東西対立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 00:57 UTC 版)
新冷戦や米中冷戦の状態にあるとも評されている、アメリカ合衆国・中国・ロシアは、核開発に匹敵する開発競争を人工知能の軍事利用をめぐって行っている。 中国は、2017年6月に119機のドローン群の自律飛行実験で、前年2016年に103機の飛行実験に成功したアメリカ軍の記録を更新して、翌2018年5月には北アメリカの都市を爆撃するCG映像も発表し、同年6月には56隻の自律無人艇を使った世界最大規模の試験を行うなど、AIの軍事利用の技術(特にスウォームと呼ばれる大量の徘徊型兵器などの自律兵器の統合運用)で中国が急速に進展しており、アメリカに追い付く可能性があることについて懸念し、アメリカ合衆国では将来に備える必要があるとの主張もされている。 中国の軍用AI開発は、アメリカ軍や政界に危機感を与え、2019年3月にジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長やパトリック・シャナハン国防長官代行、ドナルド・トランプ大統領は、中国でのAI研究拠点の設立などで中国人民解放軍に協力していると、Googleを非難し、GoogleのCEOサンダー・ピチャイはダンフォードやトランプ大統領と面談して、中華人民共和国のAI研究拠点の成果は、中国に限らず全ての人々に開放されていると釈明する事態になった。 アメリカ合衆国では、Googleがアメリカ軍のAIの軍事利用に協力する極秘計画「メイヴン計画」を行っていたことが、Googleの社員に暴露されており、2018年12月のアメリカ合衆国議会の公聴会では、同様に暴露された中国政府に協力する秘密計画「ドラゴンフライ計画(英語版)」とともに、人工知能を用いた兵器開発や人権侵害は拒否するとGoogleが誓った、2018年6月の人工知能開発6原則との整合性で、追及を受けた。 中国人民解放軍の戦闘機J-20の標的選択支援アルゴリズムに、GoogleのAI研究者が関わったと報道された際は「AIではなく、統計学的なモデリング」と否定した。また、Microsoftが中国軍の教育機関とAIの共同研究を発表した際も、同様に波紋を呼んだ。 2019年11月にマーク・エスパー国防長官は、中華人民共和国がAIによって新しい監視国家を構築しているだけでなく、中東で翼竜や彩虹など無人攻撃機を大量に拡散させて、AIで自律的に攻撃するドローン兵器も販売していることに警鐘を鳴らした。 ロシアと中国は、既に実用化してるとされるハッキングの自動化の他、特定の個人を攻撃したりディープフェイクでなりすましたり、ボット投稿により世論を操る等の懸念が挙げられている。
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