立体構造
立体配座
立体構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 08:33 UTC 版)
詳細は「クローディン」を参照 1998年に月田承一郎、古瀬幹夫らがクローディンを発見して以来、その立体構造は不明であった。一次構造から模式図が作成されていたのみであった。2014年に大阪大学と名古屋大学と東京大学の共同研究グループが世界ではじめてクローディンの立体構造を報告した。彼らはSf9 insect cellという昆虫培養細胞発現系を用いてクローディンの発現と精製を試みた。異なるサブタイプをいくつも試し、マウスのクローディン15が発現量も多く、純度もよく精製することができた。良質な結晶作成のためクローディン機能として最も重要なTJストランド形成に最低限必要な領域のみ残したC末端欠損コンストラクトを作成し、脂質キュービック相法を用いて結晶を作成した。兵庫県の大型放射光施設SPring-8でビームラインBL32XUを用いてX線回折データから2.4オングストローム分解能でクローディン15の結晶構造が得られた。この結果により、クローディンは4回膜貫通型の新規の折りたたみ構造をとること、細胞外領域のβシート構造はクローディンに保存された基本構造であること、クローディンの重合にはECHとTM3-β5との間での保存された疎水的な相互作用が重要であること、クローディン単量体は細胞外に掌を向けたような構造をしていること、細胞外表面領域がTJストランド中のイオン透過経路を作ることが明らかになった。 クローディンは4回膜貫通型の新規の折りたたみ構造をとる マウスのクローディン15は幅約3nmの大きさの分子であり4回膜貫通型タンパク質である。一次構造ではN末端からTM1、ECS1、ECH、TM2、TM3、ECS2、TM4と配列している。結晶構造からマウスのクローディン15は左巻きの4本ヘリックスバンドルからなる膜貫通領域(TM1-TM4)と2つの細胞外ループ部分が形成するβシート構造領域があることが明らかになった。膜貫通領域(TM1-TM4)にはグリシンやアラニンなどの小さな側鎖を多く含み、ヘリックス同士が固く巻き付いた構造をとっていた。膜貫通領域(TM1-TM4)の変位で難聴や低マグネシウム血症などの遺伝子疾患が報告されており4本ヘリックスバンドル構造はクローディンの生理機能に重要と考えられた。 細胞外領域のβシート構造はクローディンに保存された基本構造である 細胞外βシート領域は5本のβストランド(β1-β5)からなり、細胞外第1ループ(ECS1)の一部がβ1-β4として細胞外第2ループ(ECS2)の一部がβ5として含まれており、ひと続きの逆平行βシート構造を形成していた。これまで、細胞外第1ループと細胞外第2ループはそれぞれ別個のループ構造をもつと考えられていたが、実際にはループ構造ではなく、連続した1つの構造ドメインとして合体しているのが明らかになった。このフォールディングに重要なのがECS1中に存在するW-LW-C-Cという共通モチーフ配列であり、これはすべてのクローディンで保存されている。モチーフ配列中の2つのシステイン残基(Cys52とCys62)は分子内でジスルフィド結合を形成しており、β3とβ4の2つのストランドをつなぐことでβシートを構造を安定化していると考えられる。また、他の保存されたW-LW配列(Trp29、Leu48、Trp49)はβシート領域の根元側から脂質膜界面に突き刺さるように並んで配置しており、ヘリックスバンドル上部の裂け目の間に埋まっていた。この状態はあたかも錨(W-LW側鎖)をおろして細胞膜上にβシート領域を固定しているように見えることから、モチーフ配列は疎水的アンカーとして細胞外領域の構造を安定化するのに寄与しているとわかった。 クローディンの重合にはECHとTM3-β5との間での保存された疎水的な相互作用が重要である マウスのクローディン15分子は脂質キュービック相結晶中において単量体が横一列に並んだ状態でパッキングしており、隣接する分子間での横方向の相互作用には脂質膜界面に存在する細胞外の特定領域が関与していた。また観察された相互作用部位におけるアミノ酸変異導入とTJストランドの電子顕微鏡観察から、タンデムに隣接するECH(TM2直前の細胞外ヘリックス)とTM3-β5との間での保存された残基同士の疎水的な相互作用がTJストランドの形成に重要であることが示された。したがって結晶中でみられるこの直線上の並びは実際の生体内でみられるTJストランド中のクローディン重合体構造の一部を再現していると考えられる。 クローディン単量体は細胞外に掌を向けたような構造をしている 構造解析の結果、マウスのクローディン15単量体は細胞外第1ループ(ECS1)と細胞外第2ループ(ECS2)による形成される5つのβストランドによって細胞外に掌をむけたような構造をとっている。5つのβシート構造を掌の左手の5本の指に例えるとクローディンは隣り合う細胞間であたかも掌同士が合わさるようにTJの細胞間バリアやチャネルを形成すると予想される。 細胞外表面領域がTJストランド中のイオン透過経路を作る マウスのクローディン15はカチオン選択的なチャネル型TJを形成する。ECS1中の酸性残基(Asp55、Asp64)がその選択性に寄与している。これらの残基はβシート構造領域の端に偏って位置している。そのためマウスのクローディン15は細胞外表面領域が負に荷電される。他のクローディンサブタイプにおいても、この細胞外表面電荷がそれぞれのイオン選択性に応じた静電ポテンシャルをもっていることがホモロジーモデルから示された。TJストランド中においてクローディンの形成する掌状の荷電領域が傍細胞経路を覆うように配置することで透過・制限するイオンの選択性に寄与していることが示唆される。
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立体構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 00:43 UTC 版)
細胞内のDNAには、原核生物やミトコンドリアDNAのような環状と、真核生物一般に見られる線状がある。自然界のDNAはらせん巻き数が理論値(1回転あたり10.4塩基)よりもほんの少し小さい。線状DNAには問題は無いが、環状DNAではこの差による不安定を解消するために環にねじれが生じ、これをDNAの超らせん(または負の超らせん)という。
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立体構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 03:29 UTC 版)
有機合成化学には、有機反応化学で発見された有機反応が応用されるのであるが、有機反応化学の研究においては解決すべき問題を単純化する為に比較的簡単なモデル化合物で検討される。一方、有機合成化学では複雑な分子を扱う為に、有機反応化学で見出された反応の官能基特異性、位置特異性あるいは立体特異性がそのまま発現しないことも多い。 その様な不具合は例えば、分子内水素結合が生じることなどにより反応点の化学的特性が変わったり、近傍の置換基などの立体障害により実際の立体配座においては反応点が分子外面から遮蔽されていたりすることなどで発生する。したがって、どのような順番で合成計画を組み上げるか、あるいは同種の保護基の中からどの保護基を採用するかなど、反応パターンだけではなく、立体化学的な影響についても十分に吟味する必要がある。あるいは、保護基を使うことで積極的に中間体の立体配座を制御して、反応が進行しやすいように合成計画を設定する場合もある。
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立体構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 07:08 UTC 版)
1998年に月田承一郎、古瀬幹夫らがクローディンを発見して以来、その立体構造は不明であった。一次構造から模式図が作成されていたのみであった。2014年に名古屋大学の藤吉好則、東京大学の濡木理らの共同研究グループにより、世界ではじめてクローディンの立体構造が報告された。彼らはSf9 insect cellという昆虫培養細胞発現系を用いてクローディンの発現と精製を試みた。異なるサブタイプをいくつも試し、マウスのクローディン15が発現量も多く、純度もよく精製することができた。良質な結晶作成のためクローディン機能として最も重要なTJストランド形成に最低限必要な領域のみ残したC末端欠損コンストラクトを作成し、脂質キュービック相法を用いて結晶を作成した。兵庫県の大型放射光施設SPring-8でビームラインBL32XUを用いてX線回折データから2.4オングストローム分解能でクローディン15の結晶構造が得られた。この結果により、クローディンは4回膜貫通型の新規の折りたたみ構造をとること、細胞外領域のβシート構造はクローディンに保存された基本構造であること、クローディンの重合にはECHとTM3-β5との間での保存された疎水的な相互作用が重要であること、クローディン単量体は細胞外に掌を向けたような構造をしていること、細胞外表面領域がTJストランド中のイオン透過経路を作ることが明らかになった。 クローディンは4回膜貫通型の新規の折りたたみ構造をとる マウスのクローディン15は幅約3nmの大きさの分子であり4回膜貫通型タンパク質である。一次構造ではN末端からTM1、ECS1、ECH、TM2、TM3、ECS2、TM4と配列している。結晶構造からマウスのクローディン15は左巻きの4本ヘリックスバンドルからなる膜貫通領域(TM1-TM4)と2つの細胞外ループ部分が形成するβシート構造領域があることが明らかになった。膜貫通領域(TM1-TM4)にはグリシンやアラニンなどの小さな側鎖を多く含み、ヘリックス同士が固く巻き付いた構造をとっていた。クローディンの膜貫通領域(TM1-TM4)の変位で難聴や低マグネシウム血症などの遺伝子疾患が報告されており4本ヘリックスバンドル構造がクローディンの生理機能に重要と考えられた。 細胞外領域のβシート構造はクローディンに保存された基本構造である 細胞外βシート領域は5本のβストランド(β1-β5)からなり、細胞外第1ループ(ECS1)の一部がβ1-β4として細胞外第2ループ(ECS2)の一部がβ5として含まれており、ひと続きの逆平行βシート構造を形成していた。これまで、細胞外第1ループと細胞外第2ループはそれぞれ別個のループ構造をもつと考えられていたが、実際にはループ構造ではなく、連続した1つの構造ドメインとして合体しているのが明らかになった。このフォールディングに重要なのがECS1中に存在するW-LW-CCという共通モチーフ配列であり、これはすべてのクローディンで保存されている。モチーフ配列中の2つのシステイン残基(Cys52とCys62)は分子内でジスルフィド結合を形成しており、β3とβ4の2つのストランドをつなぐことでβシートを構造を安定化していると考えられる。また、他の保存されたW-LW配列(Trp29、Leu48、Trp49)はβシート領域の根元側から脂質膜界面に突き刺さるように並んで配置しており、ヘリックスバンドル上部の裂け目の間に埋まっていた。この状態はあたかも錨(W-LW側鎖)をおろして細胞膜上にβシート領域を固定しているように見えることから、モチーフ配列は疎水的アンカーとして細胞外領域の構造を安定化するのに寄与しているとわかった。 クローディンの重合にはECHとTM3-β5との間での保存された疎水的な相互作用が重要である マウスのクローディン15分子は脂質キュービック相結晶中において単量体が横一列に並んだ状態でパッキングしており、隣接する分子間での横方向の相互作用には脂質膜界面に存在する細胞外の特定領域が関与していた。また観察された相互作用部位におけるアミノ酸変異導入とTJストランドの電子顕微鏡観察から、タンデムに隣接するECH(TM2直前の細胞外ヘリックス)とTM3-β5との間での保存された残基同士の疎水的な相互作用がTJストランドの形成に重要であることが示された。したがって結晶中でみられるこの直線上の並びは実際の生体内でみられるTJストランド中のクローディン重合体構造の一部を再現していると考えられる。 クローディン単量体は細胞外に掌を向けたような構造をしている 構造解析の結果、マウスのクローディン15単量体は細胞外第1ループ(ECS1)と細胞外第2ループ(ECS2)による形成される5つのβストランドによって細胞外に掌をむけたような構造をとっている。5つのβシート構造を掌の左手の5本の指に例えるとクローディンは隣り合う細胞間であたかも掌同士が合わさるようにTJの細胞間バリアやチャネルを形成すると予想される。 細胞外表面領域がTJストランド中のイオン透過経路を作る マウスのクローディン15はカチオン選択的なチャネル型TJを形成する。ECS1中の酸性残基(Asp55、Asp64)がその選択性に寄与している。これらの残基はβシート構造領域の端に偏って位置している。そのためマウスのクローディン-15は細胞外表面領域が負に荷電される。他のクローディンサブタイプにおいても、この細胞外表面電荷がそれぞれのイオン選択性に応じた静電ポテンシャルをもっていることがホモロジーモデルから示された。TJストランド中においてクローディンの形成する掌状の荷電領域が傍細胞経路を覆うように配置することで透過・制限するイオンの選択性に寄与していることが示唆される。
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立体構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:47 UTC 版)
ニトロゲナーゼは活性中心を有するニトロゲナーゼ二量体(Dinitrogenase、Mo-Feタンパク質、component I)およびニトロゲナーゼ二量体を還元するニトロゲナーゼ還元酵素(Dinitrogenase reductase、Feタンパク質、component II)からなる。機能単位はニトロゲナーゼ二量体およびニトロゲナーゼ還元酵素二量体のヘテロ四量体をとっているが、生体内における構造はさらにヘテロ四量体が2つ結合しヘテロ八量体構造にて機能している(最上部の『ニトロゲナーゼの構造』図表参照)。なお、本節では立体構造がよく知られているモリブデン含有ニトロゲナーゼのみについて概説する。 ニトロゲナーゼ機能単位:ニトロゲナーゼ二量体(黄、青)およびニトロゲナーゼ還元酵素二量体構造(白、ピンク)。ポリペプチドを除去した図表が下部『ニトロゲナーゼの補因子』。PDB: 1M34 ニトロゲナーゼ二量体:αサブユニット(緑)およびβサブユニット(赤)の二量体構造。αサブユニット内にはFeMo-coおよびホモクエン酸が、両サブユニット間にはP-clusterが確認できる。PDB: 1M34 ニトロゲナーゼ還元酵素:ホモ二量体構造。白およびピンクポリペプチド内にはそれぞれMg-ATPが結合している。また両サブユニット間に[4Fe-4S]クラスターが確認できる。PDB: 1M34
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立体構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 03:05 UTC 版)
「リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ」の記事における「立体構造」の解説
上述したようにRubisCOは地球上で最も存在量の多いタンパク質である。そのため、歴史的にも構造生物学的研究が進んだ酵素の一つであった。1971年に最初のRubisCO結晶が得られたものの、最初のX線結晶構造が明らかになったのは1990年のことであった。 まずはじめに得られた立体構造は紅色非硫黄細菌 Rhosdospirillum ruburm のForm II RubisCOである。解析の結果、Form IIは同一のサブユニット2個が対称性を持って結合している、分子量100 kDa程度のホモ2量体であることがわかった。Form I RubisCOの立体構造は同年にタバコ葉のものが明らかになった。Form Iは大サブユニット2個、小サブユニット2個のL2S2単位が計4個対称性を持って結合している分子量550 kDa程度のL8S8型であることが明らかになった。結晶化から立体構造の把握まで非常に時間がかかったことに関して、分子量が極めて大きく高い解像度を得られなかったことが原因と考えられている。 その後、多くの生物からForm I、II RubisCOの立体構造が明らかになった。また、基質や生産物を加えながら結晶化を行なうことにより、多くの反応中間体と思われる構造が得られた。具体的にはリブロース1,5-ビスリン酸と構造の良く似たカルボキシアラビニトールビスリン酸 (CABP) やマグネシウム-二酸化炭素複合体、カルシウム-二酸化炭素複合体、キシルロースビスリン酸 (XuBP)、そして生成産物である3-ホスホグリセリン酸 (PGA) などである。 また、2001年に古細菌型である Thermococcus kodakaraensis のForm III RubisCOの立体構造が明らかになった。遺伝子配列など、既知のRubisCOと相同性の低かったForm IIIは立体構造も他のFormと大きく異なっており、同一のサブユニット2個が対称性を持って結合しているL2単位が計5個対称性を持って結合している分子量497 kDa程度のL10型であることが明らかになった。
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