ユーザーエクスペリエンス 要素

ユーザーエクスペリエンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/03 19:39 UTC 版)

要素

外部

UXに影響を与える要素

個人の内面に発生するUXはそれを取り巻く要素から影響を受ける。これらの要素は3つに大別される[19]

  • 文脈: 社会的(例: 周囲の人)、物理的(例: 利用場所)、時間的(例: 前後のスケジュール)、環境的(例: 類似システム)
  • ユーザー: モチベーション、期待、雰囲気、記憶・経験、精神状態、身体状態
  • システム: 品質ブランドイメージ、状態(例: 使い込みによるくたびれ)

例えば「爽快感がウリのゲーム(システム)」から得る面白さ(UX)はそのゲームを

  • 「友人達の中で流行っていて(文脈)」「発売前から個人的に期待していた(ユーザー)」状態
  • 「周りの評判が悪く(文脈)」「友人に言われて付き合いで仕方ない(ユーザー)」状態

のどちらの状態で遊ぶかで全く異なる。このようにUXはシステムの品質のみならず、それを取り巻く文脈・ユーザーの状態に大きく影響を受ける。UXは個人の内面に発生する現象であり直接は触れないが、UXを取り巻く要素を変化させることでUXも変化する。

内部

UXはシステムに触れたユーザーの内部に生じる全てとも言える。この大きなUXは複数の内部要素から成る[20][21]。例えば「お好み焼き屋での食事」という大きな体験は「自分で生地を焼いた経験」「ソースの甘味」「食後の満足感」など様々な要素が合わさったものである。含まれる要素を明らかにすることで解像度の高いUX理解と細やかなデザインが可能になる。

UXを構成する側面の分割例として "UXハニカム"(: user experience honeycomb)がある[22]。この分類ではUXを Useful / Usable / Desirable / Findable / Accessible / Credible / Valuableの7側面に分割する。この分類を用いると「使い勝手がいいし簡単に見つかって良かったけどどうにも信用できない感じ」という風にUXを整理できる。

しばしば評価される要素には感情面以外に審美性、モチベーション、存在感、エンゲージメント、魅力、満足などが挙げられる[23]


注釈

  1. ^ 2010年には研究者・実務家30名による議論でも同様に、広く合意される定義は提示されていない: ユーザーエクスペリエンス白書

出典

  1. ^ "ux は...システムと出会うことに由来する経験を明確に示しています。" ロト, et al. (2010). UX白書.
  2. ^ "経験という概念は、人間としての存在に伴っています。" ロト, et al. (2010). UX白書.
  3. ^ "ux は...システムと出会うことに由来する経験を明確に示しています。...「システム」は、 個人がユーザインターフェースを通して対話する、 独立したまたは組み合わされた形態の製品・サービスおよび人工物を指す。…ux は一般的な概念としての経験の一部です。ux はシステムを通じた経験であるため、より限定的です" ロト, et al. (2010). UX白書.
  4. ^ コトバンク、デジタル大辞泉、ユーザー‐エクスペリエンス(user experience)の頁
  5. ^ C. ラレマンドらが2015年に35カ国758人を対象として行った研究
  6. ^ a b c d e f Lallemand 2014.
  7. ^ a b Roto 2011.
  8. ^ hcdvalue 2011.
  9. ^ 「UX白書カンファレンス」で講演しました|安藤研究室ノート
  10. ^ User experience definitions
  11. ^ Terms and definitions (ISO 9241-210:2010) "person's perceptions and responses resulting from the use and/or anticipated use of product, system or service"
  12. ^ 黒須正明 2013, p. 56.
  13. ^ 安藤昌也 2016.
  14. ^ 黒須正明、experienceは「体験」か「経験」か – U-Site、2014年9月8日
  15. ^ "対象とする期間を明確にすることが重要で、それらは一時的 ux、エピソード的 ux、累積的 uxの3種類に分けられます。" ロト, et al. (2010). UX白書.
  16. ^ "例えば、利用中に起こった強い否定的な反応の重要性は、成功体験の後にはとても小さくなっていて、 否定的だった反応は最終的には違ったものとして記憶されるかもしれません。" ロト, et al. (2010). UX白書.
  17. ^ "対象とする期間を明確にすることが重要で ... uxデザインとその評価を行う際に必要となる条件は、一時的uxに着目する場合と、エピソード的uxやさらに長い期間のuxに着目する場合とでは異なってきます。" ロト, et al. (2010). UX白書.
  18. ^ "Anticipated UX may relate to the period before first use, or any of the three other time spans of UX, since a person may imagine a specific moment during interaction, a usage episode, or life after taking a system into use." ロト, et al. (2010). USER EXPERIENCE WHITE PAPER.
  19. ^ "人がシステムと対話することによって生じるuxには、幅広くさまざまな要素(factor)が影響しています。それらは3つの主なカテゴリに分類されます。 ユーザーとシステムを取り巻く文脈、ユ ーザーの状態、システムの特性です。" ロト, et al. (2010). UX白書.
  20. ^ "さまざまなシステム…を利用するという体験は、きわめて多岐に渡る精神的/肉体的活動を伴う。まず精神的には、本能的・感情的な反応から、高度な知的理解に至るまでの、幅広いレベルでの認知(Cognition)が生じる。一方、肉体的には、指一本で行うタップ入力や全身を使ったアクションによる操作、さらには誰かと一緒に行う共同作業までを含むような、多彩なインタラクション(Interaction)を伴うことになる。ユーザエクスペリエンス…とは、このような認知とインタラクションから成る総合的な利用体験である" 深見, et al. (2012). スキル向上のためのHTML5テクニカルレビュー.
  21. ^ "I found the need for a new diagram to illustrate the facets of user experience" Peter Morville. (2004). User Experience Design.
  22. ^ "with a little help from my friends developed the user experience honeycomb." Peter Morville. (2004). User Experience Design.
  23. ^ "For each of the 58 selected studies ... Altogether 42 unique UX constructs were measured ... Table 1 shows the 12 constructs with frequency higher than two." Law, et al. (2014). Attitudes towards user experience (UX) measurement. Int. J. Human-Computer Studies.
  24. ^ 国内UX第一人者 黒須正明先生による連載コラム第一回「UXへの大いなる誤解」 | KUSANAGI MAGAZINE
  25. ^ 黒須正明、UXと言えるのは長期的モニタリングをしてから後の話だ – U-Site、2010年6月17日
  26. ^ 黒須正明、UXの、3つのキーポイント – U-Site、2015年6月10日
  27. ^ UX界隈(何処)におけるアクセシビリティの耐えられない軽さ | 覚え書き | @kazuhito
  28. ^ ユーザビリティとアクセシビリティの統合:UXのプロなら誰でも知っておくべきこと User Experience Magazin
  29. ^ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 - 内閣府
  30. ^ 『障害者差別解消法の認知率は36%、9割の企業がWebアクセシビリティに課題、「Webアクセシビリティ 取組み状況 調査」』2016年3月8日開催 サイトマネジメント委員会セミナー 第2部|公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会
  31. ^ 黒須正明 2013, pp. 55–56.
  32. ^ 安藤昌也 2016, p. 2.
  33. ^ 黒須正明 2013, pp. 22–27, 38–50, 52–56.
  34. ^ Garrett 2002.
  35. ^ Garrett 2005.
  36. ^ 黒須正明、設計品質と利用品質(前編) – U-Siteおよび後編
  37. ^ "3.1.14 満足(satisfaction) システム,製品又はサービスの利用に起因するユーザのニーズ及び期待が満たされている程度に関するユーザの身体的,認知的及び感情的な受け止め方。"
  38. ^ "満足は,実際の利用に起因するユーザエクスペリエンスがユーザのニーズ及び期待を満たしている程度を含む。" JIS Z 8521:2020





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