必殺からくり人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 06:06 UTC 版)
登場人物
からくり人
- 夢屋時次郎
- 演 - 緒形拳[6]
- 表稼業は安眠枕を売る「夢屋」で川を小船で渡りながら歌を唄いつつ、枕を売っていく。
- からくり人の中では行動力に優れ、ねずみ小僧が入牢している牢屋に忍び込んだり、仇吉の頼みで尾張まで飛び、情報収集を行った。作劇上では語り手としての側面を持ち、第1話の冒頭で現代の銀座に姿を見せ、ねずみ小僧の市中引き回しを説明する場面がある。遊び好きで、女に手を出すのが早く、お調子者の一面もある。
- 島帰りの証である腕の刺青を知り合いの彫物師によって、一本だけ消してもらい、残りの一本も消してもらう約束でいたが、その彫物師はある悪事に利用された末に殺される。
- 過去にアキという恋人がいたが、彼女が男に絡まれているのを助けようとして誤って、相手の男を殺してしまい、島送りとなる。島抜けをした後、アキは他の男と結婚していた。彼女への想いを捨てきれなかった時次郎は彼女に瓜二つの女郎のしぐれに肩入れするようになる。
- しぐれが病気になった時に女郎を差別せず、命を助けてくれた蘭学医の小関三英に恩を感じ、小関が蛮社の獄で自決したことを知るや仇を討つために鳥居耀蔵などの幕府要人の暗殺を図る。そのために仲間へ累が及ばないよう姿をくらまし、特製の狙撃銃を用意したが、弾道に飛んだ一羽の鳩のために失敗に終わる。最後は身体中に火薬を仕掛け、五重塔の中で自爆した。
- 仕掛の天平
- 演 - 森田健作[7]
- 百万坪の埋立地に居を構える花火師。赤く発色する火薬を使った花火を得意としており「血染めの天平」の異名を持つ。
- 血気盛んで、ぶっきらぼうだが、優しい性格である。とんぼに惚れられているようだが、女心には疎く、いつも邪険にする。へろ松と一緒に掘っ立て小屋に住んでいるが、一緒に住むようになった経緯は不明。小屋の中には火薬が大量に置かれており、火付けに合うことが多く、小屋を爆発させられてしまう。
- 出生に関しては詳しく語られていないが、とんぼと同じ島生まれらしく、幼い頃に仇吉らと共に嵐の中を島抜けして以来の縁。とんぼの項で触れられている兄妹説に関しては真偽は不明のままである。
- 最終話では家を爆破された影響で視力を失い、曇り一家に単身で乗り込み、曇りと共に自爆しようとするも叶わず、自分の花火で爆死した。
- 花乃屋とんぼ
- 演 - ジュディ・オング
- 仇吉の娘。仇吉が八丈島に流された時には既に身籠っており島で産み落とされた。父は、かつて仇吉の男だったが裏切った浮世絵師(歌川延重)。その後も島で暮らし、その間に生きるための術として学習した読唇術をからくり人の仕事としても利用して、悪人の密談を調べる。
- 日頃から好意を抱く天平とは兄妹かもしれないという会話が仇吉と藤兵ヱの間でされたが、そうなると天平もまた仇吉の子ということになるため、第11話で仇吉によって語られた過去との矛盾が生まれてしまい、真偽は不明のままである。
- 典型的な現代っ子だが、純粋な性格。
- 殺しは基本的に行わないが、最終話の曇り一家との全面抗争で、花乃屋に侵入してきた刺客を藤兵ヱに託された匕首で刺殺した。仇吉から最後の願いを託されて上方へ渡り、のちに清元の名手[8]となって明治初頭に活躍した。
- 八尺の藤兵ヱ
- 演 - 芦屋雁之助
- 花乃屋の番頭で、普段は屋形船の船頭。仇吉の用心棒も務める。並外れた怪力の持ち主で、柱への突っ張りで家屋全体を揺るがすほどの力を備えている。
- へろ松の父親でもあるが、母親については明らかにされていない。普段は陽気な性格だが、甘党で酒が飲めないらしい。
- からくり人の一党をまとめる役割を担い、仇吉が自分の心境を吐露することのできる唯一の人物である。情に厚く、殺した相手の抱いていた赤ん坊やその兄を引き取って育てようとしたこともある。
- 最終話では曇り一家との最終抗争の口火を切り、配下の殺し屋に何発も銃弾を浴び、仇吉の下へ自力で泳ぎながら船を届けた後に息絶える。
- 八寸のへろ松
- 演 - 間寛平[9]
- 藤兵ヱの息子。関西弁を話し、少々間抜けに見える所もあるが、純情で優しい性格。寝小便の癖があり、天平を困らせている。
- 第1話では蘭兵衛の営む骨董屋「壷屋」で働いていたが、第2話以降は様々な商売を営むが上手く行かず、すぐに止めてしまう。最終話では、とんぼと共に生き残る。
- 壺屋蘭兵衛
- 演 - 芦田伸介[10]
- からくり人の初代 元締で、仇吉らと共に島抜けした間柄である。
- 「銭を持っていない人間からは銭を受け取れない」という信念を持つ。曇りとは対立しており、彼が放った刺客の襲撃を受けて刺殺された。
- 花乃屋仇吉
- 演 - 山田五十鈴[11]
- 先代の元締 蘭兵衛の配下のからくり人だったが、蘭兵衛の死後は後を引き継いで、元締となる。自らの悲惨な過去ゆえに弱者に同情的で、「涙以外とは手を組まない」が信条。その信念のために外道組織の曇り一家と衝突することになる。
- 表稼業は三味線の師匠で深川に居を構え、三味線を教えており、夜は屋形船で、流し三味線を弾いている。大の男を向こうに回して一歩も引かない胆力を備え、腕っぷしも立つ。
- かつては深川の辰己芸者であり、本名は「艶(えん)」。所帯を持とうと約束していた男に騙されて長崎のオランダ商館長に慰み者にされたために周囲の社会から差別と迫害を受け、芸者を続ける事ができず鳥追いとなった。自分を騙した男が帯同する長崎奉行の一行に襲いかかり男を殺そうとしたために捕まり、島送りとなった。花乃屋一党は島抜けの際に一緒に脱出した関係である。
- 最終話で、次々と仲間を失いながらも、娘のとんぼにからくり人の存在を後世まで伝えることを示唆して別れ、曇りと相討ちになり、息絶えた。
敵対勢力
- 曇り
- 演 - 須賀不二男[12]
- 裏稼業「曇り一家」の元締で蘭兵衛と競っていた。権力者と癒着しており、金のためなら外道仕事も辞さない。興奮すると、どもる癖がある。
- 邪魔者の蘭兵衛を刺客を使い抹殺するが、それがきっかけで仇吉率いる花乃屋一党と敵対し、最終話で仇吉と相討ちになり息絶えた。
ゲスト
- 第1話 「鼠小僧に死化粧をどうぞ」
- 第2話 「津軽じょんがらに涙をどうぞ」
- 第3話 「賭けるなら女房をどうぞ」
- 第4話 「息子には花婿をどうぞ」
- 第5話 「粗大ゴミは闇夜にどうぞ」
- 第6話 「秘めごとは白い素肌にどうぞ」
- 第7話 「佐渡からお中元をどうぞ」
- 第8話 「私ハ待ッテル一報ドウゾ」
- 第9話 「食えなければ江戸へどうぞ」
- 第10話 「お上から賞金をどうぞ」
- 第11話 「私にも父親をどうぞ」
- 第12話 「鳩に豆鉄砲をどうぞ」
- 第13話 「終りに殺陣をどうぞ」
- ^ シリーズ 第6作『必殺仕置屋稼業』第15話に、被害者役でゲスト出演をしている。
- ^ ジュディはシリーズ 第5作『必殺必中仕事屋稼業』第2話に、被害者役でゲスト出演し、必殺シリーズのスタッフが制作した『おしどり右京捕物車』(1974年)に、『からくり人』の前作『必殺仕業人』で赤井剣之介役を演じた、中村敦夫扮する神谷右京の妻 はな役で、レギュラー出演をしている。
- ^ 第14回ギャラクシー賞受賞作品 放送批評懇談会 2015年3月3日閲覧。
- ^ 早坂が執筆した脚本は『必殺仕掛人』を2回(全33話)、『必殺からくり人』は10回(全13話)、『新・必殺からくり人』は3回(全13話)、『必殺からくり人・富嶽百景殺し旅』は1回(全14話)を書いている。また、上記のからくり人シリーズでは、いずれも第1話を書いている。他に、『必殺仕掛人』から『必殺仕事人』まで(『暗闇仕留人』は除く)のオープニングナレーションを手掛けている。
- ^ 第1話で鼠小僧が処刑される日(天保3年)の出来事が描かれ、第12話で、蛮社の獄(天保10年)を扱っていることから、劇中では7年が経過していることになる。
- ^ 第1 - 8、10 - 12話
- ^ 第9、13話はトップ クレジット
- ^ 劇中では名前を「のぶじゅ」と読んでいる。実際の清元節は上方ではなく江戸浄瑠璃で、宗家の名跡である清元延寿太夫は「きよもとえんじゅだゆう」と読む。初代から当代まで延寿太夫は男性が襲名しており、劇中の設定は史実とは全く異なる。また本作品に先んじて1975年10月10日に放映された必殺仕置屋稼業第15話 「一筆啓上 欺瞞が見えた」において、ゲスト出演した山田五十鈴の演じた清元節の師匠の芸名が「清元延寿(きよもとのぶじゅ)」(本名・たか)であった。
- ^ 第1 - 10、12 - 13話
- ^ 第1話のみ
- ^ キャスト表示のテロップはズーム アップ
- ^ 第1、3、12、13話
- ^ 原は後年『必殺仕舞人』シリーズに善行尼役で出演。
- ^ 鉄べらは手首に巻いた革紐に差しており、それを抜いて、手の中でさばく時に鳴る金属音は『必殺仕事人』で、飾り職人の秀が簪の房を鳴らす効果音として流用されている。『美少女戦士セーラームーン』で、セーラームーンがティアラを装着する際の効果音にも流用された。
- ^ 「まけいぬのブルース」と読む。映像では「負け犬の唄」と表記
- ^ 元締の蘭兵衛が死亡。冒頭部分で、放送当時(1976年)の銀座と朝日放送本社社屋が登場。
- ^ ギャラクシー賞受賞作品。冒頭の現代のシーンでは、山田が本人役で出演している。
- ^ 第11話と矛盾する要素が多数、存在する。
- ^ 殺しのない話。
- ^ 時次郎が死亡。この回は早坂の脚本が撮影開始に間に合わず、時次郎死亡場面から順に原稿が渡されて繋いでいったという。
固有名詞の分類
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