よろしくお伝えください」「お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお伝えください」「お手数をおかけいたしますが、よろしくお伝えください」とすることで、上司への気遣いを表現できます。
語尾に謙譲語を追加するのもよいでしょう。「本日は、あいにくの雨天の中お越しいただきありがとうございました。ご都合があわなかった皆様にも、どうかよろしくお伝えくださいませ」「集会の進行が遅れてしまい申し訳ありませんでした。参加者の皆様にもどうぞよろしくお伝えくださるようお願いいたします」「本日はお招きいただき、ありがとうございました。ご家族の皆様にも、よろしくお伝えいただけますか」のように使います。ただし、「くださいませ」は女性後の1つとして捉えられています。そのため、男性が使うと、上司は言葉に違和感を感じるかもしれません。
「よろしくお伝えください」の敬語での誤用表現・注意事項
より丁寧にしようとして、「よろしくお伝えいただけますでしょうか」と言う場合がありますが、これは二重敬語となるため誤用表現とされています。日本語として正しい表現は「よろしくお伝えいただけますか」です。「よろしくお伝えください」は日ごろ顔を合わせている関係の人に向けては使いません。日常的に会えるのであれば、自分で伝えにいけばよいからです。ビジネスメールや手紙の締めとして普段から使っていると、誤って書き入れてしまうことがあるので注意してください。また、可能な限りよろしく伝えたい相手には、自分で連絡をとるようにしましょう。他人を介さずに自分の言葉で気持ちを伝えようと行動するのは、マナーの1つです。
「よろしくお伝えください」の敬語での言い換え表現
「よしなにお伝えください」と言い換えができます。「よしなに」は「いい具合になる」という意味の言葉。「よしなにお伝えください」とすることで、よくなるように伝えてほしいという意味になります。ただし、「よしなに」は一般的にあまり使う言葉ではありません。相手がその言葉の意味を知らないこともあるので、気を付けましょう。「よろしくお知らせください」も言い換えとして用いる言葉です。「お知らせ」は知らせることを意味しています。「よろしくお知らせください」はあまり口語で使うことはありません。主に書き言葉として用いる書き換え表現です。- 《よろしくお伝えください》の敬語のページへのリンク