Ⅲ.血液の可逆的分化説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 06:06 UTC 版)
「森下自然医学」の記事における「Ⅲ.血液の可逆的分化説」の解説
生理的な条件下では、食べ物が我々の体の中を流れている血液に変わり、この血液が体の細胞に変わっている。しかもコンディションのいかんによっては、体細胞から赤血球に逆戻りをするというような可逆的な関係が存在している。 ガン組織が増殖し大きくなっていくのは、体の中のすべての組織細胞が赤血球からつくられているのと全く同じように、赤血球がガン細胞に変わっていくからである。赤血球もしくは白血球がガン細胞に変化し、そうしてガンが増殖していく。発ガン要因は単一・特定のものでなく、複合・多岐にわたるが、それらはすべて生活条件の不自然さに求められる。異常を来した生理的要因と強く結びつき、これに悪影響を与える条件こそ精神的不安定と抑圧(ストレス)である。 ガン化の機序としては、発ガン要因によって組織呼吸酵素やカタラーゼなどの作用が阻害され、やむを得ず醗酵によってエネルギーを獲得している病的な組織細胞が、その局所の赤血球群を誘導することによって、それらがガン細胞化してゆく。ガンに限らず病的な細胞は、食物が腸の中で腐敗するのが発端である。腸内で生み出された腐敗産物が、血液の中に吸収されて血液を汚す。その物質は血液と共に全身をめぐり、どこかの細胞にたどり着く。すると、そこの細胞に慢性的に異常刺激を与え、そこに炎症を起こす。腫瘍も同様に慢性的な炎症の一種であり、病気を治すためには炎症を消してしまえばよい。食物・血液・体細胞が、次元こそ違え本質は一体であることを考えれば、血液をきれいにし、炎症を治めていくための食事をすれば良いのである。 吉田肉腫を接種した動物の腹水を観察すると、赤血球からのリンパ球化が認められ、それらが融合していく。赤血球の融合塊がいくつかのブロックに分かれ、それと共に各ブロック内に核が形成されて、肉腫細胞へと発展していく(PLATE ⅩⅧ:血球の起原p142)。 こうした現象は、1965年7月発行「パリ・マッチ」というフランス最大の自然科学雑誌の中で、一流のガン研究者であるアルペルン教授が同様の顕微鏡写真を掲載し、『細胞の増殖のしかたは従来の考え方とは違うようだ。もっと小さなガンの種になる細胞が寄り集まって、一個の典型的なガン細胞に発展していくのだ』という説を唱えている。 従来の説が正しければ、ガン細胞は患者からいくらでも採取できるのだから、顕微鏡の下でガン細胞の分裂というものが観察されてしかるべきだ。にもかかわらず、ガン細胞のみならず、生体内各組織細胞における「細胞分裂像」は、実際の観察では稀な現象である。したがって、稀にしか観られない現象をもって、悪性腫瘍の顕著な増殖を説明することは不合理といわねばならない。 赤血球と体細胞の間には、すべて可逆的な関係があることから、ガン治療のためには、ガン細胞を赤血球に逆戻りさせる方法を試みればよい。そのひとつの方法として、絶食あるいは食餌療法を試みることでガン細胞を赤血球に逆戻りさせることは、理論的にも実際的にも可能である。 ウサギに餌を与えず、絶食状態にして観察すると、骨髄の脂肪組織が赤血球に逆戻りしはじめる。1個の脂肪球のまわりから続々と赤血球が出現し、脂肪組織は周囲から赤血球や赤芽球に置きかえられていく。骨髄の中にある巨核細胞も、絶食状態では解体してすべて赤血球に逆戻りしてしまい、巨核細胞が赤血球へと壊されていく過程が観察される。
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