XTB2Dの開発
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「XTB2D (航空機)」の記事における「XTB2Dの開発」の解説
“デヴァステイターII”の開発は1942年11月より開始され、1943年3月には機体のモックアップが完成、同年5月にはモックアップにXR-4360エンジンのダミーを搭載したモデルが関係者に披露された。これを受けて1943年10月31日には試作機2機がXTB2D-1 "SkyPirate"として正式に発注され、同年12月には試作機2機に加えて先行量産型23機も発注された。モックアップの風洞実験の結果安定性を向上させるための改修が必要になったことや、搭載するXR-4360エンジンの生産が遅れたためにエンジンの実物が納入されず、実際のエンジンを搭載しての地上試験が遅延し、製造に必要な治具の製作も遅延する、といった小規模な問題は発生したが、翌1944年3月には試作機の製造が開始され、ダグラス社では月産100機を目標に生産ラインの構築に入った。 しかし、海軍が空母とその搭載機の開発計画を見直し、空母上で運用する対艦攻撃用途機は複座の偵察爆撃機(SB)と三座の雷爆撃機(TB)の並行装備から単座の攻撃用途機(BT)に一本化する方針を軍用機メーカーに打診したため、ダグラス社では開発中のBTD-1、そして急遽開発計画が立ち上げられたXBT2D(後のA-1 スカイレイダー)に開発計画を一本化して生産リソースも集中することを決定し、1944年6月には量産計画がキャンセルされた。しかし、XTB2Dの開発計画も諸所の問題はあれど順調に推移していたため、予備的なものとされながらもXTB2Dの開発も継続された。試作2号機はジェットエンジンを搭載した複合動力機とする計画が立案されたが撤回され、垂直尾翼の小型化、後部乗組員席と電子機器の配置を若干後方に移動させて重心位置を適正化させるなどの設計変更がなされたものの、基本的には1号機と同様の機体として完成した。 試作1号機は1945年2月に初飛行に成功し、飛行性能自体は良好であったが、搭載するエンジンと2重反転式プロペラの納入が遅れたため、初飛行は当初の予定(1944年秋を予定していた)よりも大幅に遅れていた。5月の飛行テスト時にもプロペラとエンジンにトラブルが発生し、3回目のテスト飛行ではプロペラ故障により緊急着陸している。この1945年5月の3回目のテスト飛行の後、新たなプロペラが届くまでの間を利用して垂直安定板の高さを若干低減する等の改修が施され、6月には評価試験に備えて飛行テストが再開されたが、今度はフラップにトラブルが発生し、再び緊急着陸を敢行している。 1945年8月には試作2号機の飛行テストが開始されたが、やはりエンジン故障で緊急着陸となり、2重反転プロペラの作動機構に問題があること、エンジンの設計変更が必要なことが明らかとなった。更に、プロペラブレードにも改修が必要であると結論され、これらの改修と機体の修理が完了したのは1946年5月のことであった。同年6月には飛行テストが再開されたが、エンジンの減速ギアの故障によりまたもテスト飛行中に緊急着陸となり、減速ギアと二重反転プロペラを別のものに交換する計画が立案され、それらは1946年12月に納入された。 1947年には機体の再度の改修が行われたが、既に戦争が終結したことと、同時期に開発されていた単発・単座の艦上攻撃機(XBT2D、XBTM)が同等の能力を有していたことから、「最早このような大型機は特に必要ではなく、性能も装備も過剰に過ぎる」と結論され、同年5月には開発計画は中止となった。先行量産型の発注は全てキャンセルされ、製造された2機の試作機、BuNo 36933および36934は1949年にはスクラップとして処分された。
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