《ややこしい》の敬語
「ややこしい」の敬語表現
「ややこしい」は敬語表現のない形容詞です。そのため、敬語にしたいときは丁寧語を付け加えるのが一般的です。「ややこしいです」という形がもっとも適切だといえます。「ややこしい」の敬語の最上級の表現
「ややこしい」の敬語の最上級は「込み入っていると存じます」「複雑だと存じます」などの形です。まず、「ややこしい」は日常会話でも頻繁に登場する言葉なので、目上の人とのやりとりではやや平易な印象を与えます。そのため、「込み入っている」「複雑」といった、同じ意味でも少し難しい表現に置き換えるのが得策です。そのうえで、「思う」を敬語にした「存じます」を付け加え、断定口調を割けます。「込み入っていると存じます」「複雑だと存じます」といった表現なら強いニュアンスがなく、相手への敬意を示しやすいでしょう。「ややこしい」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「ややこしい」をビジネスメールで使う場合、そのままの形だと適切でない場面もあります。社外の相手とのやりとりではなれなれしい印象になりかねないので、別の語句に置き換えましょう。ただし、社内の人間とのやりとりでは「ややこしい」のままでも認められるケースがあります。以下、例文を挙げていきます。「課長、先ほどの説明では確かにややこしかったです。申し訳ございませんでした。もう一度、ドキュメントを書き直してみたのでご確認ください」
「少しだけややこしくなってしまいました。ただ、重要な資料になりますので、ぜひともお目通しよろしくお願いいたします」
「たいへん申し訳ないのですが、説明書は込み入っていると存じます。不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください」
「それではこれよりセミナーを開始いたします。多少複雑だと存じますが、しばしお付き合いください」
なお、親しい相手への手紙では、「ややこしい」を使っても大きな問題にはなりません。以下、「ややこしい」の敬語表現を含んだ手紙の例文です。
「すみません、少しややこしいですね。簡単に説明しますと、式場は駅から見えるホテルの中です」
「この間の説明ではややこしかったでしょうか。至らなくて申し訳ございませんでした」
「どうも東京の人間関係はややこしいです。故郷でのんびり過ごしていたことを懐かしく思い出します」
「文字で説明するだけでは、ややこしいですよね。そこで簡単に地図も描いてみました」
「ややこしい」を上司に伝える際の敬語表現
「ややこしい」を上司に伝える際には「込み入っております」「複雑です」といった形にしましょう。「ややこしい」という単語にはカジュアルな響きがあるので、目上の人とのやりとりに向きません。相手によっては、「込み入っていると存じます」といった最上級の敬語表現にするのも効果的です。ただし、上司との会話で「存じます」を付け加えていると、表現が冗長になりかねません。端的に情報を報告しなければならない場面では、「存じます」を省いた「込み入っております」でも十分です。「ややこしい」の敬語での誤用表現・注意事項
「ややこしい」は「複雑すぎる」「難しすぎる」といった、否定のニュアンスを含む形容詞です。そのため、相手の言葉に対する敬語表現には向きません。「その説明はややこしいですね」「おっしゃることはややこしいです」といった使い方は失礼にあたります。ビジネスシーンでは特に、相手の発言や文章を「ややこしい」と表すのは避けましょう。また、「ややこしい」の敬語表現は会話や文章の中で、クッション言葉のように使われることもあります。その際は「ややこしいのですが」「ややこしくて申し訳ございませんが」と、前置きの役割を果たします。ただ、どの部分がややこしいのかを示さなくては、余計に文章が難しくなっていくでしょう。「以下の記述は少しややこしいのですが」と該当箇所をはっきりさせることで、正しいクッション言葉として機能します。
そして、ビジネスシーンでは「ややこしい」という言葉と「すみません」「申し訳ございません」といった謝罪のフレーズは、多くの場合でセットになっています。なぜなら、「ややこしい」はネガティブな意味を持っているので、そのような内容を伝えていることへの謝罪が必要になってくるからです。「ややこしかったです。申し訳ございません」「ややこしいですね。すみませんでした」など、「ややこしい」の後に謝罪を入れれば、受け手が不愉快に感じにくくなります。
「ややこしい」の敬語での言い換え表現
「ややこしい」がなれなれしい印象になりそうなときは、別の言葉に置き換えてから敬語表現にしてみましょう。ビジネスシーンでは「お手を煩わせる」「お手数をお掛けする」といった定型文があります。いずれも「面倒なことをさせてしまう」という意味であり、「ややこしい」を遠回しに伝えているフレーズだといえます。「お手を煩わせますが」という形にすれば、「ややこしいですが」に近い意味のクッション言葉として使えるでしょう。さらに、「お手数をお掛けして申し訳ございません」は「ややこしくて申し訳ございません」と同義の謝罪です。「お手を煩わせる」「お手数をお掛けする」は「ややこしい」よりも響きが丁寧なので、ビジネスシーンに向いています。
- 《ややこしい》の敬語のページへのリンク