国家機関などの対応
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「令和元年東日本台風」の記事における「国家機関などの対応」の解説
皇室 10月15日、今上天皇・皇后雅子による「お見舞いの気持ち」が、宮内庁を経て発表された。2019年に限り国民の祝日となったその7日後の10月22日には、即位の礼(中心儀式:即位礼正殿の儀)の一部である「祝賀御列の儀」(天皇即位を祝う皇居から赤坂御用地までのオープンカーによるパレード)も予定されていたが、大規模な警備体制の整備を要するため、被害の甚大さと復旧支援の緊急性などを考慮して同儀式は11月10日に延期された。 総理大臣官邸 10月8日13時に情報連絡室を設置。以後、関係閣僚会議を実施(第4次安倍第2次改造内閣)。10月12日15時30分、情報連絡室を官邸対策室に改組した。同時刻に安倍晋三内閣総理大臣より関係閣僚に指示を行った。 非常災害対策本部 10月13日9時30分、非常災害対策本部を設置。 10月15日、千葉県が台風15号・19号にともなう被災者生活再建支援法の県下全域への適用をしたと公表。 10月16日、令和元年度一般会計予算予備費より7.1億円を捻出し、被災者支援に充てることを閣議決定。 10月18日、「令和元年台風第19号による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」を閣議決定し、同日施行。 10月29日、今災害をおよび大規模災害復興法の「非常災害」に指定し、11月1日政令公布・同日施行とした。 11月1日、今災害を激甚災害に指定する政令を公布・同日施行した。 12月4日、激甚災害指定の政令を一部改正し、災害指定期間を延長指定した。 内閣府 10月8日13時に情報連絡室を設置。関係都道府県に災害救助法関連情報などの通知を発出した。 災害救助法は10月15日現在、1都13県の390自治体に適用されている。 10月18日、総合法律支援法第三十条第一項第四号に基づく指定を行うための政令を施行。 気象庁 気象庁は、10月9日に早期警戒を呼びかける第1報を発出。通常は台風接近の前日に行う記者会見をこの日に行い、同年の房総半島台風や平成30年台風第21号と同程度の暴風になるおそれがあるとして警戒を呼びかけた。 10月11日に気象庁は再び臨時の記者会見を開き、12日から13日にかけて、広い範囲で記録的な大雨や暴風となる見込みであると発表した。「狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となる」おそれもあり、「大雨特別警報を発表する可能性がある」と発表した。 また、TEC-FORCE JETT(気象防災対応支援チーム)を31都府県に派遣。 警察庁 10月8日13時に、災害対策室長を長とする災害情報連絡室を設置した。12日15時30分、警備局長を長とする災害警備本部へ改組。城山ダム緊急放流にともない、神奈川県警察機動隊を厚木市に派遣。 13日、警察庁次長を長とする非常災害警備本部に改組。12府県の警察本部に対し、広域緊急援助隊の派遣要請を行った。 全国の警察本部・管区警察局からの派遣をもって対応した。各部隊は以下の期間で活動。 警察災害派遣隊(10/13~11/20:39)、広域緊急援助隊(警備部隊 10/13~10/23)、広域警察航空隊(10/13~10/23)、特別自動車警ら隊(10/16~11/20)、特別生活安全部隊(10/17~11/18)、機動警察通信隊(10/13~10/20) 総務省消防庁 10月8日に、消防庁災害対策室(第1次応急体制)を設置。8日以降「台風第19号についての警戒情報」などの警戒情報を都道府県・指定都市等に通達し、警戒を取るように事前通達が行われた。 12日15時30分、消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部(第3次応急体制)に移行した。 宮城県・福島県・長野県から消防庁長官に対し、緊急消防援助隊の応援要請があり、東北ブロック、関東ブロック各隊に出動を求めた。13日から18日にかけて計755隊2,680人規模、消防ヘリコプター38機が投入され、18日の宮城県からの引き上げをもって活動を終了した。 防衛省・自衛隊 防衛省は10月11日、災害関連情報専用のTwitterアカウントを開設。そのほか、河野太郎防衛大臣のアカウント および、各部隊のアカウントによる個別情報の提供を実施している。これによると、1万7,000人態勢での即応体制を確立するとともに、特別警報が発表された13都県の担当する部隊約2万7,000人を全員呼集。13日現在、21都県(272自治体)および東京電力本社にLO(連絡幹部)を派遣した。 また、13日16時、河野太郎防衛大臣(第4次安倍第2次改造内閣)より自衛隊行動命令が発出され、陸上総隊司令官髙田克樹陸将を指揮官とする統合任務部隊(JTF、通称号:笑顔と故郷を取り戻すために JTF)が編成された。全国の陸海空自衛隊より人員3万1,000人規模、艦艇8隻、航空機130機体制での活動を開始した。続いて14日17時15分、最大で1,000名程度の即応予備自衛官、予備自衛官の招集を閣議決定、招集命令が発せられた。全国から部隊が派遣され、被災者生活支援・医療支援・慰問演奏会を実施した。 各都県知事より災害派遣要請が相次いだため、以下に災害派遣情報を一覧として掲載する。 ※以下、在任(当時)の各都県知事の人名は1回目のみ表記。便宜上、10月24日~10月26日の大雨についても記載する。 令和元年台風第19号にともなう災害派遣一覧(2019年12月2日14時00分現在)要請日時要請元要請先要請内容撤収要請10月12日 20時30分 宮城県知事村井嘉浩 陸自 第2施設団長 人命救助 撤収要請受理* 21時10分 栃木県知事福田富一 陸自 第12特科隊長 人命救助 撤収要請受理* 21時20分 静岡県知事川勝平太 陸自 第34普通科連隊長 人員輸送 撤収要請受理* 21時34分 長野県知事阿部守一 陸自 第13普通科連隊長 人命救助、水防活動 11月30日22時00分 21時41分 栃木県知事 陸自 第12特科隊長 人命救助、資材搬送 撤収要請受理* 21時50分 東京都知事小池百合子 陸自 第1師団長 避難誘導等 撤収要請受理* 23時15分 福島県知事内堀雅雄 陸自 第6特科連隊長 人命救助 撤収要請受理* 10月13日 00時25分 茨城県知事大井川和彦 陸自 施設学校長 人命救助 撤収要請受理* 00時44分 宮城県知事 陸自 第2施設団長(船岡駐屯地司令名義) 人命救助 撤収要請受理* 02時00分 福島県知事 陸自 第44普通科連隊長 行方不明者捜索 撤収要請受理* 02時10分 宮城県知事 陸自 第22即応機動連隊長(多賀城駐屯地司令名義) 孤立者救助 撤収要請受理* 02時20分 栃木県知事 陸自 第12特科隊長 人命救助 撤収要請受理* 02時26分 東京都知事 陸自 第1師団長 孤立者救助 撤収要請受理* 02時45分 岩手県知事達増拓也 陸自 第9特科連隊長 行方不明者捜索 撤収要請受理* 02時50分 茨城県知事 陸自 施設学校長 水防作業 撤収要請受理* 03時00分 宮城県知事 陸自 第2施設団長 人命救助 撤収要請受理* 04時05分 栃木県知事 陸自 第12特科隊長 人命救助 撤収要請受理* 04時30分 福島県知事 陸自 第6特科連隊長 行方不明者捜索 撤収要請受理* 05時34分 茨城県知事 空自 第7航空団司令 孤立者救助 撤収要請受理* 06時00分 群馬県知事山本一太 陸自 第12旅団長 人命救助 撤収要請受理* 08時30分 埼玉県知事大野元裕 陸自 第1師団長 給水支援 撤収要請受理* 11時20分 栃木県知事 陸自 第12特科隊長 給水支援 撤収要請受理* 13時07分 静岡県知事 陸自 第34普通科連隊長 行方不明者捜索 撤収要請受理* 13時35分 神奈川県知事黒岩祐治 陸自 第1師団長 人命救助 撤収要請受理* 17時33分 千葉県知事森田健作 陸自 第1空挺団長 避難誘導、輸送支援 11月5日 15時10分 10月25日 17時30分 千葉県知事 陸自 第1空挺団長 人命救助 10月26日 10月26日 11時20分 福島県知事 陸自 第44普通科連隊長 行方不明者捜索 10月31日 *は撤収要請日時不明を示す 備考LO:21都県(最大271自治体)・東京電力本社に派遣。本省審議官級を長とする連絡員チームを各県庁に派遣 統合任務部隊(JTF)編成規模:最大人員3,1000人規模、艦艇8隻、航空機130機等体制。最大5,500人規模・40機で活動。 即応予備自衛官:368名、予備自衛官:53名(最大1,000名程度予定)。 以後、部隊規模の縮小、撤収要請が相次いだことから、11月8日の大臣命令をもってJTFは解組され、東北を管轄する東北方面総監・関東甲信越を管轄する東部方面総監による指揮体制に移行した。同時に、11月9日をもって即応予備自衛官・予備自衛官の招集を終了した。11月30日をもって一連の活動を終了した。 11月8日、台風15号から一連の災害派遣活動により、一般会計予算の予備費から経費65億円を拠出したことを発表した。 海上保安庁 10日に海上保安庁本庁に災害対策室を設置。12日15時30分に災害対策本部に移行。11月8日7時現在、巡視艇のべ716隻、航空機のべ166機、救助要員のべ442名、リエゾンのべ86名規模で対処。また、航行警報129件、海の安全情報121件を発出し情報提供を行った。 このほか、福島県・岩手県で給水支援、入浴支援を実施した。 総務省 10月8日13時に大臣官房総務課に情報連絡室を設置。12日15時30分に官房長を長とする災害対策本部に改組。被災地への応援職員の派遣に関する通知発出およびリエゾンの派遣、移動式電源車の用意、衛星携帯電話の貸し出しを山梨県と千葉県君津市、長野県などに実施した。このほか、災害時用公衆無線LANサービス「00000JAPAN」の開放、特設の公衆電話124台設置、NHK・携帯電話料金・無線局電波使用料の支払い猶予などを実施。 以下は今災害に絡む電波法に基づく臨機の措置、および放送局の被害の一覧である。 予備免許交付中のこまえエフエム(CFM)の設備を用いて、臨機の措置により臨時災害放送局を開設(12日開設 - 13日閉局)。 茨城県大子町のFMだいごが被災し停波したため、FMぱるるんの機材を使用し、FMだいごと同一周波数(77.5MHz)にて臨機の措置により臨時災害放送局を開設(14日開局)。19日、FMだいごの設備が仮復旧。同日夕方に臨時災害放送局を閉局し、放送を再開した。 埼玉県秩父市のちちぶエフエムは送信所付近の電柱滑落にともなう配電線・光回線遮断により停波。スマートフォンアプリのみで昼間限定で放送していたが、15日をもってスマートフォンアプリでの配信を中止。仮設アンテナ設置により10月26日7時よりFM放送・スマートフォンアプリによる放送を再開。 神奈川県横須賀市のFM・ブルー湘南は通信回線断による停波、葉山町の湘南ビーチFMの停電による停波はそれぞれ復旧した。 このほか、いわき市民コミュニティ放送中継局の中継局停電・浸水、軽井沢エフエム放送の停電による停波はそれぞれ復旧した。 県域局である、栃木放送FM補完放送でも一時停電による停波が発生した。 復旧応援の中国電力・北陸電力等に対する陸上移動局の移動範囲の変更。 NTTドコモに対し衛星基地局の開設の許可。 総務省所管の日本郵便によると、13日17時現在、静岡県全域の窓口業務および静岡県外8局での窓口業務を休止。全国的に郵便配達が遅れていた。また、長野県・福島県での車両型郵便局の展開、長野県での避難所における郵便物配達、貯金の非常即時払いの実施、かんぽ生命などの利率減免、臨時貯金窓口の営業を実施した。 厚生労働省 18日6時時点sw、DMATのべ68隊、DPATのべ11隊が活動。2020年1月時点でDMATは活動終了。 事務連絡を通して、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)、感染症、衛生、災害時の小児アレルギーに関する周知を実施。日本栄養士会のJDA-DATとの連携を実施。このほか、リエゾン、保健師の派遣、インフルエンザワクチンの確保の要請を行った。 国土交通省 10月11日に本省災害対策本部を設置。10月10日よりTEC-FORCE(11月3日7時現在、延べ1万5,822人)、13日より省所有ヘリコプター(全機)、災害対策用機械(のべ9,050台)派遣を実施。 農林水産省 10月11日に令和元年台風第19号に関する農林水産省緊急自然災害対策本部を設置。プッシュ型食料物資支援の調整のため、内閣府防災(8号館)へ職員2名を派遣したほか、地方部局・地方自治体へリエゾン派遣を実施。 文部科学省 10月13日14時30分、事務次官を本部長とする文部科学省非常災害対策本部を設置。児童の安全確認に関する通知、被災した学校の復旧に関する通知を行う。大学病院やQST病院の備蓄体制の確認に関する通知などを実施。このほか、奨学金・教科書などに関する通知を実施。 文部科学省が所管する宇宙航空研究開発機構(JAXA) は国土交通省などの要請を受け、台風被害の把握のため、陸域観測技術衛星2号 「だいち2号」による東北・関東地方およびその周辺地域の緊急観測を13日から17日にかけて計7回実施した。 文部科学省が所管する防災科学技術研究所は「令和元(2019)年 梅雨期・台風期 クライシスレスポンスサイト」・「令和元(2019)年台風19号に関するクライシスレスポンスサイト」を随時更新し、情報提供を実施。また各県の県庁にリエゾンを派遣した。 金融庁 10月8日、金融庁災害情報連絡室を設置。13日、金融庁災害対策室に改組した。 10月13日、災害救助法の適用を決定したことを受け、適用地域の所轄財務局において、日本銀行との連名で12都県内の金融機関などに対して、「令和元年台風第19号に伴う災害に対する金融上の措置について」を発出した。 10月15日、先だって設置していた台風15号金融庁フリーダイヤルを更新する形で、台風19号金融庁フリーダイヤルを設置。 消費者庁 大規模災害に関連した消費者トラブル・消費者事故への注意喚起などを実施。 法務省 10月11日9時20分、災害情報連絡室を設置。10月13日15時50分、法務省災害対策本部を設置した。避難所として、駿府学園、東日本成人矯正医療センター、東京拘置所、府中刑務所を開放した。 財務省 商工中金、日本政策金融公庫などの政府系金融機関に対し、被災者への貸付に関する配慮要請を発出。罹災証明書業務支援等人的支援を実施。 経済産業省 松本経済産業副大臣から東京電力に対して、福島第一原子力発電所における台風19号の接近にともなう防災対策の徹底について要請した。 環境省 災害ごみに関する通知、リエゾン派遣などを実施。
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